製造業DXとは? 課題と事例を踏まえてわかりやすく解説

製造業DXとは? 課題と事例を踏まえてわかりやすく解説

製造業のDX(デジタルトランスフォーメーション)とは、製品・サービスを利用する人々の生活をより良い方向に変化させることです。

データやデジタル技術を活用して、製造プロセスから出荷後のデータまで一元管理し、現場にフィードバックを実施。そのうえで生産性と安全性を高めながら、コストを抑えたものづくりを目指すことが肝心です。

本記事では、単なるデジタル化・IT化に止まらない製造業のDXについてわかりやすく解説します。

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目次

製造業DXとは?

製造業においてDXとは、ものづくりの現場でこれまで培ってきたノウハウを個人の経験値として蓄積していくだけでなく、デジタル化により共有しやすくすること。

それを「リードタイム短縮・生産性向上・品質向上」に活かし、日々変動する顧客や社会のニーズに合わせてビジネスモデルに変革をもたらすことが重要です。

そもそもDXとは/DXのビジネスにおける意味

ビジネスにおけるDXとは「データやデジタル技術を駆使して、ビジネスに関わるすべての事象に変革をもたらす」ことです。経済産業省が発表したDXレポート2でも「素早く変革し続ける能力を身につけること、その中ではITシステムのみならず企業文化(固定概念)・風土を変革する」ことがDXの要と言及されています。

★DXについて詳しくはこちら

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なぜ製造業でDXが重視されているのか

コロナ禍の影響で、製造業は不確実性にさらされることを余儀なくされています。

経済産業省からも「新型コロナウイルス感染症の感染拡大以外にも、多くの外的要因が我が国製造業の事業判断に影響を及ぼすものと考えられており、かつ、これらは事前に発生や変化を想定することが難しい」(引用:ものづくり白書 2021)と言及されており、顧客や社会のニーズが日々変動していることが大きな要因です。

このような社会背景も後押しとなり、製造業におけるDX推進の重要性は高まりを見せています。

IPAが2023年2月に発表した「DX白書2023」によると、業種別のDX取組状況の調査において、製造業で「DXを実施している」と回答した企業は22.8%でした。まだまだ全体的な割合は少ないものの、徐々にDXへ取り組む企業は増加しており、若手人材の不足や技能継承といった課題の解決策として期待されています。

具体的には製造業DXに取り組む企業の事例として、以下のようなものが挙げられています。

1.  非接触で顧客を案内できる仕組みや現場の安全性、効率化を実現する取り組み
・自社展示施設におけるARナビゲーション活用
・現場データ見える化による建設生産プロセス変革

2. AIやIoTを用いた業務効率化や品質向上
・IoTによる生産ライン遠隔監視システム構築
・AIを活用した検品業務の効率化

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製造業DXによって実現できること

製造業DXに取り組むことで、以下のようなメリットが期待できます。

生産性の向上

AIやIoTなどをはじめとするデジタル技術の導入により、さまざまな業務を自動化・効率化できるため、生産性の向上につながります。また、人の業務を機械に代えていくことで作業の質の安定も担保されます。競争市場で品質を維持することは、顧客の信頼を得ることに繋がるため、DXは多岐にわたってメリットを及ぼします。

人手不足解消を担う代替手段としての活用

AIの導入などにより、人の手で作業していた業務の多くを機械が代わりに行うことができます。機械が担える業務は機械に任せることで、省人化が可能で、慢性的な人手不足にある製造業界においてメリットがあります。またこれにより、少数精鋭であっても、人にしかできないよりクリエイティブな業務に注力することを可能にします。

脱属人化

現場主義・職人文化により発展を遂げてきた日本の製造業では、いわゆるベテランの技術や経験則に依存し、業務プロセスそのものが属人化しやすい傾向にありました。その解消方法として業務マニュアルの整備といったことが行われているものの、未だに紙媒体で管理するなど、根本的な解消に至っていないケースもあります。属人化している業務を洗い出し、要否を精査した上で、デジタル上でデータ化すれば、業務の標準化をはかれるようになります。DXの最初のステップとしては取り組みやすいでしょう。業務の属人化が解消され、より付加価値の高い業務に人員を割けるようになれば、製品やサービスの品質向上にもつながるでしょう。

