省人化とは?省力化・少人化との違いや企業の成功事例を詳しく紹介

省人化とは?省力化・少人化との違いや企業の成功事例を詳しく紹介

省人化とは、業務の無駄な工程を削減し、人員を減少させる取り組みのことです。少子高齢化による人手不足や、働き方改革による業務時間の削減により、昨今企業では「省人化」が注目を浴びています。人手不足の解消や生産性の向上には「省人化」が不可欠です。

本記事では、「省人化」とは何か、省力化・少人化との違いやメリット・デメリット、成功させるためのポイントや事例について紹介します。

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省人化とは?

省人化とは、業務の無駄な工程を削減し、人員を減少させる取り組みのことです。 機械やシステムの導入によって作業を効率化するだけでなく、 “人を省く”、つまり人員自体を削減するところまで踏み込んだ改善を指します。

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省力化との違い

省人化と同様に業務効率化に用いられる概念に、「省力化」があります。省力化は、機械やシステムの導入によって“力を省く”、つまり業務を効率化し楽にする取り組みのことです。省力化によって作業効率を高め、人を削減するまでに至った取り組みが省人化であるといえるでしょう。

少人化との違い

「省人化」と似た言葉に、「少人化」があります。「省人化」が業務の無駄な工程を削減し、人員を減少させる取り組みであるのに対し、「少人化」は後工程の需要の変化に応じて、最も少ない人数で業務に対応することを指します。業務効率化の初期は省人化を進め、最終的には少人化まで進めることにより、もっとも効率的な体制を実現します。

★まとめ
・省人化とは、業務の無駄な工程を削減し、人員を減少させる取り組みのこと。
・省力化とは、業務を効率化し、楽にする取り組みのこと。
・少人化とは後工程の需要の変化に応じて、最も少ない人数で業務に対応すること。

製造業での省人化取り組み状況

さまざまな業界で省人化の取り組みが進められていますが、製造業では特にその動きが活発です。経済産業省による『2022年版ものづくり白書』(令和4年5月)では、「ものづくりの工程・活動におけるデジタル技術の活用状況」の調査で約7割の企業がデジタル技術を活用していると回答しています。

「ものづくりの工程・活動におけるデジタル技術の活用状況」

出典:経済産業省「2022年版ものづくり白書(ものづくり基盤技術振興基本法第8条に基づく年次報告)」

デジタル技術を活用している企業では、生産性の向上や、開発・リードタイムの削減、作業負担の軽減や作業効率の改善といった効果がみられています。

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省人化の実現方法

これまで省人化の概要とその取り組み状況をみてきましたが、実際に省人化を実現するにはどのようなステップが必要なのでしょうか。
本章では、省人化の具体的な実現方法について解説します。

業務フローの見直し・改善

省人化を進める上で、まず必要となるのが現状の業務フローの洗い出しです。現在人が行っている業務のどの部分に省人化の可能性があるかを見出すため、業務を分解して評価します。
業務フローを見直すことで、業務上の課題の明確化をはかります。特に特定の人への依存度が高い仕事や、人へのストレスが大きい仕事、危険を伴う仕事、ルーティンワークなど、デジタルツールによる解決が見込まれる業務プロセスによく留意します。

業務の標準化

洗い出した業務プロセスを分析し、標準化を図ります。業務が標準化されていなければ、人によって手順や負荷が異なり、省力化、ひいては省人化の妨げとなります。
業務プロセスを標準化して属人化の解消を図ることで、将来的なデジタルツールへの代替に備えます。

デジタルツールの導入

標準化された業務プロセスに対し、デジタルツールの導入を検討します。昨今は、AIIoTなどの技術が発展し、システムに加え産業ロボットも高度な制御が可能になっています。ルーティンワークの効率化だけでなく、これまで人にしか実現ができなかったような仕事へのデジタルツールの採用も見込まれます。

このような最新のデジタルツールは、導入しただけで自社の課題が解決できるものではありません。標準化された業務プロセスを着実に遂行し、デジタルツールを使いこなす必要があります。デジタルツールが活用されれば、作業の効率化・自動化が推進でき、省人化を進められると言えるでしょう。

★AIについて詳しくはこちら

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★まとめ
・省人化の実現には、「業務フローの見直し・改善」「業務の標準化」「デジタルツールの導入検討」といった手順を踏むのが望ましい。
・デジタルツールは、導入するだけで課題解決できるものではない。

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省人化のメリット

省人化を実現することによって、どのようなメリットがあるのでしょうか。ここでは、「生産性の向上」「人手不足の解消」「サービス品質の向上」という代表的なメリットについて紹介します。

生産性の向上

これまで人手で行われてきた業務を機械やシステムに代替させることで、生産性の向上が見込まれます。代替した既存業務は、機械やシステムの処理能力を増やすことで生産性が向上します。一方で既存の人員は、生産性の高い別の部所へ異動させることで、より創出性の大きな業務に就くことができます。これにより、企業全体の生産性向上にもつながるといえるでしょう。

人手不足の解消

少子高齢化による労働者人口の減少のみならず、企業の働き方改革による労働時間削減も加わり、今後も中長期的な労働力不足が懸念されます。省人化を進めることにより、属人化が排除される、機械の代替によって危険な業務が減るなどの要因によって労働環境が改善されるという副次的効果も見込まれます。

サービス品質の向上

機械やシステムの導入により、人為的ミスを防ぐことができます。さらに、人が業務を行うことによって生じていた品質のばらつきも削減することができます。これらによって、業務品質の標準化と安定化につながります。
作業や業務の自動化によって、安定したサービス品質を保てるようになるといえます。

