フレームワークとは、意思決定や分析、解決したい問題を特定の型に落とし込み、手順に沿って整理していくための、共通して利用できる思考の枠組みを意味します。
本記事で紹介する13個のフレームワークは、いずれも、ビジネスでの実践力を高めてくれるものです。論理的思考の整理と新規事業開発という、2つのビジネス目的に応じて紹介してますので、ぜひ参考にしてください。
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目次
フレームワークとは、端的にいうと、ビジネスで最短・最速で成果を上げることを目的に使われる思考の枠組みを指します。
なぜフレームワークは、仕事の成果を最短・最速で上げるためのツールになり得るのでしょうか。
それは、フレームワークが課題に対する問題を整理し、最善の解決策を得る方法をさまざまなアプローチで導いてくれるからです。
元からビジネスの才能のある人は別として、多くの人は、ビジネスにおける思考の型がありません。ビジネスコンセプトが浮かんだとしても、論理的に考え、最終的に具現化できないのがデフォルトなのです。
そうしたビジネスの初心者に対し、フレームワークは、課題の本質に迫るためのショートカットを提供してくれます。また、百戦錬磨の経営者であっても、一度作り上げたビジネスを再構築する際に大きな力になってくれるでしょう。
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★まとめ
ビジネスにフレームワークを用いることで得られるメリットは、際限がありません。
上記で挙げた「課題に対する問題を整理する」「課題の本質に迫れる」といったメリットの他にも、試行錯誤の時間を短縮したり、プレゼンで参加者の理解を得られやすかったりするメリットも享受できます。
ここでは、複数のメリットのうち、フレームワークそのものの使用性にもとづくメリットをお伝えします。
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フレームワークは、初めての取り組み(事業)でも迷わずに実践できるという応用性の高さを有します。
たとえば、とある男性が大手製パン会社の勤務経験を生かし、「県内で最も人が集まるパン屋を作る」と構想を描いて創業したとします。
構想に掲げた人が集まることは、売上が高くなることと同義であるため、事業を成功させるためにはまず自社を取り巻く環境への理解が不可欠です。
こうした自社を取り巻く環境や現状を理解する上で有効なのが、SWOT分析というフレームワークです。
詳しくは後述しますが、SWOT分析は、企業やプロジェクト、製品などを対象に、それらが持つ強みと弱み、それらを取り巻く機会と脅威の4つの側面から評価し、分析することでマーケティング戦略を立案する手法です。
男性は、立案中のプロジェクトや県内の競合他社を対象にSWOT分析をすることで、内部資源と外部環境に応じたマーケティング戦略を構築できるでしょう。
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フレームワークを使うことで、誰でも論理的な思考が可能になります。
物事を論理的に考えるロジカルシンキングは本来、習得にトレーニングが必要であり、一朝一夕に身につくものではありません。
しかし、フレームワークは、型に落とし込んで思考するというプロセスを通じ、自然なロジカルシンキングを実現します。
さらに、このロジカルシンキングは、さまざまなフレームワークを使うことで磨かれます。
この点、フレームワークは、知的生産力を高めてくれるトレーニング方法の一種といえるでしょう。
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ビジネスでは、物事を体系的に捉え、筋道を立てて考える論理的思考が不可欠です。
この論理的思考に役立つ代表的なフレームワークは下記の8つです。
それぞれのフレームの具体的な道筋も合わせて解説するので、ぜひ参考にしてください。
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MECE(ミーシー)とは、「Mutually Exclusive and Collective Exhaustive」の略で、「相互に、重複なく、全体的に、網羅的に」という意味で、漏れなく重複なく物事を考えるための手法です。
MECEは、ロジカルシンキングやさまざまな問題解決手法に共通する、基礎となる概念と言われています。
MECEの実行原則は、問題解決に当たる手法を漏れなく、ダブりなく集めることを念頭に置いており、非常にシンプルです。
たとえば、男性が付き合って3年目の彼女へのプレゼントを考えるとします。
この時、はじめにプレゼントの種類を形に残るもの、形に残らないもので分類します。
その上で、お金がかかるかかからないかでセグメント化します。
すると、プレゼントを「お金がかかり、形に残るもの」(アクセサリーやお花)と「お金がかからないが、形に残るもの」(手紙や寄せ書き)、「お金はかかるが、形に残らない」(旅行やコンサート)、「お金がかからず、形にも残らない」(夜景鑑賞やゆっくり話をすること)の4つに分類することが可能です。
俯瞰して見た時に、彼女に贈れるプレゼントを網羅できていることがわかるでしょう。
このように、MECEは、問題解決に向けて網羅的に思考できるのです。
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ロジックツリーは、MECE的な分解を積み重ね、障害になりうる全ての原因を図解するためのフレームワークです。
主題とする1つの問題を取り上げ、それを体系的に分割することで、適切なプロセス管理や問題の可視化を可能にします。
たとえば、あるSaaS製品を提供するIT企業に、クライアント企業からクレームが入ったとします。
その時、提供元の企業は問題を要素分解し、標準機能や動作、サービスなど、さまざまな問題をツリー状に考えていきます。
問題を階層的に考えた結果、企業は状況に適応した仮説を選定し、問題解決につなげられます。