情報の可視化

デジタル技術の導入により、設備状況や生産状況をデータとして可視化できるようになります。また、作業工程が属人化しており、ブラックボックス化しているものもデータで可視化されることにより作業技術の標準化をはかれます。また、データを収集していることにより、トラブル発生時にも原因を究明しやすくなり、早期対応が可能です。

顧客満足度の向上

DXによって業務効率化や需要予測が可能になれば、顧客へ提供するサービス品質の向上につながります。スムーズなサービスインや顧客ニーズに合わせた新製品の提供、既存製品のブラッシュアップなどが可能になり、顧客満足度の向上が期待できるでしょう。

ダイナミック・ケイパビリティによる競争優位性の獲得

昨今、新型コロナウイルスの感染拡大や、ロシアによるウクライナ侵攻など、サプライチェーンに影響を与える予測不能な事態が発生しています。こういった予測不能な事態や不確実性は、例えば、原材料や部素材が調達できないために生産ラインが停止するなど、生産調整が必要となるリスクを孕んでいます。
このように技術や市場、環境の変化などの影響を受けやすい製造業では、市場や顧客のニーズといった変化に対応し、企業自ら変革していく「ダイナミック・ケイパビリティ」が求められます。目まぐるしく変化するVUCA時代においては、市場に対して柔軟な対応ができる体制を敷くことは必要不可欠です。そのため、DXは「ダイナミック・ケイパビリティ」を発揮する手段として重要な役割を担います。「ダイナミック・ケイパビリティ」を重視し経営を行う製造業事業者はまだまだ少ないため、いち早く取り入れることで競争優位性の構築も可能でしょう。

オーディナリー・ケイパビリティとダイナミック・ケイパビリティ(出典:製造業と取り巻く環境の変化/経済産業省

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製造業DXにおける課題

DXは情報やシステムなどを扱う業界に限らず、製品を作り出す製造業においても必要とされていますが、推進する過程にはさまざまな障害があります。経済産業省が2023年5月に発表したレポート『製造業を巡る現状と課題 今後の政策の方向性』を中心に、製造業のDXにおける主要な課題について紹介いたします。

★製造業におけるDX事例もご紹介

①ニーズや外的環境の急速な変化を捉えることが難しい

世の中のニーズが目まぐるしく変化し続ける現代は、先行きが不透明で将来の予測も立てづらいため、DXに対する取り組みの方向性が定まらない可能性があります。製造業においても、外的環境は変化を続けており、それに伴って顧客のニーズも大きく変化しています。汎用的で大量生産された製品からの価値創出は難しくなってきているため、柔軟な対応が必要です。方向性を明確にするためには、顧客とコミュニケーションを取り、会社のあるべき姿を明確にし、状況に応じたスピーディーな経営判断が求められます。

②製造業を取り巻く経済環境の変化

原材料や部素材を輸入に頼る製造業においても、世界経済と連動し影響を受けます。そのため、近年の新型コロナウイルス感染症の拡大やロシアによるウクライナ進行の影響は決して軽微なものではありません。このように製造業を取り巻く経済環境が悪化すると、新たな設備に投資するだけの資金を用意できない可能性があります。DXを進める上で設備投資がなければDX推進もままなりません。経済状況を読み解き、資金に余裕があるときに迅速に取り組んでいけるような体制づくりを進めていくことが大切です。

③人手不足と属人化の悪循環

少子高齢化による人口減少により、働き手が少なくなることは、製造業のようなマンパワーが必要となる業界では無視できない課題です。また、製造業の現場において、現場主義、職人文化の風潮が強く、現場の個人を中心に業務が展開しているケースが多く見受けられます。これにより結果的に、作業内容や現場の情報が共有されづらい環境となり、人材の確保、定着がうまくいかず技術継承が困難といった状況を招いています。

④データ利活用の障壁

製造業において、「事業に関わるデータ収集・利活用の実施状況」の調査結果をみると、大企業で約9割、 中小企業で約6割がデータの収集・利活用を行っているという結果ですが、社内の部門や事業所をまたぐデータの管理・ 利活用状況については、大企業、中小企業ともに、 3割強が必要性を理解しつつも、実施できていないとの結果が出ています。DXの取り組みのひとつとしてデータの収集・利活用がありますが、部門や事業所をまたぐデータの利活用を行う上での課題については、人材不足や知識不足、各部門の理解の欠如といった回答が大企業、中小企業ともに多く、特に大企業にみられる課題として、データフォーマット等の不一致が挙げられています。

