モダナイゼーションとは、「現代化」という意味で、単なるレガシーシステム刷新にとどまらず、業務フローを最新のテクノロジーを用いて最適化し、組織がさらなるビジネス価値を創出できるように変革していくことです。DX推進に不可欠なプロセスであるモダナイゼーションは、「2025年の崖」を目前にした今、ビジネス界で注目を集めています。
本記事では、モダナイゼーションとマイグレーションの違い、モダナイゼーションのメリット・デメリット、ポイントや事例などを紹介します。
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目次
モダナイゼーションとは、モダナイゼーションとは、「現代化」という意味で、単なるレガシーシステム刷新にとどまらず、業務フローを最新のテクノロジーを用いて最適化し、組織がさらなるビジネス価値を創出できるように変革していくことです。
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レガシーシステムとは、長期間にわたり使用される中で、テクノロジーの進化やビジネス環境の変化に対応できなくなり、相対的に老朽化してしまったシステムを指します。
20~30年前から使われ続けている企業の基幹システムなどは、レガシーシステムの典型です。システムを長年使い続けていると、業務の変化に応じて機能追加や仕様変更を重ねることになります。
その結果、システムが複雑化したり、維持管理に莫大なコストを要したりと、使い勝手もコストパフォーマンスも悪いシステムへと変化してしまうのです。そのシステムへ対応できる人材が退職してブラックボックス化してしまうことも、レガシーシステムの大きな問題点です。
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モダナイゼーションと混同しやすい用語が、マイグレーションです。
いずれもシステム変更やアップグレードを伴う点では共通しますが、モダナイゼーションは最新技術やビジネス環境に合わせてシステム全体を最適化することを意味します。一方で、マイグレーションは既存のシステムを新たなシステムに置き換えることを意味します。ただし、この対象は必ずしもレガシーシステムとは限りません。
つまり、マイグレーションはシステム刷新そのものを目的とするのに対し、モダナイゼーションは従来の業務システムを現在のニーズに合わせて変革し、ビジネス全体の最適化を図ることが目的です。
モダナイゼーションが注目される背景には、「2025年の崖」問題があります。
「2025年の崖」とは、経済産業省が発表したDXレポートで言及された問題です。DXの実現に向けて、デジタル社会での競争力低下、システム維持・管理費の高騰、セキュリティリスクの高まりといった課題を克服できなかった場合、2025年以降に年間最大12兆円の経済損失が生じるという見込みが示されています。
これを回避するには、DXを急速に推し進めなくてはなりません。そして、DXの実現にはレガシーシステムのモダナイゼーションが必要不可欠なのです。
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モダナイゼーションは、現代のビジネス環境を生き抜くために必要なだけでなく、「生産性向上」「セキュリティ強化」「属人性の解消」といったメリットがあります。
1つ目のメリットは、最新のテクノロジーに最適化されたシステムの導入によって生産性が向上することです。
ハード面では、最新機器を導入することで端末の起動がスムーズになったり、消費電力が抑えられたりします。ソフト面では、豊富な機能を搭載したアプリケーションへの適応や、データ処理スピードの向上といった効果があります。
このように、業務の迅速化・効率化を実現できるだけでなく、オフラインで行っていた業務をオンラインで行ったり、手動で行っていた事務処理をデジタル化したりすることも可能です。
2つ目のメリットは、セキュリティが強化されることです。
企業に求められるITセキュリティのレベルは、数十年前とは比較にならないほど高まっており、レガシーシステムにおけるセキュリティ対策では対応しきれないことも増えています。また、テクノロジーの進化とともにサイバー攻撃も進化しています。現在の脅威に対応するには、最新のセキュリティツールの搭載と、それを可能にする環境整備が欠かせません。
モダナイゼーションによって最新のセキュリティ対策に対応し、リスクを低減できることも大きなメリットです。
長期間にわたり機能追加や改修を繰り返してきたレガシーシステムは、そのプロセスを知る一部の社員しか対応できない複雑なシステムへと化しています。
モダナイゼーションによってレガシーシステムから脱却し、業務を標準化することで属人化からの脱却も期待できます。
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では、モダナイゼーションを活用できる領域には、どういったものがあるでしょうか。
