PMF(プロダクトマーケットフィット)とは?PSFとの関係性や達成する方法を解説

PMF(プロダクトマーケットフィット)とは?PSFとの関係性や達成する方法を解説

PMFとは「顧客が満足する商品を、最適な市場で提供できている状態」のことです。優れた製品やサービスは、市場が存在してはじめて価値を持ちます。PMFは、国を問わず、スタートアップの達成指標として重要視されています。PMFの検証方法やPSFとの違い、PSFとPMFを達成するためのステップはどのようなものかを、わかりやすく解説します。

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PMF(プロダクトマーケットフィット)とは

PMFとは「Product Market Fit」(プロダクトマーケットフィット)の頭文字を取った言葉で、「顧客が満足する商品を、最適な市場で提供できている状態」のことです。

優れた製品やサービスは、市場が存在してはじめて価値を持ちます。しかし、優れた市場があったとしても、そこで最適な製品やサービスを提供できなければ、市場が優れている意味はありません。

顧客が満足する製品を提供し、それが適切な市場に受け入れられている状態であるPMFを達成することで、売上に結びつき、事業の成功へとつながっていきます

PMFの考え方は、アメリカのソフトウェア開発者であり投資家のマーク・アンドリーセン氏によって広められ、現在ではスタートアップの成否を左右する要素として多くの起業家に認知されています。

★まとめ
・PMFとは「顧客が満足する商品を、最適な市場で提供できている状態」のこと。
・PMFを達成することで売上に結びつき、事業の成功へとつながっていく。
・PMFはスタートアップの成否を左右する要素として多くの起業家に認知されている。

PMFが注目される理由

2022年6月、岸田政権は新しい資本主義に向けた重点投資分野の一つに、「スタートアップへの投資」を掲げました。政府は2022年をスタートアップ創出元年と位置づけています。勢いのあるスタートアップこそが、日本経済の成長を取り戻すために欠かせないものであり、持続可能な経済成長を実現するとしています。

政府の動きとともに、経団連は2022年3月、「スタートアップ推進ビジョン」を発表しました。2027年までにスタートアップ企業の数を10倍に、最も成功するスタートアップのレベルも10倍に高めるとしています。

このように日本では、スタートアップ振興が動き出しています。そのスタートアップの達成の指標として、日本、アメリカなど国を問わず、重要視されているのがPMFです。

スタートアップは初期から積極的に投資を行うため、赤字状態から始まり、ある時期を境に爆発的に利益をあげていく指数関数モデルとなっています。そのため、経営資源が尽きてしまう前に、商品が市場で受け入れられている状態を達成していくことが重要です。

つまりPMFを達成し、経営資源を集中させ、シェアを拡大していく必要があることから、PMFは注目されています。

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PMFの検証方法

PMFの達成度合いはどのように確認できるでしょうか。

投資家が判断する指標として、PMFsurveyやNPS®、リテンションカーブがよく知られています。それぞれ具体的にみていきましょう。

PMFsurvey

PMFsurveyとは、起業家のショーン・エリス氏が考案したアンケート方式の顧客満足度調査です。

「もしも、その製品が使えなくなったらどう感じるか?」という質問を顧客へ投げかけ、次の4つの選択肢から回答してもらいます。

1. 非常に残念
2. 少し残念
3. 残念ではない(それほど便利ではなかった)
4. 製品をもう使用していない

この質問に対して、調査対象のうち40%以上が「非常に残念」と回答した場合、製品はなくてはならいものであり、今後も持続的に顧客を獲得できる可能性があるとみなし、PMFが達成されていると判断できます。40%という基準は、100社以上のスタートアップ企業の結果を比較することで決定されています。

NPS®

NPS®とは、「Net Promoter Score」(ネットプロモータースコア)の頭文字を取った言葉です。直訳すると後援者スコア益であり、カスタマーのロイヤルティ(愛着)を計測するためのアンケート調査の指標です。ビジネス戦略家フレッド・ライクヘルド氏が提唱しました。

「その企業および製品を友人や同僚に薦める可能性はどの程度ありますか?」という質問を行い、10から0の11段階で回答してもらいます。

回答の段階を以下の通り分類します。

10~9:推奨者 ロイヤルティが高く、自ら購入と他社への推奨を行う
8~7:中立者 商品に満足しているが、競合商品でも問題はない
6~0:批判者 商品に不満があり、悪評を広める可能性がある

推奨者の割合 ー 批判者の割合 = NPSスコア となり、-100% 〜 100%で表されます。

NPSはロイヤルティ測定指標であるとともに、業績との相関があるといわれており、日本でも採用する企業が徐々に増えています。

※NPS® は Bain & Company, Inc.、 Fred Reichheld 、NICE Systems, Inc. の登録商標です。

リテンションカーブ

リテンションとは、維持や保持といった、引き止めることを意味する言葉で、マーケティングで使う場合は「既存顧客維持」を意味します。リテンション率は、新規顧客が一定期間内において製品を再度使用した割合です。この数値の高さは、製品に対する満足度が高いことを示します。

リテンションカーブは、リテンション率を縦軸、製品リリースからの期間を横軸に設定したグラフです。グラフがリリース以降にゼロにならず、横ばいの状態になっていると、継続して利用されているという意味となり、製品はPMFを達成している可能性があると判断します。

