LIFF(LINE Front-end Framework)とは、LINEが提供するWebアプリケーションのプラットフォームです。LIFF上で動作するアプリをLIFFアプリといい、LINEの持つさまざまな機能と連携してビジネスに活用できます。LIFFの仕組みやメリット、開発方法、活用事例について紹介します。
目次
LIFFとは、LINE上で動作するWebアプリケーションを開発するためのプラットフォームです。LIFFで動作するアプリをLIFFアプリといい、LINEの持つユーザー情報に紐づいたサービスを提供します。
LIFFアプリはLINEのトークルーム内で機能するWebアプリケーションです。通常のWebアプリケーションに簡単な改修を行うことによりLIFF化できます。
LINEのトークルームからLIFFアプリを開くと、LIFFを通じてユーザーのLINE IDが取得されます。アプリ内でのユーザーのアクティビティをLINE IDに紐付いた情報として蓄積できるため、企業は従来よりもシームレスなサービスを提供できます。
LINEミニアプリとは、LIFFアプリの一種でLINE社による審査を通過したもののことを指します。審査不要ですぐにリリースできるLIFFアプリよりも、やや開発のハードルは高めです。
またLINEミニアプリはService Message(トークルームへの通知機能)などのカスタム機能を利用でき、スマートフォン版LINEでのみ動作します。一方LIFFアプリはスマートフォン版LINE、一般ブラウザの両方で動作します。
★LINEミニアプリについて詳しくはこちら
ネイティブアプリではなく、LIFFアプリを開発するメリットや強みについてみていきましょう。
LINEは月間ユーザー数9,400万人(2022年12月末時点)と、多くのユーザーを抱えています。また10代〜60代以上までユーザー層が多岐にわたることも特徴です。
LIFFアプリとしてリリースすることにより、こうしたLINEの大きなユーザー基盤へアプローチできるため、集客しやすいメリットがあります。
LIFFアプリはLINE上で利用できるため、ユーザーはアプリを追加でインストールする必要がなく、初回利用のハードルが低いです。またLINEに登録されたユーザー情報をアプリでも利用するため、サービス利用までに情報登録の手間がなくユーザーの離脱を防ぎます。
LIFFアプリでのユーザー認証やログインはLINEの機能を利用できるため、自社で実装する必要はありません。スピーディーかつ、リソースとコストを抑えて開発できます。またiOS版とAndroid版の個別開発が不要なこともメリットです。
ログインに必要なユーザー情報はLINEが保持しているため、企業が個人情報のデータベースを持つ必要がありません。個人情報漏えいなどのセキュリティリスクを回避できます。
LIFFアプリ上で入力された内容とLINEのプロフィール情報(性別・年齢・居住地など)が連携されることにより、企業はそれぞれのユーザーへパーソナライズされたメッセージやコンテンツを配信できます。
LINEを外部のCRM SaaSと連携して活用することで、ユーザーのプロフィールや流入経路ごとにアクション追跡やタグ付けを行なってセグメント化できます。セグメントごとにまったく異なる機能の提供や、情報をもとにしたファネル分析ができるため、効果的なマーケティング施策が可能です。またCRM機能ではできないAPI連携をLIFFで補うこともできます。
LIFFの推奨環境は以下のとおりです。
LIFFブラウザとは、LINE内で動作するLIFFアプリ専用のブラウザです。ユーザーがLINEでLIFFアプリを起動すると、LIFFブラウザが開きます。LIFFブラウザではデフォルトでアプリの共有機能やアプリから友だちへメッセージを送信する機能など、LINE特有の機能が提供されます。
LIFFアプリはLIFFブラウザ以外の外部ブラウザで起動することもできます。Microsoft Edge、Google Chrome、Firefox、Safariの最新バージョンで動作します。
LIFFアプリの開発は以下の手順で行います。
まず、開発者向けのLINEアカウントであるLINE Developersアカウントを開設し、プロパイダーとチャネルを作成します。
プロパイダーとはLINEプラットフォームを通じてサービスを提供する個人または組織の情報、チャネルとはLINEプラットフォームが提供する機能を利用するための通信路です。
作成したWebアプリをLIFF化するため、「LIFF SDK(Software Development Kit:ソフトウェア開発キット)」をWebアプリに組み込みます。LIFF SDKを組み込む方法は以下の2つです。
・CDNパスを指定する
・npmパッケージを利用する
LIFF SDKを組み込むと、LIFFアプリ特有のさまざまな機能をAPIで呼び出せるようになります。たとえばログイン処理やユーザープロフィールの取得などです。アプリに必要な機能をAPIで呼び出す設定を行います。
アプリの開発が完了したら、任意のサーバーへアプリをデプロイします。
LINE Developersコンソールで、アプリの公開URLを作成したチャネルに登録します。ここで設定したURLがLIFFアプリ起動時に最初に開くページになります。