先述のとおり、モダナイゼーションは従来の業務システムを現在のニーズに合わせて変革し、ビジネス全体の最適化を図ることが目的ですので、たとえば、レガシーシステムのUI(ユーザーインターフェース)を刷新して、利便性やユーザーエクスペリエンス(UX)を改善させることやレガシーシステムに格納されたデータの管理やアクセシビリティを向上して、パフォーマンスやスケーラビリティー、セキュリティーを向上させることが可能です。
また、自動化やAIなどを活用して、業務プロセスを改善し、ビジネスの効率性や生産性を向上させることもモダナイゼーションの領域です。
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モダナイゼーションの手法としては、「リホスト」「リライト」「リビルド」「リプレース」の4種類が挙げられます。モダナイゼーションで達成したい目的や、割り当てられる予算・期間に応じて選択しましょう。
リホストは既存システムのアプリケーションやデータを、古いハードウェアやOSから最新のシステム基盤へ移行する手法です。
リホストは、業務の継続性を維持しながら比較的低コストかつ短期間に完了できる手法です。一方で、レガシーシステムのソフトウェアがそのまま引き継がれてしまう影響で、最新技術への対応が困難になりがちな点には注意する必要があります。
特に、オンプレミス環境で稼働するシステムをそのままクラウド環境に移行することは「クラウドリフト」といわれます。
リライトは、既存システムをベースに、古い言語から新しい言語へとプログラム言語を書き換え、新言語に統一する手法です。
自動変換ツールを用いて低コストでリライトを行うことも可能ですが、ツールの精度や書き換え前のドキュメント管理状況によっては、かえって人手や時間を要してしまうケースもあります。
リビルドは既存システムの仕様を維持しながら、新しい技術に基づいてシステムを再構築する手法です。
新システムの設計・実装の選択肢が広がり自由度の高い手法ですが、他の手法と比べて多大なコストがかかることが難点です。
リプレースは既存のシステムを新たなシステムへ移行し、置き換える手法です。
また、オンプレミス環境の業務システムをクラウド環境に移行(クラウドリフト)し、新しくシステムを構築する方法はクラウドシフトと呼ばれます。
リプレースは、システムを全面的に刷新するため、他の手法と比較してコストや作業負荷が高くなります。しかし、移行過程で業務プロセスの見直しやビジネスモデルへの最適化も行えるため、長期的視点で見るとDX推進にもっとも効果的なモダナイゼーションの手法と言えます。
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モダナイゼーションのプロセスは、大きく次の3段階に分けられます。
モダナイゼーションの最初のステップは、システムの現状を可視化し、モダナイゼーションの対象を見定めることです。
まずは自社のシステムがどのような状態にあるか、現場でどのように運用されているかなどを細かく分析し、現状を把握します。そのうえで「維持しなければならない部分」「変えても問題のない部分」「変えなければならない部分」を切り分け、モダナイゼーションの対象と優先順位を見極めます。
現状分析が不十分だと、無駄なコストをかけてしまったり、誤った手法を選択してしまったりします。効果的なモダナイゼーションを実現するためには、現状の可視化と分析のプロセスが重要です。
先のプロセスで現状の可視化とモダナイゼーションの対象を整理したら、モダナイゼーションの方針やあるべきゴールイメージを策定します。
次に、置き換えるシステムの比較検討に入ります。
それぞれのシステムには異なるメリット・デメリットがあります。例えば、クラウドシステムには柔軟性やスケーラビリティなどのメリットがあります。一方、セキュリティやカスタマイズ性を最優先したい場合は、オンプレミスのシステムを選択する方が最適な場合もあるかもしれません。
複数のシステムのメリット・デメリットを比較しながら、自社の課題解決に適したシステムを選択しましょう。
置き換えるシステムが決まったら、モダナイゼーションに割り当てる予算や人員、スケジュールなどの計画を立て、実行します。
計画段階で詳細かつ無理のないスケジュールを立てておくことが、モダナイゼーションを成功させるポイントです。どのような工程で進めるか、各工程にどのくらいの期間を要するか、どの作業を誰が担当するか、予算は十分に確保できるかなど、細かく検討しておきましょう。
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モダナイゼーションを成功させる上でのポイントは、主に次の4つがあります。
モダナイゼーションへの取り組みは、対象の決定から導入する技術や手法の決定、予算・人員・スケジュールの計画、実行まで、いくつもの細かな意思決定が求められます。一貫性のある適切な判断を迅速に下すには、モダナイゼーションを行う目的を明確化しておくことが重要です。
目的の明確化は、細かな判断の指針となるだけでなく、経営層に必要な費用や人員を説明する局面や、現場に協力を求める局面でも役立ちます。