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SCAMPERは、既存の商品やサービスを改善し、新しい製品やサービスを創出することを目的としたフレームワークです。
発想の拡張に貢献する以下の要素の頭文字から命名されました。
Substitute(代用する):現在のアイデアを切り替える
Combine(結合する):新しい製品やサービスを生み出すために、異なる要素を組み合わせる
Adapt(応用する):より良い結果を得るために、アイデアを微調整する
Modify(修正する):商品やサービスそのものを変更する
Put other uses(転用する):現在の商品やサービスの用途を変更する
Eliminate(削除・削減する):商品やサービスが持つ機能を削る
Reverse / Rearrange(逆転/再編集する):サービスを逆方向から実行および再編集する
たとえば、写真フイルムの主原料が肌の弾力性を維持するコラーゲンであることから、写真フイルムの原料から化粧品を生み出した富士フイルムの事例は、Combineの好事例にあたるでしょう。
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ピラミッドストラクチャーは、主張したい結論とその根拠をピラミッド状に図式化するフレームワークです。
1つの最上位の結論から細分化したピラミッド構造の根拠を、データや事実をもとに複数構成することで、何かを主張する際の説得力を高める目的があります。
ピラミッドストラクチャーの原則は、①結論をまず考える ②結論を支える根拠を分類する ③根拠をデータや事実で補強するの3つです。
たとえば、トップダウン方式で、まず「自社は海外市場に参入すべきだ」という結論を明示します。
そのうえで、事業機会の視点として「自社にとって海外市場は魅力的な市場だ」、財務の視点として「海外市場は自社の投資判断基準を変える」といった形で結論につながる根拠を分類化するのです。
最後に、それぞれの視点を「海外市場は拡大している」「海外市場に参入した場合、投資収益率は8%が見込まれる」など洞察した根拠を数字やデータ、事実補強します。以上のプロセスを通じ、結論と根拠の関係を論理的な構造で表せるでしょう。
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3C分析は、顧客(Customer)と競合(Competitor)、自社(Company)に沿って調査・分析を進め、マーケティング戦略を立案するフレームワークです。
これらの3つの要素を分析することで、主要な成功要因を見つけ、効果的なマーケティング戦略を立案できるメリットがあります。
ほとんど情報のない新たな事業について、限られた時間の中で検討する必要がある場合に有効と言われています。
たとえば、パソコンを開発するA社が、美しい画面という既存の強みをもとに、新規製品を開発するとします。
3C分析に基づきA社がはじめに実施すべきなのは、顧客調査です。
顧客調査によって、「価格が高い」「不要なソフトウェアが多い」といった不満の声が抽出できます。
そのうえで、競合他社の調査を実施することで、大きなスクリーンや多種多様なソフトウェアといった強みを持つ競合他社と比べた、自社の真の強みを把握できるのです。
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SWOT分析は、Strenght(強み)とWeakness(弱み)、Oppotunity(機会)、Threat(脅威)の略であり、自社が最も得意とすることを組織の内外を対象に分析した上で、将来に向けた成功戦略を考案するのに役立つフレームワークです。
内部要因では、競合と比較して優位性のある強みと、競合と比べて見劣りする弱みを調べます。
この内部要因は自らの努力によって改善可能です。自社のサービスや商品を改善するうえで役に立つでしょう。
一方、外部要因では、目標達成に向けて追い風となる機会と、目標達成の障害となる脅威を分析します。
外部要因は自社の力で変えることは難しいですが、商品やサービスの需要をどう開拓するのか、マーケティング戦略を立案する上で役に立つと考えられます。
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Plan(計画)、Do(実行)、Check(検証・評価)、Action(改善)の頭文字をとったPDCAは、商品やサービスを継続して改善していくためのフレームワークです。
会社や部署といった組織単位、プロジェクトや個人の作業といった業務レベルに問わず、PDCAのプロセスを回し続けることで、より良い結果を残せると言われています。
このPDCAでは、まず目標や方針を明らかにし、実行可能な計画に落とし込みます(Plan)。
続いておこなうのが、実行(Do)です。計画に従って着実に実行しながら、計画の進捗度合いを測ります。
ただし、計画を実行しっぱなしでは、事業を継続することはできません。
成果の達成度ややり方を評価し、成功や失敗の要因を分析しなければならないでしょう(Check)。
そのうえで、改善や修正を施し、反省点を次回の計画立案にフィードバックすることが大事です(Action)。
多くの企業では、すでにPDCAに類似した取り組みをしていると思いますが、このように意識的に取り組むことで、継続的に成果を導き出せます。
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バリューチェーンは、企業の事業を個別の活動に分解し、それぞれが生み出す価値とコストを分析することで、競争戦略上の優位性を見出すフレームワークです。
バリューチェーンでは、企業の活動は、製品の作成やサービスの実行に直接関係する購買や製造、物流、販売、サービスといった主活動と、主活動をサポートするための働きを持つ経営管理や人事管理、研究開発、調達といった支援活動に大別します。