メリットの多いLIFFアプリを効果的に活用するには、開発時に注意すべきポイントがあります。
LINEでの利用が前提となるLIFFアプリは、ネイティブアプリに比べて独自性が出しづらく、競合との差別化が難しい側面があります。LIFFアプリをより多くの人に長く使ってもらうには、ターゲットユーザーのニーズを深く理解して価値のあるユーザー体験を提供するためのUXリサーチ・設計が必要です。
★UXについて詳しくはこちら
LIFFアプリを通じて得られるLINEユーザーの属性情報や詳細な行動データと自社の既存データを組み合わせて、ビジネス上の意思決定や課題解決へ活かすことができます。データ集積基盤を構築し、データドリブンなサービス・マーケティング施策の計画を行いましょう。
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LIFFアプリをビジネスに活用したいものの、自社での開発に不安がある場合は開発会社へアウトソースすることでスピーディに実現できます。ただしLIFFアプリについてはまだ実績の少ない開発会社も多いため、なるべく多くのLIFFアプリ開発実績やノウハウを持つ開発会社を選びましょう。
モンスターラボでのLIFFアプリ開発事例を紹介します。
2022年4月25日に福岡市博多区にオープンした「三井ショッピングパーク ららぽーと福岡」は、九州初出店のららぽーとということもあり開業前から大きな話題となりました。しかし、同時に近隣の交通渋滞が懸念されていました。
そこでさまざまな新規事業の開発・推進を行うShareTomorrowは、混雑緩和のため同社が提供するMaaSサービス『&MOVE』の公式LINEアカウントを活用し、無料バス乗車券配布機能を搭載したLIFFアプリの開発を決定します。
オープンに合わせて開発期間わずか2ヶ月でインフラの整備〜システム開発〜データ分析基盤の構築まで実現し、4月のオープンからGW期間にかけて約2万人の新規ユーザー獲得と1万を超える乗車券の発券に成功しました。そのうち約3割のユーザーを自家用車での来訪予定からバス利用に誘導でき、交通渋滞緩和にも貢献しています。
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長谷工コーポレーションは、マンションの設計・施工から管理・運営、リフォーム、大規模修繕、建替えまでを手がける企業です。同社は新規サービスの立ち上げにあたり、潜在顧客への効果的なアプローチ方法を模索していました。
マンションのモデルルーム見学の敷居を下げて早期アプローチを可能にするため、アプリのダウンロードやログインが不要なLIFFアプリ『マンションFit』の開発を決定。UXリサーチをもとに直感的な操作でおすすめ物件がレコメンドされる仕組みや、最小限の入力で簡単に見学予約ができるフォームを実装することでユーザー層の拡大に成功しました。
現在は時勢の影響もあり、非対面のモデルルーム見学の仕組みとして注目を集め、レコメンドロジックやLINE上のコミュニケーションのさらなる改善を続けています。
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お葬式事業に関連したサービスを展開するユニクエストは、終活の重要性を浸透させることを課題としていました。突然の不幸に際して「故人の遺志が遺されていなかった・見つからなかった」というケースが多いことから、遺言記録・伝達サービス『タイムカプセル』を企画します。
当初はWebサービスとして検討していましたが、ユーザーが手軽に利用できるようLIFFアプリとしての開発を決定。メインユーザーのシニア層を意識したUIデザインを行い、遺言の読み手・書き手の紐付けなどの技術面はMVP検証でブラッシュアップしました。
日本・セブ・ベトナム各拠点のスペシャリストの協業により素早いサービスインを実現し、提供開始後わずか2ヶ月で1万人を超えるユーザーに利用されるサービスへ成長しています。
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LIFFはLINE上で動作するWebアプリケーションを開発するためのプラットフォームです。
LIFFアプリはLINEが持つユーザー基盤や認証・ログイン機能を活用できるため、集客のしやすさや開発スピードの速さといった強みがあります。ネイティブアプリよりも開発コストを抑えつつ、ユーザーにとって利便性の高いサービスを迅速に提供することが可能です。
またLINEのユーザー情報を取得できるため、データを活用したサービス品質向上や新規ビジネスの創出などにもつながるでしょう。ぜひLIFFアプリのメリットをビジネスへ活用できるよう、サービス開発について検討してみてください。
モンスターラボは、約20年にわたるサービス・プロダクト開発実績から得られたデジタル領域の知見や技術力を活かし、デジタルプロダクト開発事業を展開しています。
先端テクノロジーに対応した高度なIT人材があらゆるプラットフォーム上での開発を支援します。アジャイル開発とDevOpsによる柔軟な開発進行や、国内外のリソースを活用したスケーラブルな開発体制の構築も可能です。 また、リリース後の保守運用や品質向上支援まで伴走可能です。
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