MVPキャンバスの作り方・書き方【テンプレート付き】

MVPキャンバスの作り方・書き方【テンプレート付き】

MVPキャンバスは、効果的なMVP検証を実施するため、仮説検証の内容を明確化するフレームワークのこと。

本記事はMVPキャンバスの書き方を10の構成要素から詳しく解説。無料ダウンロードできるテンプレートや、MVP検証を実施した開発事例も紹介しています。

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MVPキャンバスとは

MVPキャンパスの基礎知識や実施する目的を解説します。

MVP(Minimum Viable Product)とは?

MVPとは、ユーザーに必要最低限の価値を提供できるプロダクトのこと。

一般的には、目的を達成できる最低限の状態の製品やサービスをユーザーに提供し、得られたフィードバックを参考に新機能の追加や改善を繰り返すMVP検証で活用されます。

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MVPキャンバスの目的

MVPキャンバスとは、MVP検証を効果的に実施するために、仮説検証の内容を明確にするフレームワークのこと。

筋の通った仮説を立てずにMVP検証を実施してしまうと、有意義な情報が得られないこともしばしば。

MVPキャンバスを活用することで「仮説検証によってどのような結果を得たいのか」「検証を実施するにあたってどのようなMVPを作成するべきか」などの情報を整理し、論理矛盾のない仮説を立てることが可能。効果的で効率的なMVP検証を実施できます。

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リーンスタートアップとMVPキャンバスの関係性

MVPキャンバスは、リーンスタートアップとも関係が深い概念。それぞれの目的・役割や関係性を解説します。

リーンスタートアップとは

MVPは、リーンスタートアップの文脈で生まれた概念です。リーンスタートアップとは、少ないリソースと短い開発期間で必要最低限の機能を実装したサービスやプロダクトを作成し、ユーザー検証のフィードバックを取得して、より満足度の高い製品やサービスを開発するマネジメント手法のこと。

つまり、MVPの作成という概念・手法は、リーンスタートアップを構成する要素の1つと捉えることができます。

リーンスタートアップを実施する際のポイント

リーンスタートアップの手順を行う前には、新規ビジネスがユーザーニーズにフィットしているかや市場において求められているかなどの要素を押さえておく必要があります。

その際、スタートアップの各フェーズにおいて用いられる下記の4つの検証が参考になります。

・Customer Problem Fit(CPF)
顧客に課題があるか、課題がある場合はどれだけ深い課題かを検証すること

・Problem Solution Fit(PSF)
顧客の課題をサービスによって解決できるかを検証すること

・Solution Product Fit(SPF)
ビジネスや製品・サービスの実現可能性を検証すること

・Product Market Fit(PMF)
製品・サービスが顧客の課題を解決するために最適な市場に参入しているかを検証すること

これらの要素をMVPキャンバスに組み込むことでリソースの無駄の削減や開発の手戻りなどのロスを防ぐことができます。

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MVPキャンバスを構成する10の要素

MVPキャンバスを実施する際、以下の10の要素を1つ1つ埋めていくことになります。それぞれ詳しく解説します。

①仮説

ターゲットとするユーザーが抱えている本質的なニーズや課題を抽出し、新規ビジネスにおいて最も優先度の高い仮説を記載します。

ここで定義した仮説は、MVPに実装する必要最低限の機能の内容にも直接的に関わります。

②目的

MVP検証を実施する目的やゴールを記載します。

明確なゴールを設定せずに検証を実施してしまうと、検証ばかりを繰り返してその後も具体的な開発やリリースといった展開につなげられないといった失敗ケースに陥ってしまいます。

③方法

検証方法を具体的に記載します。MVP検証には「プロトタイプ」や「スモークテスト」「コンシェルジュ」「カスタマーリサーチ」「オズの魔法使い」などさまざまな手法があります。

複数の手法が考えられる場合は、それぞれのMVPキャンバスを作成し、最も適切な手法を探しましょう。

④データ・条件(KPI)

