MVP(Minimum Viable Product)とは? 意味やビジネス上のメリットを解説

MVPとは、必要最低限の機能を備えたプロダクトのこと。

デジタルプロダクト開発のプロセスの中で重要視されているのが、短い期間で素早くMVPを作成し、実際にユーザーに使用してもらうMVP検証。

そこで得たフィードバックをもとに改善を加え、より完成度の高い製品・サービスを市場に出す開発フローがDXを推進するさまざまな企業に取り入れられています。

MVP(Minimum Viable Product)とは?

まずはMVPの意味を解説します。

MVPの意味

MVP(Minimum Viable Product)とは、ユーザーに必要最小限の価値を提供できるプロダクトのこと。

一般的には、目的を達成できる最低限の状態の製品やサービスをユーザーに提供し、得られたフィードバックを参考に新機能の追加や改善を繰り返すMVP検証で活用されます。

MVPはプロトタイプと意味が似ていますが、プロトタイプはデモンストレーションや量産前の問題点の洗い出しなどの目的のために作られたプロダクトのこと。必ずしも必要最低限の機能を搭載しているプロダクト(=MVP)というわけではありません。

リーンスタートアップとの関係性

MVPは、さまざまな企業が新製品・サービス開発に取り入れているマネジメント手法を紹介している書籍『リーンスタートアップ』(著:エリック・リース)で紹介された概念です。

★リーンスタートアップとは
少ないリソースと短い開発期間で必要最低限の機能を実装したサービスやプロダクトを作成し、ユーザー検証のフィードバックを取得して、より満足度の高い製品やサービスを開発するマネジメント手法

このように、MVPの作成という概念・手法は、リーンスタートアップを構成する要素の1つとして提唱されました。

MVPを作成するビジネス上のメリット

MVPを作成するメリットを詳しく解説していきます。

ユーザー視点でプロダクトの価値を最大化できる

従来のソフトウェア開発では、プロダクトの完成まで一貫したフローで開発を行うため、プロダクトが完成しリリースを行うまでユーザーフィードバックを得ることができません。

しかし、MVP検証では必要最低限の機能を備えたプロダクトを用いてユーザーのフィードバックを得て、それをもとに少しずつ新たな機能の実装や改善を実施することが可能になります。

効率よく最適なプロダクトを作成できる

MVP検証を実施することで、最短ルートでプロダクトを完成形に近づけることができます。必要最低限の機能から開発に着手するため、開発に費やす時間を最小限に抑えることができ、開発フローの効率化を図ることができます。

MVP検証の進め方

MVP検証のプロセスを各ステップごとに解説します。

STEP1:必要最低限の機能の策定

製品やサービスによって解決したい問題やゴールを設定します。ゴールを設定したのち、目的を達成するために必要最低限な機能を絞り込みます。

STEP2:MVPの作成

STEP1で定義した必要最低限の機能を搭載した製品やサービスを作成します。

STEP3:検証

実証実験やユーザーテストを実施し、作成したMVPを実際にユーザーに使用してもらい、製品・サービスに対するフィードバックを得ます。

STEP4:評価

検証で得たユーザーからのフィードバックをもとに追加機能の開発・実装や改善を繰り返します。

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MVP検証を成功させるためのポイント

MVP検証をする上で注意すべきポイントを解説します。

スモールスタートを意識し、アジャイル開発を取り入れる

「スモールスタート」はMVP検証の原則。機能をあれこれ詰め込んでしまうと、それだけ開発期間や費用がかさんでしまい、MVPを作成する本来の目的から外れてしまいます。

また、MVP検証を最も活かせるのはアジャイル開発手法です。アジャイル開発であれば、『計画→設計→実装→テスト』といった開発工程を機能単位の小さいサイクルで繰り返すため、優先度の高い機能から順に開発を進めていくことが可能です。

ユーザーニーズを正しく理解する

MVPを作成する上で、ユーザーの「必要最低限」のニーズを正しく把握できていないと検証がうまく行きません。「必要最低限」を意識しすぎたあまり、ユーザーのニーズを満たさないプロダクトができてしまうこともあります。

ユーザーニーズを正しく把握できないと効果的なMVPが作成できない

ユーザーニーズを正しく把握できないと効果的なMVPが作成できない

想定していたユーザーニーズが間違っている場合もありますが、MVPの段階で示唆が得られることはメリットとも言えるでしょう。早期にプロダクトの方向性を変更できれば、開発中の手戻りがなくなり、大きなロスを防ぐことができます。

