オフショア開発は、国内のIT人材不足も相まって、システム開発のコスト削減や高い技術の採用を目指す企業がよく用いる戦略の1つです。
一方で、安価な分、品質が低いのでは?といった疑問をお持ちの方も多いのではないでしょうか。
そこで本記事では、オフショア開発において品質が低いと判断されてしまうありがちなパターンとその解決策を解説いたします。
➡︎【資料ダウンロード】オフショア拠点を活用したラボ型開発チーム構築のご紹介
目次
オフショア開発は、企業が自社の開発業務を海外の開発チームに委託する形態です。主にコスト削減や、専門的な技術を持つ人材を活用する目的で行われます。
IT業界では、ソフトウェア開発やアプリケーション開発、システムインフラの構築などで広く利用されています。オフショア開発は、低コストで高品質な成果物を得ることができる一方で、品質の維持や進行管理が難しい場合もあります。
➡︎【資料ダウンロード】オフショア拠点を活用したラボ型開発チーム構築のご紹介
★オフショア開発について詳しくはこちら
オフショア開発において品質が低いと判断されるパターンにはどのようなものがあるでしょうか。実際に体験したり、見聞きした方もいらっしゃるのではないでしょうか。
以下では、オフショア開発における品質が低いとみなされる代表的なパターンを紹介します。
【セミナー動画】プロジェクト成功の裏側から探る〜オフショア開発で直面した課題とその解決策〜
オフショア開発の最も一般的な問題が、納期の遅延や予算超過です。オフショアチームと自社チームの間で進捗報告や調整がうまくいかないと、開発スケジュールが遅れることが多くあります。加えて、海外のチームが特定の技術に習熟していない場合、作業が予想以上に時間を要し、予算が超過することがあります。
納期遅延が発生すると、ビジネス上の計画が狂い、他の業務にまで影響を与える可能性があります。また、予算超過が続くと、コスト削減のためにオフショア開発を選んだ意味が薄れてしまいます。
オフショア開発では、想定外の成果物が納品されてしまうことがあります。たとえば、指示していない機能が足されている、日本では馴染みのないUX/UIデザインに仕上がっているなどです。
日本で使いやすいとされているデザインや機能が海外では異なる場合があります。国内の開発チームであれば、要件定義や仕様書に細かく指示がなくても、うまく状況を読み取って開発してくれることもありますが、異なる文化背景や言語を持つ海外エンジニアではそうもいきません。あらかじめ日本的な感覚が通用しないことを理解しておく必要があります。
システムやアプリケーションのパフォーマンスの低さが、品質の低さにつながるとも言えます。オフショア開発では、納期に追われることも多いため、開発チームがパフォーマンスの最適化に十分な時間やリソースを割かないことがあります。たとえば、最初に書いたコードを後回しにしてリファクタリングを行わないことがあります。この結果、非効率なコードや冗長な処理がそのまま残り、パフォーマンスの低下を招きます。
また、開発チームが自社のインフラ環境とは異なるサーバーやクラウド環境で作業を行っている場合、パフォーマンスのテストが不十分になる場合があります。たとえば、開発チームが自社の本番環境に比べてリソースが限られた環境で開発していると、最適化が不完全なままでアプリケーションがリリースされ、本番環境でパフォーマンスの問題が顕在化することがあります。システムの速度やレスポンスが遅い場合、ユーザー体験が損なわれ、顧客満足度が低下します。特に、リアルタイム処理を要求するシステムや大規模なデータベースを扱うシステムでは、パフォーマンスの最適化が極めて重要です。
セキュリティに関する問題もオフショア開発における大きな懸念事項です。オフショアチームがセキュリティの開発標準を守らなかったり、開発においてセキュリティテストが不十分な場合、システムに脆弱性が残る可能性があります。これにより、データ漏洩や不正アクセスといったセキュリティ事故が発生するリスクが高まります。
セキュリティは、すべての開発プロジェクトにおいて最優先事項であり、オフショア開発においてもその重要性は変わりません。適切なセキュリティ基準を設け、それに従うことが不可欠です。
オフショア開発において、ドキュメントが不十分であることも品質低下の一因です。開発中や完成後にどのような変更が行われたのか、どのような理由でその変更が行われたのかがわからないと、後々のメンテナンスやアップデートが困難になります。
良好なドキュメンテーションは、開発チーム内での知識共有を促進し、システムの変更やトラブルシューティングを効率的に行うために不可欠です。
オフショア開発チームは、自社の開発チームとは異なるコーディングスタイルや設計哲学を採用している場合があり、これがソースコードの可読性に影響を与えます。たとえば、インデントや命名規則が不統一だと、コードの理解が難しくなり、後の修正や機能追加が困難になります。
メンテナンス性が低いコードは、将来のバグ修正や機能追加を難しくし、後々の運用コストを増加させ、プロジェクトのライフサイクル全体に悪影響を与えます。
