スマートシティとは? 意味や先進事例、現状の課題を徹底解説

スマートシティとは?意味や先進事例、現状の課題を徹底解説

スマートシティとは、IoTやAIといったデジタル技術を駆使してあらゆるデータを収集して活用する都市のことです。今後はスマートシティ構想に関連するビジネスチャンスはもちろん、実現後に得られるデータなどを活用することで新たな利益を獲得するチャンスを得られる可能性が高まると考えられます。

そこで今回はスマートシティの意味や定義のほか、日本をはじめ各国の先進事例などの基本的な知識を紹介します。

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スマートシティとは?

スマートシティは政府や自治体が先進技術を街づくりに取り入れて、市民生活の質や都市活動の効率化を図ることです。スマートシティの正式な定義と関連するデジタル技術の概要を確認してみましょう。

スマートシティの意味と定義

2022年現在、日本におけるスマートシティの定義は国土交通省や内閣府が明記している「先進技術を活用した持続可能な都市」とされることが一般的です。それぞれの原文を確認してみましょう。

■国土交通省のスマートシティの定義

    「都市の抱える諸課題に対して、ICT等の新技術を活用しつつ、マネジメント(計画、整備、管理・運営等)が行われ、全体最適化が図られる持続可能な都市または地区」を『スマートシティ』と定義し、その実現に向けた取り組みを進めています。

出典:国土交通省『スマートシティに関する取り組み

■内閣府のスマートシティの定義

    スマートシティは、ICT 等の新技術を活用しつつ、マネジメント(計画、整備、管理・運営等)の高度化により、都市や地域の抱える諸課題の解決を行い、また新たな価値を創出し続ける、持続可能な都市や地域であり、Society 5.0の先行的な実現の場と定義されています。

出典:内閣府『スマートシティに関する取り組み

つまり、スマートシティとはICTやIoTといった人とモノ、もしくはモノとモノをつないでビッグデータを収集し、より良い街づくりを実現できる都市のことを指すと覚えておきましょう。

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スマートシティが注目される背景

また、その傾向はますます強まっており、国際連合の調査によると世界の都市人口は2050年には世界の全人口の約3分の2となる63.4億人が都市に居住すると予測されています。

■都市化による問題

詳細 求められる対策(例)
交通問題 渋滞の発生や乗車率の増大
長距離通勤の増加
渋滞緩和や効率的な公共交通機関の運営
エネルギー問題 人口集中によるエネルギー消費の増大 効率的なエネルギー供給
環境問題 家電や自家用車から排出される二酸化炭素 二酸化炭素の削減
廃棄物問題 悪臭やカラスの被害
景観の悪化
効率的なゴミの収集
大気汚染 地球温暖化・オゾン層の破壊 電気自動車の活用促進
給電所の整備
スラム化 貧富の拡大
インフラ未整備地区の貧困層の集中
適切なインフラの整備
ICT産業の誘致

このような課題を解決し、環境の変化に柔軟に対応し誰もがより良い生活を維持、向上し続けられる「持続可能な都市」を実現するための手段として、最先端の技術を活用した都市交通やエネルギー供給の最適化やインフラの管理などを活用できるスマートシティ構想は各国の重要な政策となりつつあります。

日本においても、2010年代にはエコシティやスマートコミュニティといったさまざまな取り組みが行われていました。ただ、いずれもエネルギー問題などの特定の分野に限られる「個別分野特化型」であり、時代とともに環境、エネルギー、交通、通信、教育、医療・健康といった都市機能を丸ごと結びつける「複数分野横断型」の取り組みが、スマートシティの主流となりつつあることも覚えておきましょう。

スマートシティの種類

スマートシティの種類には、既存の街をスマートシティとする「ブラウンフィールド型」とゼロからスマートシティをつくり上げる「グリーンフィールド型」の2種類に大別できます。