仮説検証に必要な条件やデータを記載します。ポイントは、できる限り具体的に条件を設定すること。条件がブレると検証の効果が薄れてしまいます。

⑤どんなMVPを作るのか

ユーザーニーズから抽出した課題をもとにMVPに搭載する必要最低限の機能を定義し、記載します。また、③に記載した検証方法に即した内容になっているかも確認しましょう。

⑥コスト

仮説検証に必要なリソースを記載します。原価などの費用面でのコストだけでなく、必要な人員や工数などのリソースも記載しましょう。

⑦時間

仮説検証に必要な期間を記載します。

⑧リスク

仮説検証を実施する上で発生することが予測できるリスクを記載します。また、その中から未然に回避できるリスクには回避方法も同時に考えましょう。

⑨結果

仮説検証の結果を記載します。

⑩学び

仮説検証の結果を受けて得られた学びや次に起こすアクションを記載します。

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DX推進におけるMVP検証の活用例

実際に製品・サービス開発にMVP検証が実施された事例を紹介します。

山口フィナンシャルグループ

リリース後の機能拡張も見据えたプロジェクト実行計画を立案

リリース後の機能拡張も見据えたプロジェクト実行計画を立案

山口フィナンシャルグループは、山口銀行・北九州銀行・もみじ銀行といった3つの地方銀行を傘下に持つ金融持株会社。新会社として設立されたイネサスが目指したのは、山口フィナンシャルグループが持つ地域基盤を活かした地域循環型の福利厚生サービスの提供。

同社は、コロナ禍により働き方が大きく変化するなかで、既存の福利厚生サービスのカバー領域が都心に限定されている点に注目。地方のニーズを満たせていないことに課題を感じ、福利厚生サービスアプリ『イネサス』の開発を企画しました。

開発では、要件変更に強いアジャイル手法を採用。必要最低限の機能(MVP)にスコープを当てつつ、リリース後の機能拡張も見据えたプロジェクト実行計画を立案しました。

第1フェーズでは加盟店舗検索とクーポン利用に機能を絞ってアプリをリリースし、現在も追加機能装着に向けた開発を続けています。

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オプティマインド

ドライバーの声を活かして改善を繰り返すことを念頭に、アジャイル開発でスタート

ドライバーの声を活かして改善を繰り返すことを念頭に、アジャイル開発でスタート

オプティマインドは、配送業界のDXを推進しているスタートアップ企業。名古屋大学発の物流べンチャーとしても知られており、組合せ最適化技術を活用した物流配送最適化の分野で世界トップクラスの研究実績とアルゴリズムを保有しています。

同社は、物流業界で深刻化している、高齢化に伴うドライバーの不足という問題に対し、配送ドライバーの業務サポートと業務フローの脱属人化につながる新規サービス開発を企画。

実際に配送業務に携わるドライバーの声を活かして改善を繰り返すことを念頭に、プロジェクトはアジャイル開発でスタート。キックオフから3ヶ月という短期間で必要最低限の機能を備えたβ版のAndroidアプリ(MVP)を開発し、実証実験を実施しました。

結果、プロジェクト開始から約6ヶ月という短期間でテストを経たネイティブアプリをリリースさせました。

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まとめ:MVP キャンバスで効率的な仮説検証を

MVPキャンバスの目的や書き方を解説しました。

MVPキャンバスを活用して「仮説検証によってどのような結果を得たいのか」「検証を実施するにあたってどのようなMVPを作成するべきか」などの情報を整理し、論理的矛盾やロスのない効率的なMVP検証を実施しましょう。

テンプレートのDLはこちら

MVPキャンバス(形式:xlsx)を用意しましたので、ぜひご活用ください。下記リンクよりダウンロードできます。

テンプレートのDLはこちら

Q

MVPキャンバスとは?

A

MVP検証を効果的に実施するため、仮説検証の内容を明確にするフレームワークのこと。活用することで、論理的矛盾やロスのない効率的な検証が可能となります。

Q

MVPキャンバスを実践するには?

A

MVPキャンバスを作成するには、MVPキャンバスを構成する10の項目を埋める必要があります。テンプレートを用意しましたので、ぜひご活用ください。

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記事の作成者・監修者

モンスターラボ DXブログ編集部

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