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省人化のデメリット

省人化には、生産性の向上や人手不足の解消、また人的ミスの低減など多くのメリットがありますが、デメリットはないのでしょうか。省人化の代表的なデメリットと考えられる「初期コストがかかる」「DX人材の獲得・育成が必要」という2点について紹介します。

初期コストがかかる

省人化の実現には、人の業務を置き換える機械やデジタルツールの導入が不可欠です。機械やデジタルツールの導入には初期投資が大きくかかる可能性があります。機械やデジタルツールの導入によってもたらされる効果を見積もり、事前に十分な投資対効果を検討する必要があります。

DX人材の獲得・育成が必要

新たな機械やデジタルツールを導入するには、これらを扱える人材が必要です。特に、デジタルツールの導入に際しては、DX人材の獲得・育成が不可欠です。DX人材が社内にいなければ、人材育成やリスキリング、もしくは外部からの新たな人材の獲得が必要となります。いずれの場合においても、人材育成のコストや新たに雇用する採用コストがかかります。

★DX人材について詳しくはこちら

★リスキリングについて詳しくはこちら

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省人化を成功させるためのポイント

これまで省人化の実現方法、省人化を行うことによるデメリットを見てきました。労働者人口の減少や働き方改革による業務時間の削減など、中長期的な問題へ対応していくには、省人化は有効な方法です。デメリットを理解した上で、成功に向けたポイントを抑えていきましょう。

DXの推進が必要不可欠

DX(デジタルトランスフォーメーション)」とは、企業がAI、IoT、ビッグデータなどのデジタル技術を用いて、業務フローの改善や新たなビジネスモデルの創出だけでなく、レガシーシステムからの脱却や企業風土の変革を実現させることを意味します。

IT化は既存の業務プロセスのまま業務効率化と生産性向上を図るのに対し、DXは社会や組織・ビジネスの仕組みそのものを変革することを意味します。

省人化においても、単なる機械やデジタルツールの導入による業務の置き換えでは、IT化の域を出ません。省力化レベルの効果となる可能性もあります。

真の省人化を実現するには、既存の業務フローを見直し、業務プロセスの標準化、ムダな業務の排除、ひいては組織体制の変革や企業風土の変革を行うことが重要となるでしょう。

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サービス開発も有効な手段

省人化の成功には、既存の機械やデジタルツールの導入を検討するだけでなく、自社の業務を効率化するための新たなサービスの開発も有効です。自社にとって優先度の高い要件から小さい開発サイクルを繰り返し、サービスインまでの期間を短縮するアジャイル開発という手法が現在では主流になっています。

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省人化の成功事例

では、実際に省人化を実現している企業の事例を見ていきましょう。

株式会社クボタ

建機・農機などの製品を軸に世界各国にトータルソリューションを提供する株式会社クボタ。同社は3Dモデル・ARを活用した故障診断アプリ『Kubota Diagnostics(クボタ ダイアグノスティックス)』を開発しました。

スマートフォンをかざして建機内部の故障箇所や対象部品の特定をビジュアルで認識できる機能により、各サービスエンジニアの知識・経験に関係なく故障箇所を迅速に割り出すことに成功。建機の内部を実際に確認する手間を省くことで、効率的な修理が行えるようになりました。

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株式会社ユニメイト

ユニメイト『AI×R Tailor』

レンタルユニフォーム事業を主軸に、各種ユニフォームの企画・生産・販売やクリーニングまでを手がける株式会社ユニメイト。同社はAIの画像認識を活用した自動採寸アプリ『AI×R Tailor(エアテイラー)』を開発しました。

従来はクライアントが属人的にサイズ申請を行っており、サイズ違いによる返品・交換・過剰在庫や廃棄といった問題が発生していました。そこでユニメイトは今まで手動で行っていた採寸をAIを活用した自動採寸アプリで自動化し、ヒューマンエラーの削減に成功。業務を効率化し、返品・交換の手間やコストの削減にもつながりました。

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角上魚類ホールディングス株式会社

角上漁業『セリ原票アプリ』

関東地方・信越地方で鮮魚専門店「角上魚類」を展開する角上魚類ホールディングス株式会社。同社は仕入れ業務をデジタル化した『セリ原票アプリ』を開発しました。

これまで市場での買い付け業務は手書きの受注明細やセリ原票を使用しており、発注・買い付けミスや誤配送、紙を使用することによる事務作業の負荷が課題となっていました。そこで角上魚類では、『セリ原票アプリ』の開発により買い付け・配送業務の効率化、ペーパーレス化を実現。リアルタイムで情報が連携できるようになったことで、基幹システムへの二重入力などの業務負荷も大きく改善されました。

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まとめ:真の省人化を実現するために

省人化とは、業務の無駄な工程を削減し、人員を減少させる取り組みのことです。 機械やシステムの導入によって作業を効率化するだけでなく、 “人を省く”、つまり人員自体を削減するところまで踏み込んだ改善を指します。

単なる業務効率化ではなく省人化まで踏み込んだ業務改革には、DX(デジタルトランスフォーメーション)の推進が必要不可欠です。

省人化では、既存の業務を機械やシステムに置き換えるだけではなく、業務フローを見直し、業務プロセスの標準化、ムダな業務の排除、ひいては組織体制の変革や企業風土の変革を行うことまでが重要となるからです。そのためには、自社の業務効率化にフィットした新たなサービス開発も有効な手段となるでしょう。

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