ブラウンフィールド型は2010年頃に始まったスマートシティの取り組みです。既存の街をデジタル技術によって「スマート化」することが目的で、対象となる都市を上空から俯瞰した街並みが褐色に見えることが名前の由来になっています。既存の都市が抱える課題を解決するために、デジタル技術などを適用する手法なので各プロジェクトを行ううえで住民との合意や既存の施設や設備の更新・有効活用などが必要になります。ブラウンフィールド型は、日本をはじめとした先進国の主要都市のスマートシティ構想の主流となっています。

グリーンフィールド型のスマートシティは、新しい都市の設計・建設や再開発によってITを基軸とした新しい街をつくる手法です。建物をイメージする茶色に対し、未開拓地や空き地に関連する緑色をイメージすることからグリーンフィールドと名付けられています。グリーンフィールド型はブラウンフィールド型のように住民の合意や理解が必要ないため、より大胆な街づくりが可能なことが最大のメリットです。中国やドバイなど経済成長が著しい新興国を中心に取り組みが活発化しています。

スマートシティのフェーズ

スマートシティには大きく分けて2つのフェーズがあります。導入する技術を中心に考えて事業者が主導するものが「スマートシティ1.0」である一方、対象となる都市の住民の生活や幸せを実現するためにデジタル技術を活用するものが「スマートシティ2.0」とされています。

スマートシティが浸透し始めた当初はスマートシティ1.0が中心でしたが、現在はスマートシティ2.0のユーザードリブンの観点から実施されるのが一般的です。スマートシティ2.0が主流になった要因としては、以下の理由が挙げられます。

■スマートシティ1.0から2.0に移行した理由

  • ・生活、公的サービスの質の向上のためには住人(ユーザー)を無視できない
  • ・デジタル技術の発展により双方向の連携が生まれやすくなり住民も参画しやすくなった
  • ・公共セクターにおいて利用者である住人の満足度(エンゲージメント)が重要になった

出典:ユーザー・ドリブン・イノベーションによるスマートな街づくりに向けて『海外における「スマートシティ2.0」への取り組み

ユーザーが見えにくかったスマートシティ1.0の失敗を踏まえ、スマートシティ2.0ではプロジェクトの設計段階から住民を巻き込み、IoT技術を使って常にデータを収集して最適化を図ることが重要視されているのです。

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スマートシティを実現するための技術

スマートシティを実現するためには、国土交通省や内閣府が例に挙げているICTのほかにもIoTやビッグデータ、AIといった技術を幅広く取り入れる必要があります。それぞれの特徴を簡単に解説しましょう。

IoT

IoTとは「モノのインターネット」のことで、自動車やテレビ、スピーカーなどあらゆるモノをインターネットに接続して通信を行う技術を指します。スマートシティにおいては、IoT技術は交通機関や地下街といった街中の施設などのリアルタイムの状況の確認、データ収集が可能になる重要な技術といえるでしょう。

★IoTについて詳しくはこちら

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ビッグデータ

ビッグデータとは、「量(volume)」「種類(variety)」「入出力や処理の速度(velocity)」の3つの要素から成り立つ巨大なデータ群のことです。スマートシティにおいては街中から得られる膨大なデータを収集・蓄積・可視化して施策立案に役立てることで、より効果的な公的サービスの改善につなげられます。

★ビッグデータについて詳しくはこちら

AI

AIは「人工知能」であり、スマートシティにおいても自動化やデータ分析を実現するためのコア技術と見なされています。特にIoTでつながった「あらゆるモノ」にAIが組み込まれることで、自律的にモノが動作することが可能になると期待されています。

★AIについて詳しくはこちら

自治体のスマートシティ取り組み事例

国内でも多くの自治体がスマートシティに取り組んでいます。そのうち、北海道札幌市と埼玉県さいたま市の事例について紹介します。

北海道/札幌市

札幌市では、一般財団法人「さっぽろ産業振興財団」による観光・交通・健康といった複数分野にまたがるMaaS(マース:Mobility as a Service)事業の実証が行われています。札幌市ICT活用プラットフォームを構築し、人流データや道路状況、匿名の健康データを収集。市民によるデータ活用や地元ベンチャー企業、大学などのサービス開発などを含めて持続可能な体制の整備を行っています。