こうした業務プロセスを分析することで、各活動が事業に寄与する価値と、関連するコストを決定します。
価値とコストが理解できたことで、達成しようとしている競争上の優位性が見出せるのです。
バリューチェーンは、強みを伸ばす上でも使われますが、最小限の労力で最大の投資収益率を提供する改善から始めるのが一般的です。
★バリューチェーンについて詳しくはこちら
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フレームワークが有効なのは、論理的思考だけではありません。
新規事業開発にも大きく貢献すると言われています。
本記事では、新規事業開発に役立つフレームワークとして
の5つを紹介します。
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リーンキャンバスは、ビジネスの全体像を1枚のシートで構成したフレームワークです。
「顧客セグメント」「圧倒的な優位性」「チャネル」「独自の価値提案」「ソリューション」「主要指標」「課題」「収益の流れ」「コスト構造」の9つの要素で構成されています。
なぜリーンキャンバスが新規事業の開拓に役立つかというと、9つの構成要素が自社の問題と解決に焦点が当てられており、それらを記載することで立てるべき事業計画が明確になるからです。
具体例を挙げると、リーンキャンバスをおこなったアパレル会社は、課題に「高価格の衣料品は手が届かない」「低価格商品に独自性がない」といった記載したほか、解決策に「低価格にもかかわらず、デザインが被らない商品の開発」を記載していました。
このほかにも、同社は、圧倒的な優位性に「著名デザイナーの起用」、チャネルに「若いモデルを使ったテレビCMの放映」を記載し、自社のビジネス理解に努めています。
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MVP(Minimum Viable Product)キャンバスは、新しい製品のアイデアを検証したり、既存製品のアイデアを明確にしたりするためのフレームワークです。
実用最小限の製品を意味するMVPは、下記の10要素で構成されます。
MVPキャンバスを描く上で留意すべきなのは、検証する対象が仮説になっている点です。
これは、MVPキャンバスが、新たな製品やサービスを顧客に受け入れてもらえるかどうかの、仮説検証のためのプロトタイプ製作を目的としているからだとされています。
この意味で、企業はMVPキャンバスの制作を通じて、誰も必要としない製品やサービスの開発を回避できるでしょう。
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バリュープロポジションキャンバスは、顧客にとっての商品の価値を示すためのフレームワークです。
競合の商品やサービスが乱立している現代社会で、競合以上にユーザーニーズに合致した商品・サービスを提供するために、重要なフレームワークと言われています。
バリュープロポジションは、プロダクト側と顧客側のそれぞれに3つの構成要素で構成されます。
プロダクトセグメント
顧客セグメント
それぞれの構成要素が、プロダクトの利益と顧客の願望に一致しているかを確認します。
キャンバスに描いたプロダクトと顧客の利害が一致すれば、顧客により高い価値を提供できる製品を作れるといっても良いでしょう。
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ビジネスモデルキャンバスは、ビジネスモデルをわかりやすく構造化された方法で理解するのに役立つフレームワークです。
リーンキャンバスと似ていますが、ビジネスモデルキャンバスは、顧客との関係も包含されており、サービスを提供する顧客にどのような価値提案ができ、自社がどのように収益を上げるかに焦点を当てています。
ビジネスモデルキャンバスは9つの要素で構成されています。
ただ、実際にフレームワークを使う上では、ビジネスモデルキャンバスに書き込むだけでは不十分です。
ビジネスモデルキャンバスでビジネスモデル全体を理解しつつ、顧客に焦点を当てたズームインと、外部環境を掴むためのズームアウトの両方のステップを繰り返すなどし、ビジネスモデルを修正する必要があるでしょう。
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デザインスプリントは、課題解決のアイデアを5日間という短期間でテスト、検証するために使われるフレームワークです。
新事業や具体的にやるべきことが見えないプロジェクトの課題探し、長期プロジェクトを視野に入れたトライアルを実施する目的で活用されています。
結果が速くでたり、チーム内のコミュニケーションの密度が上がったりするのが代表的なメリットです。
デザインスプリントの日程の内訳は、主に下記のようになっています。
1日目 課題の理解:データ分析や競合調査などで解決すべき課題を定義し分析
2日目 アイデア出し:課題解決に向けたアイデアを生み出す
3日目 採用するアイデアの決定:どのアイデアを採用し検証するかを決定
4日目 プロトタイプによる検証:実際に使用できるプロトタイプを作成
5日目 プロジェクトの課題とその解決策の検証:ユーザーテストや仮説検証を通じてプロトタイプの使われ方を観察し仮説を検証
デザインプリントで重要なのは、プロセス全体をユーザー目線で実施することです。
ユーザーを意識することで、スプリントの終了時に効果的なフィードバックを得られるでしょう。
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本記事では、ビジネスの問題解決に役立つフレームワークについて紹介してきました。
フレームワークを実践する時に重要なのは、現実のビジネスに当てはめながら、考え方をインプットすることです。
フレームワークの考え方を内在化することで、自社のビジネス成功のきっかけを掴むだけでなく、うまくリスクマネジメントできるようになるでしょう。
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