ソリューションアーキテクトが語る ITサービスを成功に導くキーマン

ソリューションアーキテクトが語る ITサービスを成功に導くキーマン

はじめに 〜本記事について〜

2023年11月にモンスターラボの社員より『ソリューションアーキテクトが起こす、小さな現場革命 〜「炎上案件 ゼロ」を実現する上流工程の仕事術〜』という書籍をKindleより出版いたしました。

ソリューションアーキテクトが起こす、小さな現場革命 〜「炎上案件 ゼロ」を実現する上流工程の仕事術〜

この書籍が題材としている”ソリューションアーキテクト”ですが、皆様にとっても、まだまだ聞き慣れない職種かと思います。

ところが、我々がをシステム開発を担当させていただく中で、ソリューションアーキテクトが活躍する現場では

  • ・サービスの実現方法がわかりやすく提示され、運用後のイメージが膨らんだ
  • ・プロジェクトに潜むリスクが早い段階で提案され助かった

といった嬉しいお言葉を多数、頂戴しております。

そこで本記事では書籍の紹介も交えながら、ソリューションアーキテクトという職種がシステム開発の現場において、皆様にどのような価値をご提供できるのか、その魅力について連載形式で紹介していきます。

注)これ以降、ソリューションアーキテクトについては”SA”と表記させていただきます。

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SAがシステム開発の現場で必要とされる背景

ここでは、SAという職種がなぜシステム開発の現場で必要とされるようになったのか、その背景を現在進行系で発生している開発現場の課題を元にご説明していきます。

IT技術の進化が生み出した新たな課題

近年、IT技術の進化は目を見張るものがあり、chatGPTや画像生成を中心としたAI技術でさえ、私達にとって身近な存在へと変わりつつあります。

このような技術の登場により、私達の生活はどんどん豊かになっていく一方で「もっと使いやすく」「もっと便利に」といった利用者からの要望が年々、高まっているのも事実です。

この「IT技術の普及」と「利用者の要望」が相乗効果で高まっていく時代背景のなか、サービスを提供するクライアントと、それを開発するベンダーは、今までにない新たな課題に直面することになります。

サービス提供側の課題:数ある選択肢の中から最適解を見出す難しさ

スマホやクラウドの普及を受け、サービスの提供者はIT技術を扱う経験と知見が増えた反面、「もっと便利で、使いやすく」という利用者からの要望に対して「膨大化する選択肢の中から自分たちにとって最適なものは何か?」を選ぶ難しさに直面することとなりました。

特に多く寄せられているのは”レガシーシステムモダナイゼーション”における課題で、

  • ・老朽化したシステムを刷新したいが、どこから手を付けていいかわからない
  • ・利用者の要望を実現するには対応規模が大きすぎて実現性が見えない

といった相談が近年は飛躍的に増えています。

サービス開発側の課題:高度化する要望に答えるために必要な業務理解の難しさ

次にサービス提供者側から依頼を受け、実際にシステム開発を行うベンダー側に目を向けて見ましょう。
こちらもやはり技術進化による課題は同じで、例えば、エンジニアは、「AIを使った注文書の自動生成」など今までになかった高度な要望と、それを実現するための最新技術の習得にどれだけあっても足りないジレンマを抱えています。
そして、プロジェクトマネージャー(PM)においても「クライアントの要望」「エンジニアの報告」その両方がハイレベルな内容となっており、これらをまとめあげて最適な提案・見積もりを作り上げるのは並大抵なことではなさそうです。

ここまででも大変な状況と言えそうですが、それに追い打ちをかけるように新たなハードルとして立ちはだかるのが”クライアントの業務理解”です。
先程述べた”レガシーシステムモダナイゼーション”を例にあげると、利用者が求めるユーザ体験を実現するには、対象となるサービスの現在の状況をしっかりと把握し、それら全てを漏れなく新サービスに刷新していく必要があります。
この業務理解を怠ると「リプレース後に従来のサービスで使えていた機能がない」といった絶対にあってはならないトラブルを招くことに…。

高度化する開発現場の課題に応える存在、それがSA

”最新技術から最適解の選定”、“対象サービスの業務理解”。このワードを見るだけでも、今までにない高い技術力が求められることは明らかといえます。

この課題を解決する存在として、近年注目を集めているのが、SA(ソリューションアーキテクト)なのです!!

SAの具体的な行動例として以下などが挙げられます。

  • クライアントから現行業務をヒアリングし、その内容をもとにプロジェクトマネージャーが最適な提案・見積もりを行えるよう業務フローやシステム構成図を作成
  • エンジニアが技術目線で見つけた課題に対して、それがサービスに及ぼす具体的な業務影響にまで内容を噛み砕き、クライアントへ共有し、一緒にリスク対策を行う

これはクライアントとベンダー、両者のかゆいところに手が届く存在をイメージしていただくとわかりやすいのではないでしょうか?