参照:札幌型観光MaaS推進事業

★MaaSについて詳しくはこちら

埼玉県/さいたま市

埼玉県さいたま市は、市内の駅を核としたスマート・ターミナル・シティの確立を目指した「スマート・ターミナル・シティさいたま実行計画(さいたま市スマートシティ推進コンソーシアム)」を進めています。市、中心市街地、郊外住宅地に関する都市インフラの課題解決のために、AIオンデマンド交通やMaaSの構築、スマートプランニングによるウォーカブルな都市空間・環境形成を実施しています。

参照:スマートターミナルシティさいたま実行計画

企業のスマートシティ取り組み事例

スマートシティのプロジェクトは自治体だけでなく、企業が主導するケースもあります。日本の代表的な取り組みであるトヨタ自動車のWoven City(ウーブンシティ)とSoftBank・東急不動産の共同プロジェクト例を紹介します。

トヨタ自動車/Woven City

日本時間の2020年1月7日、トヨタ自動車はラスベガスの「CES 2020」で、人々の暮らしを支えるあらゆるモノやサービスがつながる実証都市「Woven City(ウーブンシティ)」の構想を発表しました。静岡県裾野市の工場跡地の約70.8万㎡の土地に約2,000人が暮らす街をつくり、完全自動運転でゼロエミッションの専用道路のほか、超高齢化社会でも暮らしやすい街を構想しており、2025年に住居が開始される予定となっています。

SoftBank・東急不動産/Smart City Takeshiba

SoftBankと東急不動産は「Smart City Takeshiba」というプロジェクトで、東京都港区の竹芝地区における都市型スマートシティのモデルケースの構築に取り組んでいます。ロボティクス、モビリティ、ARやVR、5Gなど幅広いデジタル技術を駆使した都市の課題解決を実現するスマートシティの実現を目指しています。

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海外のスマートシティ取り組み事例

海外ではスマートシティ構想の先進的事例が多く存在します。そのなかでも特に有名なアメリカのシカゴとデンマークのコペンハーゲンの例を紹介します。

アメリカ/シカゴ

アメリカで初めてIoTを活用したスマートシティ・プロジェクトが、シカゴで実施された「Array of Things (AoT)」です。あらゆる都市活動のデータを収集して研究や公共利用に役立てるのが目的で、湿度や音圧などを計測する「環境センサ群」のほか、オゾンなどを収集する「大気センサ群」、光強度やカメラなどの「光・赤外線センサ群」といったセンサ(センサー)を街中に設置。現在も収集した多様なデータがリアルタイムで公開されています。

これらのデータを活用することで、大気汚染、ヒートアイランド現象といった環境問題だけでなく、渋滞緩和などの多分野の課題解決に役立てられることも期待されています。

デンマーク/コペンハーゲン

EUや欧州諸国はスマートシティが世界でも特に活発な地域です。そのなかでもデンマークのコペンハーゲンは2014年にワールド・スマートシティ・アワードを受賞するなど、国際的に評価の高い都市です。

コペンハーゲンのスマートシティは、市内に張り巡らしたセンサやWi-Fiなどのネットワークで収集したデータを活用する「Copenhagen Connecting」のほか、交通量の改善や二酸化炭素削減につなげる「CITS(Copenhagen Intelligent Traffic Solutions)」、高速無線通信技術「LiFi (Light Fidelity)」や照明管理ソリューションなどの最先端技術の実証実験場とする「DOLL Living Lab」などを複数のプロジェクトで構成されています。

