ビジネスモデルとは、企業が利益を生み出すために、「誰に」「何を」「どのように提供し」「どのように収益を上げるのか」をまとめたビジネスの設計思想です。
インターネットの技術革新やさまざまな業態の登場により、利益を基準とした概念であるビジネスモデルが注目されるようになりました。
ビジネスモデルを構成する要素やメリット、主要なビジネスモデルパターンや成功したビジネスモデルの事例について確認していきましょう。
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目次
ビジネスモデルとは、企業が活動し存続していくための利益を生み出すために、「誰に」「何を」「どのように提供し」「どのように収益を上げるのか」をまとめたビジネスの設計思想です。
1990年代のインターネットの技術革新により、さまざまな業態が出現し、従来存在した業界間の垣根は低くなりました。
また多くの業界が成熟し、顧客の選択肢が増えたため、シェアを伸ばしても商品を売るのが難しい状況になっています。
こういった中、従来の戦略が基準としていたシェアではなく、利益を基準とした概念であるビジネスモデルが注目されるようになったのです。
ビジネスモデルは、企業がどのような形で収益を上げているかを示すのに使われています。
★ビジネスモデルとは?
→企業が利益を生み出すためのビジネスの設計思想
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自社のビジネスモデルがあると、どのようなメリットとなるでしょうか。
ビジネスモデルを作る過程で、顧客価値の提供(CVP)を明確化することで、「やるべきこと」「やらないこと」が明確になります。つまり、投資の意思決定範囲の絞り込みにつながるのです。
投資とは、利益を見込んで事業に資本を出すことです。事業に資本を出すケースに限らず、将来の利益のためにお金を払うこと全般が「投資」と呼ばれます。
企業価値を高めるには、何に投資し、何に投資すべきではないか、の範囲の絞り込みが重要です。
ビジネスモデルを構成する4つの要素を1つ変えることで、ビジネスモデルの変更ができます。
たとえば、来客に飲食を提供していた飲食店が、「提供のプロセス」を変更することでデリバリー型、テイクアウト型などにビジネスモデルを変更し、飲食提供が可能になるのです。
このように、既存の顧客に対する、価値の提供方法の変更検討が容易になります。
他企業で成功しているビジネスモデルに自社の商品やサービスを当てはめてみると、思わぬ発見があります。
たとえば、カプセル型容器に入ったコーヒーをセットしてエスプレッソを作る機械「ネスプレッソ」は、カミソリメーカーのジレット社のジレットモデルと同様のビジネスモデルです。
同業種のビジネスモデルは似たものになりがちですが、あえて別業種のビジネスモデルを参照することで、新しい顧客の開拓につながるかもしれません。
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戦略策定の発案者マーク・ジョンソンのビジネスモデルは、「顧客価値の提供(CVP)」「利益方程式」「経営資源」「プロセス」という4つの要素で定義されています。それぞれについて詳しく見ていきましょう。
ビジネスモデル構成要素のうち、最も重要なものが「顧客価値の提供(CVP : Customer Value Proposition)」です。顧客価値の提供を定義するには、「顧客層(WHO)」「機能(WHAT)」「技術(HOW)」を決定します。
機能は製品やサービスが満たすべき顧客ニーズのことです。つまり、どのような顧客層をターゲットにし、顧客層にはどのようなニーズがあり、ニーズに応えるにはどのような技術が必要であるかを具体的に考えていきます。
どのように収益を上げるのかという、収益モデルやコスト構造、1単位あたり目標利益率、経営資源の回転率を「利益方程式」といいます。
顧客価値を提供できたとしても、利益が上がらなくては経営を続けることはできません。利益方程式で利益が上がるモデルを作る必要があります。
経営資源とは、CVPに必要な人・モノ・金・情報のことです。
「人」とは会社の従業員のことです。広義では協業先や委託先といったアウトソース先の人的資源も含みます。
「モノ」とは、製品そのものや、製品を製造する機械など、会社で所有する物理的な物を指しています。
「カネ」とは、経営資金のことです。
「情報」とは、会社のノウハウや顧客データ、パートナーシップやブランド、流通チャネルなど、無形資産全般を指します。
限りある経営資源を必要な箇所に割り当てていくことが事業を成功に導くポイントです。
プロセスとは、事業を継続・拡大していく上で必要な業務プロセスや、健全な企業経営を行っていくためのガバナンスを指します。
プロセスを作成し守っていくことで、企業価値の向上や競争力を高めることにつながります。
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ビジネスの構成要素や構造を可視化したフレームワークが、ビジネスモデルキャンバスです。
ビジネスモデルを構成する要素や、取り巻く要素を一枚のシートとしてわかりやすく表現します。
ここではビジネスモデルキャンバスを構成する9つの要素を紹介します。
詳細は以下の記事を参考にしてみてください。
価値を創造し届けたい人は誰か、といったターゲット
顧客にどんな価値を届け、顧客の抱えるどのような問題を解決しているのか