モダナイゼーションはDX推進に不可欠なプロセスである一方で、リスクも伴います。レガシーシステムを前提として動いていたアプリケーションの操作に支障が出たり、移行過程でデータが破損する可能性なども考えられるでしょう。
システム全体にどのような影響があるか、リスク評価を必ず行い、適切な対策を講じる必要があります。
モダナイゼーションはシステム全体に影響を与えるため、部門横断的なコミュニケーションが求められます。
モダナイゼーションを成功へ導くには、既存システムがどのように使われているか、実際に業務を担当する現場の声をヒアリングする必要があります。また、新システムの仕様や機能を正しく理解してもらうことで、慣れないシステムに対する混乱を防げるでしょう。
定期的に意見聴取や情報共有の場を設け、モダナイゼーションのプロセス全体を通して円滑なコミュニケーションを確保することが大切です。
レガシーシステムから脱却し、モダナイゼーションの目的を達成するには、最適な技術の選択も重要なポイントとなります。
まずは実際にシステムを利用する担当者へのアンケートやヒアリングを実施し、ニーズや課題を正しく把握したうえで、それを解決するための最適な技術やシステムを選択することが大切です。
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最後に、モダナイゼーションの成功事例を3つ紹介します。
角上魚類ホールディングス株式会社は、関東・信越地方で鮮魚専門店を展開する企業です。同社は受注明細やセリ原票を手書きで処理していましたが、事業が拡大するにつれて誤配送や買い付けミスが増えていました。
そこで、市場で買い付けを行うバイヤーや配送担当者の負担軽減とミス防止を目的に、『セリ原票アプリ』を開発。市場特有の買い付け業務のフローを崩さずに効率化することを重視し、全体業務フローと課題の可視化、改善ポイントの洗い出しを行いました。
アプリの設計では、現場担当者の負担を最小化するUX/UIデザインを採用し、使いやすさを重視。また、アプリと基幹システムのスムーズな連携など、最新技術にも適応したシステムを開発しました。
従来のアナログな業務をデジタルに置き換えるモダナイゼーションにより、業務効率化やペーパーレス化を実現しています。
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株式会社ユニメイトは、レンタルユニフォーム事業を主軸に、各種ユニフォームの企画からクリーニングまでを手がける企業です。ユニフォーム事業では、クライアント企業のスタッフによる自己申告でサイズを把握していましたが、ヒューマンエラーによるサイズ違いが頻発し、返品・交換のコストや過剰在庫が課題となっていました。
そこで、正確なサイズを把握するため、AI画像認識を活用した自動採寸アプリ『AI×R Tailor(エアテイラー)』を開発。従来の採寸業務のヒアリングからスタートし、適切なサイズを導くマッチングロジックの創出を経て、高精度かつ利便性の高いアプリをリリースしました。
最新のAI技術を導入したモダナイゼーションによりオペレーションを改善させ、ビジネスのアップデートに成功しています。
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ティーペック株式会社は、健康医療に関する保険付帯サービスや企業の健康支援サービスを提供する会社です。従来は電話対応による健康・医療の相談事業を展開していましたが、加速するインターネットユーザーの増加を受けて、既存サービスのデジタル化を模索していました。
そこで、健康サポートWebサイト『plus Baton』を開発。既存の電話相談サービスの質を担保しながら、オンライン化とユーザーの利便性向上を図りました。
まずはオペレーションの把握から着手し、担当者ごとの操作性を損なわない仕組みを構築。また、チャットツールやデータ分析基盤の構築などデジタルならではの機能実装に加え、記事やお知らせを作成するヘッドレスCMSの構築、マーケティングツールとの連携も実現しました。
モダナイゼーションによって従来のサービスでは対応できなかったアフターフォローや情報発信の機能も充実し、ユーザーも管理担当者も使いやすいサービスが実現しました。
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「2025年の崖」を目前に、DX推進は待ったなしの状況です。DXを効果的に実現するためにも、単なるシステムの置き換えに留まらないモダナイゼーションが必要とされています。
モダナイゼーションにはさまざまな手法がありますが、最も重要なポイントは目的の明確化です。どの手法を選択するか、どれくらいのコストと時間をかけて進めるか、どのようなシステムを選択するかなど、モダナイゼーションのプロセス全体を通して意思決定を迫られる場面が多々あります。
自社のシステムの現状を細かく分析して課題を洗い出し、目的を定めたうえで、無理のないモダナイゼーションを着実に実行しましょう。
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