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スマートシティ普及における3つの課題

世界中でスマートシティ構想が活発になっているものの、実際に事業化にたどり着ける都市は少ないです。その代表的な原因となる課題を3つ紹介します。

地域住民との合意形成

ブラウンフィールド型のスマートシティにおいて大きな課題となるのが、対象地域の住民との合意形成です。住民の理解と参画を得られなければ、プロジェクトを進めることができません。実際、Googleが進めていたカナダのトロントでのスマートシティプロジェクトは、新型コロナウイルス感染症拡大の影響もあり、住民の参画と未来像の合意が得られずに中止に追い込まれてしまいました。

また、スマートシティ2.0ではプロジェクトの最初から住民を巻き込み「ディスカッション」を重ねたうえで合意することが重要なのですが、日本では公の場での「議論」に慣れていない人が多いことも懸念されています。

収益化

スマートシティには、ソフトウェアからハードウェアまでさまざまな最先端技術が利用されるため、プロジェクトに参画する事業者が利益を得られやすい(=ビジネスとして成り立つ)と考えられがちです。しかし、公・民の費用の負担率やスマートサービスの利用者による支払いの有無など、マネタイズへの道のりは簡単ではないことが分かっています。

プライバシー保護とのバランス

住民との合意形成の障壁ともなり得るのが、各種センサーで収集するデータと個人のプライバシー保護のバランスです。駅前などのカメラやICカードを利用した際の購入履歴の追跡など、公的サービスなどで活用されるとはいえ「監視社会になる」という懸念を感じる人は少ないでしょう。

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モンスターラボのMaaS取り組み事例

スマートシティへの取り組みの一つである「MaaS」。モンスターラボには多数のMaaSサービス開発の実績があります。

オプティマインド『Loogia(配送業者向けドライバーアプリ)』(日本)

オプティマインドは名古屋大学発の物流べンチャーとしても知られており、組合せ最適化技術を活用した物流配送最適化の分野で世界トップクラスの研究実績とアルゴリズムを保有しています。

ドライバーアプリを開発し、物流MaaSの普及に貢献

ドライバーアプリを開発し、物流MaaSの普及に貢献

同社の狙いは、物流業界で深刻化しているドライバーの不足という課題解決のため、ドライバーアプリを開発し、物流MaaSの普及に貢献すること。

ドライバーアプリ『Loogia』は、どの車両が、どの訪問先を、どの順に回るかといった配車計画を自動で計算し、最適なルートを提供。配送ドライバーの業務効率化を図るとともに、業務フローの脱属人化を促しました。

★詳しくはこちら➡︎オプティマインド|配送業者向けドライバーアプリ『Loogia』

S.RIDE『S.RIDE(タクシー配車アプリ)』(日本)

S.RIDEは、ワンアクションで最寄りの車両を呼べるタクシー配車サービス。株主である都内タクシー事業者が保有する1万台のタクシー車両(都内最大規模)が対象になっています。

ワンアクションで最寄りの車両を呼べるタクシー配車サービス

ワンアクションで最寄りの車両を呼べるタクシー配車サービス

ユーザーが乗車予定地と目的地を入力するだけで事前に運賃を確定させられる事前確定運賃サービスに対応するなど、新たなタクシー利用体験を提供しています。

★詳しくはこちら➡︎S.RIDE|タクシー配車サービス『S.RIDE(エスライド)』

まとめ:国内外のスマートシティの取り組みに注目しよう

スマートシティの基本的な情報と先進事例、課題についてまとめて解説しました。現状は海外の方が大規模かつ先進的な事例が多いものの、日本でも2025年にトヨタ自動車の「Woven City」が本格稼働するなど数年間で大きな動きが予想されます。

街中に先進技術を取り入れるスマートシティについて注目しておけば、大きなビジネスチャンスを得られるかもしれません。スマートシティの動向はすべてのビジネスパーソンにとって重要な情報といっても過言ではないので、ぜひ幅広くアンテナを張ってみてはいかがでしょうか。

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