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PSFとの違い

PSFとは、「Problem Solution Fit」の頭文字を取った言葉です。PMF、つまり「顧客が満足する商品を、最適な市場で提供できている状態」を達成するには、まずは、提供する商品やサービスが顧客を満足させることを達成する必要があります。その状態を達成した状態がPSFです。

PSFを達成するためのステップ

PSF到達のステップは、顧客の課題を特定し、プロトタイプの作成、そして評価といった流れになります。具体的に確認していきましょう。

顧客の課題を特定する(Customer Problem Fit)

顧客を満足させるには、顧客の課題を解決する商品である必要があります。

顧客の課題を特定するには、課題の検証、解決策の検証を行います。
以下の観点を主に検証するようにしましょう。

・顧客が存在するか
・顧客は課題を持つか
・課題を解決するために、投資している何かはあるか
・その課題を解決する他の製品は何か

顧客の課題や解決法について仮説を立て、顧客にヒアリングをして検証するところからはじめましょう。

課題を解決するプロトタイプの作成

特定した顧客の課題をもとに、課題を解決するプロトタイプ(試作品)の作成を行います。

顧客のヒアリングをもとに、プロトタイプに実装する必須機能の絞り込みをしておくことが重要です。機能の絞り込みを行い作成したプロトタイプの検証で、その機能が顧客の課題を解決するか、がわかるようになります。

プロトタイプは仮説の検証状況によって、作り直す必要が出てくるため、素早く作れるものにする必要があります。できるだけ早めにプロトタイプを作成し、検証をするようにしましょう。

課題を解決する製品であるか検証する(Solution Product Fit)

プロトタイプができたら、実際に課題を抱えている方に使用してもらい、生の声を聞きます。ニーズや購買意欲を調査するためには、ヒアリングやインタビューを使った定性調査と、人数や割合などの数値で表すための調査としてインターネットを使った定量調査が有効です。

定性調査では、一人ひとりに深く調査を行います。どのようなときに課題に直面するか、課題に直面する頻度はどれくらいか、といった内容や、課題を解決する方法としてこの解決策は適切か、といった顧客の課題と用意した解決策の妥当性を確認していきましょう。

定性調査のみでは、ヒアリングした数人だけが珍しい意見を持つ場合に、顧客全体の要望をとらえ違えてしまう可能性があります。インターネットなどを活用したアンケートなどの定量調査を行い、特定顧客のうち課題を抱えている率や課題の発生頻度、支払える費用の平均値などを定量的に把握して、ビジネスの成長性が見えるような調査をすることが重要です。

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PMFを達成するためのステップ

PSF達成後は、最適な市場を探し、PMF達成を目指します。PSF後のPMF達成までのステップは、MVPを作成し、顧客に利用してもらい評価と検証を繰り返すといった流れになります。具体的に確認していきましょう。

MVPを作成する

できるだけ少ないリソースで最適な市場を探すために、実用最小限の機能をもつ製品「MVP」(Minimum Viable Product)を作成し、何度も検証していきます。MVPは実用最小限の機能でも、PSFで検証した独自の価値をもつ製品です。既存の製品とは異なる新しさを感じてもらうことが重要です。

MVPを顧客に利用してもらい、評価と検証をする

作成したMVPを市場へ投入し、顧客に評価をしてもらいます。前述のPMF検証方法を通して、提供サービスに顧客がお金を払うだけの価値があるかという「価値の検証」と、提供サービスに多くのニーズや市場、将来性があるかという「市場の検証」の2点を検証していきましょう。

価値の検証では、MVPが顧客の課題をどの程度解決したのかを確かめます。顧客満足度や愛着度が低い場合、製品が解決する課題は、顧客にとってお金を払うほど大きな課題ではなかったか、もしくは製品が顧客課題の解決法を提供できていない可能性が考えられます。

継続率が高くない場合、使い続けるほどのメリットを顧客に提供できていない可能性があります。ターゲットとなる顧客が抱えている課題は解決しているものの、同じ課題を抱えている人がそもそもおらず、あまりニーズや市場がないという可能性も考えられるます。

MVPを通した価値の検証を通して解決策の改善や機能の追加を行い、市場の検証を通して製品のニーズ量を確認していきましょう。

改善を繰り返す

検証結果をもとにMVPを改善していきます。製品や市場に対しても仮説を立て直し、何度も軌道修正をしてMVPの改善を行い、PMFの達成を目指します。これ以上続けても成功しないという判断となる場合もあるでしょう。その場合は、大きく方向転換をすることも視野に入れながら、PSFとPMF達成のサイクルを回していきます。

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まとめ:PMFはスタートアップや新規事業が成功するための必要条件

PMFとは「顧客が満足する商品を、最適な市場で提供できている状態」を表す、スタートアップの成否を左右する要素です。

2022年はスタートアップ創出元年であり、国を挙げて日本のスタートアップ振興は遅ればせながらも動き出しました。

PMFという指標や達成の手順は、スタートアップや新規事業が成功するためのアプローチでもあります。政策によって充実していく仕組みにも注意を払うとともに、PMF達成の手法を身に着けていきましょう。

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