SAが目指すのは「全体最適化」という考え方

SAの行動理念は「全体最適化」という考え方に起因しており、常に俯瞰した視点でプロジェクトやサービス全体を捉え

  • クライアントからのサービス要望
  • プロジェクトマネージャーからのマネジメント要望
  • システムエンジニアからの技術要望

といった意見をフラットな視線で見つめ「何を選択するのが一番いいのか」を考え、その理由も合わせて関係者に助言を行います。

代替テキスト

このようにSAは、個々の発言や提案をまとめ上げるパイプ役を担ってくれるので、メンバーは自分たちのミッション活動に専念でき、それぞれが最大限のアウトプットを出し合う現場が生まれるのです。

ソリューションアーキテクトが提供する2つの価値

前章により、SAが必要となった背景と存在意義についてご理解いただけたかと思います。

ここからは、もう少しSAの具体的な行動を深掘りしながら、システム開発の現場でどのような価値を実際に提供してくれるのかを紹介していきたいと思います。

確実性の提供

不確定要素の多い上流工程を得意分野とし、プロジェクトを成功に導く

SAは、キャリアとしてプログラマー、システムエンジニア、プロジェクトリーダーとキャリアを重ねてきたメンバーが多く、豊富な知識と経験を持ちあわせています。

このキャリアを活かし、プロジェクト全体が不透明な上流工程段階から「過去の経験と知見」を最大限に活用させ、今回の開発における実現手段と今後発生する可能性が高いリスクを発見し、解決策と合わせてメンバーに共有します。

安定性の提供

メンバーの歯車役を担い、課題をいち早く解決

SAはクライアント、プロジェクトマネージャー、エンジニアの3者を繋ぎ、全体の歯車役としてプロジェクト進行やコミュニケーションの円滑化を成し遂げ、開発の現場に安定性を提供します。

実際の開発現場では「どうすれば円滑に開発を進められるか」「進行を妨げるリスクを未然に回避するには?」など全体最適の視点からプロジェクトをリードした行動をとる存在となります。

プロジェクトに潜むリスクをいち早く察知

既存のリリース済みサービスに追加の機能要望が発生したときの話です。要望自体も簡単で、すぐに対応できるので軽い気持ちで追加とリリース作業を実施しました。

ところが…

リリース後に想定していなかった他機能部分への影響が見つかり、それが原因でサービスが期待通り動かずクレームが…といった類似したトラブルに一度は見舞われたことがないでしょうか?

このようなケースでもSAは重要な役割を担い、トラブルの事前回避に貢献します。
SAは自分の担当範囲にとらわれず、常に俯瞰的な視点でサービス全体を把握することに努めているので「機能間の関係性」や「入力から出力までの処理」といった一貫性の見極めにも長けています。

今回紹介したような追加の機能要望に対してもSAがいれば、その変更がどこに影響して、なにをケアするべきかを早い段階から見出してくれた可能性が高いといえるでしょう。

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まとめ

IT技術の進化により、無数にあふれる選択肢の中から最適な選択と構築が求められる昨今。

今回ご紹介させて頂いたソリューションアーキテクトという存在は、皆様が抱えるお悩みを解決する選択肢の1つと言えるのではないでしょうか。ベンダー選びの際に、SAが在籍する企業に依頼することはプロジェクトの確実性や安定性を担保し、成功に導くために重要といっても過言ではありません。

次回は「SAが実践するプロジェクトの炎上を防ぐ、提案・見積もりの進め方」を予定しております!!

また、今回の記事に興味を持っていただけましたら、2023年11月に出版された『ソリューションアーキテクトが起こす、小さな現場革命 〜「炎上案件 ゼロ」を実現する上流工程の仕事術〜』にてSAのより詳しい業務内容をご紹介しておりますので、こちらもお手にとっていただけますと幸いです。

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記事の作成者・監修者

松下 智弘(株式会社モンスターラボ ソリューションアーキテクト エンジニアリングマネージャー)

松下 智弘(株式会社モンスターラボ ソリューションアーキテクト エンジニアリングマネージャー)

SIベンダーにて組込みエンジニアとしてキャリアをスタート。ここ数年はIoT系の新サービスを自ら立ち上げ、販売戦略策定・顧客訪問・セミナー開催・アーキテクチャ設計などサービスリリースに必要な工程を幅広く経験した後、22年にモンスターラボに入社。モットーは「クライアントのご要望を最適な形で実現する」