MVP検証を行う際は、まずユーザーの本質的な課題を正しく捉え、その解決方法を明確化することが重要です。

MVPキャンバスとは:最低限の価値を生み出すフレームワーク

MVPキャンバスは、より質の高いMVPを作成するためのフレームワーク。

リーンキャンバス(ビジネスモデルを9つの要素に分け、サービスの本質的価値を考えるフレームワーク)と似ていますが、MVPキャンバスはリーンキャンバスで立てた仮説を検証する工程で必要になります。

★リーンキャンバスについて詳しくはこちら

MVPキャンバスを活用すれば、MVPに搭載すべき機能やMVP検証で取得すべきデータを整理し、論理的な仮説を立てることができます。

MVPキャンバスでは、「仮説」「学び」「実証」「データ/条件」「作る」「コスト」「時間」「リスク」「結果」「学び」の10個の要素から仮説検証の内容を設定します。

★MVPキャンバスについて詳しくはこちら

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DXにおけるMVPの重要性

MVPはDX推進の観点からも重要です。ビジネスにおけるDXの定義は、「データやデジタル技術を駆使して、ビジネスに関わるすべての事象に変革をもたらす」こと。絶えず変化する市場のニーズに合わせ、新たな技術やアイデアをいち早くビジネスモデルとして取り入れていく必要があります。

少ないリソースで必要最低限の機能を作り出し、ユーザーの反応からプロダクトの成否を判断できるMVP検証は、前例が少なく正解のないDXを推進する上で必要不可欠な工程です。

MVP検証を活用したDX推進事例

企業のDX推進においてMVP検証が活用された事例を紹介します。

福利厚生アプリのアジャイル開発事例(山口フィナンシャルグループ)

リリース後の機能拡張も見据えたプロジェクト実行計画を立案

リリース後の機能拡張も見据えたプロジェクト実行計画を立案

山口フィナンシャルグループは、山口銀行・北九州銀行・もみじ銀行といった3つの地方銀行を傘下に持つ金融持株会社。新会社として設立されたイネサスが目指したのは、山口フィナンシャルグループが持つ地域基盤を活かした地域循環型の福利厚生サービスの提供。

同社は、コロナ禍により働き方が大きく変化するなかで、既存の福利厚生サービスのカバー領域が都心に限定されており地方のニーズを満たせていないことに課題を感じ、福利厚生サービスアプリ『イネサス』の開発を企画。

開発では、要件変更に強いアジャイル手法を取り入れました。必要最低限の機能にスコープを当てつつ、リリース後の機能拡張も見据えたプロジェクト実行計画を立案。

第1フェーズでは加盟店舗検索とクーポン利用に機能を絞ってアプリをリリースし、現在も追加機能装着に向けた開発を続けています。

★事例について詳しくはこちら

配送ドライバーサポートアプリのアジャイル開発事例(オプティマインド)

ドライバーの声を活かして改善を繰り返すことを念頭に、アジャイル開発でスタート

ドライバーの声を活かして改善を繰り返すことを念頭に、アジャイル開発でスタート

オプティマインドは、配送業界のDXを推進しているスタートアップ企業。名古屋大学発の物流べンチャーとしても知られており、組合せ最適化技術を活用した物流配送最適化の分野で世界トップクラスの研究実績とアルゴリズムを保有しています。

同社は、物流業界で深刻化している、高齢化に伴うドライバーの不足という問題に対し、配送ドライバーの業務サポートと業務フローの脱属人化につながる新規サービス開発を企画。

実際に配送業務に携わるドライバーの声を活かして改善を繰り返すことを念頭に、プロジェクトはアジャイル開発でスタート。キックオフから3ヶ月という短期間で必要最低限の機能を備えたβ版のAndroidアプリを開発し、実証実験を実施しました。

プロジェクト開始から約6ヶ月という短期間でテストを経たネイティブアプリが完成しました。

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まとめ:MVP検証は新規ビジネス開発に欠かせない工程

MVPを活用すれば、変化の激しい市場のニーズに合わせた新たなビジネスを始める際に、開発に着手した段階からビジネスの成否を判断することができます。

MVPに搭載した必要最低限の機能がユーザーの本質的な課題を解決できるものであるかをしっかり検証の工程で見極めることが重要です。

MVP検証で得られたユーザーのフィードバックはアジャイル開発に用いられます。アジャイル開発により、追加機能の開発や改善を細かく繰り返すことで製品の価値を最大化させることができます。

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