⑤最適なIT投資ができていない

製造業界をはじめ、日本企業の多くは、与えられた経営資源をより効率的に利用して利益を最大化する「オーディナリー・ケイパビリティ」(ものごとを正しく行う能力)を重視する企業です。環境の変化に合わせて企業を変革する「ダイナミック・ケイパビリティ」(正しいことを行う能力)を重視する企業に転換していく必要があります。
というのも、IT投資において、「オーディナリー・ケイパビリティ」の企業は、平時の際の効率性や生産性を重視する旧来型システムの更新・維持を目的にIT投資を行いますが、「ダイナミック・ケイパビリティ」の企業は、不測の事態に対する柔軟性を重視し、業務効率化やコスト削減、ビジネスモデル変革、人材育成に重点を置いたIT投資を行う傾向があります。
市場のニーズも激しく変動する不確実性の高い現代では、後者のような取り組みが重要となってきます。しかしながら、データの利活用やデジタル人材の確保、育成などのDXを目的としたIT投資を行なっている企業の割合は未だ低く、これが製造業のDXを遅らせている課題の1つといえるでしょう。

企業のIT投資の主な目的(出典:製造業を巡る動向と今後の課題/経済産業省

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⑥ツール選定の難易度が高い

DXを推進するには、基盤となるITツールの導入が必要ですが、自社の課題や目的に即したツールを選定するには専門知識も必要で、難易度が高いのも実情です。
たとえば、予算をかけずにパッケージツールを導入し、業務フローのほうをパッケージツールに合わせることになり、かえって作業工数が増える、必要以上の要件でシステム開発を行い、従業員が使いこなせないツールとなり、システムが形骸化し旧来のアナログ管理に逆戻りしてしまったなどといったことも起こりかねません。
そういった知見がない場合は、外部にDX支援を依頼し、業務フローの見直しや適切なITツールの導入支援といった観点で依頼することも可能です。

⑦DXの知識を有する人材の採用・育成

多くの製造業事業者が、専門知識を有する人材の不足を課題とする中で、特にデータ連携に必要なスキルを持つ人材の不足等、DX推進に必要なデジタル人材が不足していると認識しています。

部門や事業所をまたぐデータ連携・利活用を行う上での課題(出典:製造業を取り巻く環境の変化/経済産業省

社内だけではなく、市場全体においてDX人材の確保は難しい昨今、自社内でDX人材を育成できる仕組みを整備することが重要です。

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製造業DXを成功させるポイント

これまで、製造業DXにおける現状認識や、メリット・課題についてみてきました。ここでは製造業DXを成功させるためのポイントについて紹介したいと思います。

 経営主導でDXを推進する

DXとは、デジタル技術を用いて、業務フローの改善や新たなビジネスモデルの創出だけでなく、レガシーシステムからの脱却や企業風土の変革を実現させる全社的変革を指します。したがって経営者自らがDXを主導する必要があります。DX推進が思うように進まないよくあるケースとして、既存のIT部門や新設のDX推進部門に丸投げしてしまうことです。抜本的な変革を図るには、組織間で横串を通し全体最適を図る取り組みが急務です。

ダイナミックケイパビリティを意識する

技術や市場、環境の変化などの影響を受けやすい製造業では、企業が自己変革していく能力である「ダイナミックケイパビリティ」が強く求められています。常に変化に対応して柔軟な意思決定やリソースの適切な活用ができるよう、「ダイナミックケイパビリティ」を意識した社内体制やシステムの構築が必要です。

DX人材の採用・育成

DXの取り組みをリード・実行できるDX人材の確保を積極的に行います。ただ、製造業の専門知識も有する人物となると条件は非常に限られるため、DXを進める上での人材育成は、採用も含め、中長期的な計画を策定し推進しましょう。新たに「DX推進部門」を作り、注力することが望ましいですが、新たに専任部門を作るといったリソースの確保が難しい場合は、DX推進支援を行う企業を活用することも一手です。