➡︎【資料ダウンロード】オフショア拠点を活用したラボ型開発チーム構築のご紹介
オフショア開発の品質低下には、さまざまな要因があります。以下に示す5つの要因は、特に大きな影響を与えることが多いです。
【セミナー動画】プロジェクト成功の裏側から探る〜オフショア開発で直面した課題とその解決策〜
オフショア開発で最もよく指摘される問題が、コミュニケーションの障壁です。開発チームが異なる国や地域にいる場合、言語や文化、タイムゾーンの違いが原因で意思疎通がうまくいかないことがあります。特に、言葉のニュアンスや技術的な用語の理解にズレが生じると、要求やフィードバックの誤解が発生しやすくなります。
この問題を解決するためには、コミュニケーションツールを活用し、定期的なミーティングを設けることが重要です。さらに、要件や進捗を文書化して、双方が確認できるようにすることも効果的です。
文化の違いは、オフショア開発における問題の一因です。特に、開発チームと自社の文化が大きく異なる場合、仕事に対するアプローチや優先順位が異なるため、プロジェクトが予定通り進まないことがあります。
文化的な誤解を防ぐためには、オフショアチームと定期的に情報を共有し、文化的な背景について理解を深めるための関係構築が重要です。
オフショア開発では、必要とされる技術スキルや知識が開発チームに不足している場合があります。特定の技術に精通しているチームを選定しなければ、プロジェクトの品質が低下することがあります。特に、高度な技術や特殊な分野に関する知識が不足している場合、問題が発生しやすくなります。
プロジェクト管理の不足は、オフショア開発の品質低下の大きな要因です。進捗状況や問題点が適切に把握されていない場合、納期の遅延や品質の低下を防ぐことが難しくなります。適切なプロジェクト管理を行うためには、進捗を可視化し、定期的なレビューを実施することが不可欠です。
品質管理のプロセスが欠如していると、コードレビューやテストが不十分になり、最終的な成果物の品質が低下します。オフショア開発では、品質管理の手順を標準化し、徹底することが重要です。
➡︎【資料ダウンロード】オフショア拠点を活用したラボ型開発チーム構築のご紹介
オフショア開発における品質を向上させるためには、いくつかの具体的な対策を実行する必要があります。
【セミナー動画】プロジェクト成功の裏側から探る〜オフショア開発で直面した課題とその解決策〜
オフショア開発では、円滑なコミュニケーションがプロジェクト成功のカギを握ります。定期的なビデオ会議や進捗報告を通じて、開発チームとの連携を強化しましょう。また、フィードバックを迅速に行い、問題が早期に解決されるように努めることが重要です。
コミュニケーションスタイルとしては、こちらの意図を汲みとってもらう、言わなくてもわかるだろうといった意識でコミュニケーションすると、期待した成果は得られないかもしれません。要望や希望は具体的かつ明確に伝える必要があります。
さらに、日本語ができる現地スタッフや、現地のエンジニアとコミュニケーションが取れる日本人スタッフやブリッジエンジニアを配置し、現地チームとのハブになってもらうことも良いでしょう。
オフショアチームを選定する際には、技術スキルや経験を慎重に評価することが不可欠です。また、事前にスキルチェックを行い、必要な技術力を持った開発者を選びましょう。
アジャイル開発などの柔軟なプロジェクト管理手法を導入することで、進捗を定期的に確認し、問題が早期に発見されるようにします。プロジェクト管理ツールを活用して、タスクや進行状況を透明化し、効率的な管理を実現しましょう。
★アジャイル開発について詳しくはこちら
開発の初期段階からテスト計画を立て、コードレビューやユニットテストを徹底することが重要です。品質管理手法を標準化し、プロジェクト全体で品質を確保する仕組みを構築することが必要です。
➡︎【資料ダウンロード】オフショア拠点を活用したラボ型開発チーム構築のご紹介
ここまで、本当にオフショア開発の品質は低いのか?という疑問に対して、要因と対策をみてきました。オフショア開発に限らず、国内のプロジェクトにおいても共通の課題がみえてきたのではないでしょうか。
特に、オフショア開発で品質を向上させるためには、コミュニケーション、文化理解、技術選定、プロジェクト管理、品質保証の各側面をしっかりと実行することが必要です。適切な対策を講じることで、オフショア開発でも高品質な成果物を得ることができます。
モンスターラボは、約20年にわたるサービス・プロダクト開発の実績から得られたデジタル領域の知見や技術力を活かし、デジタルプロダクト開発事業を展開しています。
弊社オフショア開発拠点では約700人の開発人材が所属しております。エンジニアの採用・育成が追い付かず、開発のリソースが足りない、そもそも開発組織の立ち上げ方がわからないといった課題や将来的な内製化まで伴走支援が可能です。
モンスターラボが提供するオフショア開発の詳しい概要は以下リンクをご確認ください。