★DX人材について詳しくはこちら

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データ利活用を推進する

データ利活用とは、経営課題の解決や新たな価値の創出のためにデータを収集・分析してアプローチすることです。DXの実現にはデータ利活用が欠かせません。データを活用するためのデータ基盤の構築や、組織全体でデータ利活用を理解して業務に取り入れる文化の醸成が必要です。そのために、誰でもアクセス可能で取り出しやすいデータフォーマットの標準化を目指す必要がありそうです。

★データ利活用について詳しくはこちら

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製造業DXの進め方:4つのステップ

DX化の成功に大事なことは段階的に取り組んでいくことです。

収益モデルを変革して付加価値の高い製品を市場に出すことがDX推進の1つのゴールになりますが、付加価値創出や新たなビジネスモデルの構築に取り組むことを目的にしてしまうと、コストをかけたにもかかわらず効果を実感できないケースも少なくありません。
その大きな理由が、製造現場で活用するために収集・分析したデータが現実と一致していないこと。まずは精緻なデータ収集を可能にし、それに基づいた対策を現場とコミュニケーションを取りながら進めることが重要です。最終的に目指すDX後の姿を実現するためのプロセスを、4つのステップにして解説します。

①現場を理解し、実現イメージを全社で共有

製造業でDXを進める際に取り組むべき最初のステップは、実現したいイメージを社内全体で共有すること。DXにより実現したいイメージを共有する際は、現場で抱えている課題から考えることが効果的です。具体的な課題の解決方法を考えることで、自社で取り組むべきDXの戦略が導き出せます。また、DX化は個々の部門が独立して取り組んでしまうと効率が悪くなる可能性があります。そのため、経営陣が中心となり、各部門とコミュニケーションを取り、DX化への取り組みをまとめる必要があります。

②人材の確保とデータ収集

DXで実現したいイメージを明確化したあとは、目的達成に必要な人材を確保し、データを収集・分析し、市場のニーズを把握しながら進めていきます。社内にIT分野の人材がいない場合は、DX推進に向けて全体を統括できるスペシャリストを採用するようにしましょう。ただ、昨今の人材不足から、製造業界に限らず、IT人材・DX人材の確保は容易ではない任務になります。また、データや情報を扱うスペシャリストであることに加えて、製造業の専門知識のある人材を採用できることが理想的です。とはいえ、必ずしも条件に合致する人材を採用できるとは限らないため、社内の人材との掛け合わせによる採用戦略も想定されることが望ましいでしょう。

③業務の効率化

データが収集できた段階で業務全体を客観的に見直し、非効率な部分が見つかった場合は自動化などの改善を行います。DXの推進による業務効率化のポイントは、スモールスタートで始めること。社内の業務全体を突然変更してしまうと、現場が混乱するリスクが高まります。また、失敗した際の負担も大きくなる傾向があります。各部門でDXの取り組みを始めたあとは、効果検証を行うこと。施策に取り組むたびに効果を検証し、成果を確認したうえで次の業務効率化に移ると、DXをスムーズに推進できます。

製造現場のDXは主に「機械による業務の代替」と「データ収集による”見える化”とその活用」に分けられます。前者は今既に製造現場で行われている業務の中から自動化したいものを選択し、それに適したソリューションを導入します。例えば、協働ロボットで製造ラインの一部を自動化させたり、画像処理技術を有した検査装置によって検査工程を自動化するなどのケースが想定できます。

後者は計画〜製造〜出荷までの工程にまつわる様々なデータを収集し、製造現場が抱える課題を”見える化”します。その後、可視化された課題に対する有効なソリューションを施すことで、最適な生産効率を実現した製造現場へと近づけています。製造現場を”見える化”するためのソリューションとしては、生産管理システムや、AI技術を搭載したIoTプラットフォームなどが挙げられます。

④顧客ニーズを加味したビジネスモデルの変革

製品を販売するだけではなく、顧客のニーズの変化に合わせたビジネスモデルの変革を継続的に行い、顧客満足度や更なる要求を確認する必要があります。また、求められているサービスが次にどのように変化しているか察知し、次の価値変化に対応していくためにリアルデータを活用し、価値を生み出すプロセスを構築する必要があります。

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製造業におけるDX事例

日本国内の製造業におけるDX推進で、ビジネスに変革をもたらした事例を紹介します。

音声などの非接触操作による玄関ドアの開閉を可能にした新規サービス開発に貢献/株式会社LIXIL

LIXILは、国内最大手の建材・設備機器メーカー。人々が夢見る豊かで快適な住まいの実現を目指し、先進的な技術と製品を開発・提供しているグローバル企業。

音声などの非接触操作による玄関ドアの開閉を可能にした新規サービス『DOAC(ドアック)』をリリース。

音声操作にも対応

DOACアプリは、世界初の音声操作が可能な玄関ドアの自動開閉システムとして、住宅設備機器業界や各種メディアを中心に大きな注目を集めています。

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最新技術を行使した故障診断フローを提供することでダウンタイムを低減/株式会社クボタ

建機・農機などの製品を軸に世界各国にトータルソリューションを提供する株式会社クボタ。

同社が2020年12月にリリースした『Kubota Diagnostics(クボタ ダイアグノスティックス)』は、3Dモデル・AR機能を活用した故障診断ができる革新的なサービスです。

実際にアプリを使用し診断
実際にアプリを使用し診断

本サービスの目的は、経験や知識に頼らない故障診断フローを提供することでダウンタイムによる建機の稼働率低下を抑えること。特に故障診断のニーズが高かった米国市場にスコープを定め、開発されました。

また、サービスエンジニアの教育や人員の確保といった面でも今後の貢献が期待されています。

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グローバルに連携した工場IoTプラットフォーム/ダイキン工業株式会社

世界最大クラスの空調機器メーカーダイキン工業が推進するDXのひとつが『工場Iotプラットフォーム』です。

工場内のIoT活用の全体像(出典:製造業DX取組事例集|p41

大阪・堺に新工場(デジタル・ファクトリー)を設立し、

①製造現場データの発掘 

②データの収集と統合 

③データの見える化と分析

④顧客への価値提供(工場運営の高度化と効率化の同時実現)

上記のサイクルを回すことを構想し、工場のすべての設備をネットワークでつなぎ、情報収集の標準化を進めるための情報基盤である『工場IoTプラットフォーム』を整備しました。

日本でベースモデルを確立させ、各海外拠点とも連携し、各拠点でアプリ開発を可能とするなどオープン化を進めることで、グロー バルでの利活用されています。

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売上高を約2倍にした『プロセス参照モデル』/株式会社今野製作所

プロセス参照モデル」は、自社の業務プロセスや、エンジニアリングプロセスにおける社内連携体制について可視化したもの。

戦略を反映させたプロセス図(出典:製造業DX取組事例集|p4)

外部の専門家の援助を受け、業務プロセスの最適化に必要なシステムツールを小規模な開発で行い、業務改善に活用しています。

現場の課題を洗い出し、スモールスタートで成功させた事例のひとつです。

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まとめ:ノウハウのデジタル化が製造業DXを推進する

製造業におけるDXは、最終的な姿を目標に丁寧にスモールスタートしていくことが重要です。

顧客の消費行動が変化し、モノを所有することよりもそれに付随して得られる体験に価値を求めるようになりました。ただ製品を作って売るだけではなく、顧客が何を実現したいのか、そのために製品はどうあるべきなのかといった戦略的なマーケティングにDXを連動させる必要があると考えられます。

しかし、むやみに最終的な姿を目指してDXを進めても、社内の混乱を招くことになりかねません。製造業においては現場で培われる経験と勘を、現場が納得できる質を担保しながらデジタル化することが重要となります。

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宇野 智之(株式会社モンスターラボ 常務執行役員)

宇野 智之(株式会社モンスターラボ 常務執行役員)

2003年に独立系大手システムインテグレーション企業に入社。エンジニアを経て、PMとして組み込み/MobileApp/Webシステム開発案件を担当。大規模案件のマネジメントやオフショア開発を複数経験する。海外エンジニアとの開発における課題を解決することで、日本のIT人材不足の解決に貢献したいと考え、2015年にモンスターラボへ入社。2015年に豪州Bond University MBA取得。入社後はPM、PMO業務および組織マネジメント業務を担当。 2019年より、執行役員 デジタルコンサルティング事業部副事業部長・開発統括。2021年より上級執行役員 デリバリー統括責任者。プロフィールはこちら