価値を顧客に提供し続けるために必要とされるすべてのリソース
価値提供のために組織が実行しなければならない重要なアクション
事業の外部リソースと活動を担うサプライヤー
顧客が確立・維持することを期待している関係性
顧客に事業の価値を届けるために必要なチャネル
ビジネスモデルの運用で発生するすべてのコスト
顧客に提供する価値が受け入れられた結果生まれるもの
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ビジネスモデルの主要なパターンにはどのようなものがあるでしょうか。
ここでは、池本正純監修『図解&事例で学ぶビジネスモデルの教科書』で紹介されている、持続的に利益を得られる12種類のビジネスモデルをご紹介します。
売買や情報交換などを目的とした「場(プラットフォーム)」を提供し、場に集まる売り手や買い手などから出店料や売買手数料などを集めるビジネスモデル。
楽天など、ネット上で小売店を集めるオンラインモールが代表例です。
マルチサイドプラットフォームで成功するポイントは、プラットフォーム利用のメリットを感じさせることです。
売れ筋商品のみならず、あまり売れないニッチ商品も数多く取り扱い、「塵も積もれば山となる」方式で大きな売上にするビジネスモデルです。
ニッチ商品を揃えることで、あそこに行けば何でも揃うといった評判へつながり、客を呼び込みます。
ネット通販サイトAmazonが代表例です。
多くの在庫を抱えることとなるので、物流の効率化をどのように行うかがポイントです。
商品の本体を低コストで提供し、本体のための付属品や消耗品などのランニングコストで継続的に利益を得るビジネスモデルです。カミソリメーカーのジレット社が実施したことで世の中に広まりました。
本体に付け替える付属品や消耗品を自社のみで販売すれば、顧客の囲い込みも可能となります。
コピー機のトナーやインクジェットプリンターのインクなども、ジレットモデルの代表例です。
フリーミアムではサービスの一部もしくはすべてを一旦無料で提供します。大量の無料ユーザー数のうち、一部のユーザーが高度なサービス(プレミアム)を購入し、利益につなげます。
プレミアムの種類は、無料サービスに機能を追加できるタイプ、広告表示などの制限を解除するタイプなどさまざまです。
料理レシピのコミュニティサイト「クックパッド」はフリーミアムの代表例です。有料のプレミアム会員になると、レシピの人気順検索などの機能が使えるようになります。
ノンフリルとは「飾り気の無い」という意味で、必要最小限のコアサービスを低価格で提供するビジネスモデルです。余剰サービスを省くことで高利益率の商品の単価を下げて提供します。飛行機の格安航空会社(LCC)が代表例です。
ポイントは、コアとなるサービスの質を高く保つことで、長く支持を得るようにする仕組みづくりとなります。
企業の一連の流れである「バリューチェーン」を分離し、特定の業務に特化し収益を上げるビジネスモデルです。
業務を顧客ニーズを満たす業務、製品開発業務、物流などのインフラを管理する業務のように特色で分け、顧客に合わせて提供します。
電力会社における、発電と送電部門を別会社にする「発送電分離」はアンバンドリングの一例です。
SPAとは“Speciality store retailer of Private label Apparel”の頭文字の造語で、商品の企画から製造、販売までを安くスピーディーに行う小売業形態です。
垂直統合型のモデルで、アンバンドリングと逆の形態ともいえます。
企画や製造を同じ会社で実施し、コストダウンにつなげます。店頭に商品が並ぶまでの時間も削減できるので流行をつかめるようにもなるのです。
ユニクロやH&MがSPAの代表例です。
社外とのコラボレーションにより、サービスの提供先を増やすことや、新しい価値あるサービスを生み出すビジネスモデルです。
手法として、社内のアイデアや技術といった資産を社外に公開し、新たな価値を生み出すとともにサービス提供の提携を行う「インサイドアウト」があります。
外部のアイデアを社内に取り込み、画期的なサービスを生み出す手法は「アウトサイドイン」と呼ばれます。
マイクロプロセッサのインターフェース構造技術をオープンにしたインテルは、インサイドアウトのオープンビジネス代表例です。
O2Oとは”Online to Offline”の略称で、インターネット顧客に対し、リアルの店舗へ誘導するビジネスモデルです。
Web上でのリアル店舗のクーポン発行や、来店ポイントの付与などはO2Oにあたります。
位置情報機能をもつスマホの普及により、企業は顧客に来店情報を促しやすくなったため、O2Oビジネスモデルはよく見られるようになりました。
「使った分だけ支払う」従量課金制のビジネスモデル。電気やガスもペイアズユーゴーの代表例です。
近年では、クラウドサーバーが月額従量課金制のペイアズユーゴーモデルでサービスの提供を行っています。
使った分だけ支払うためムダがなく、利用にお得を感じやすいのが特徴です。
すでに優れた商品やサービスをもっている企業(フランチャイザー)が、その事業を行いたい事業者(フランチャイジー)に、ビジネス実施の権利を与えるビジネスモデルです。
フランチャイザーは、フランチャイジーから得るロイヤリティを対価として、経営ノウハウの伝授や援助を行います。コンビニエンスストアやファストフードはフランチャイズが多い業界です。
BTOとは”Build To Order”の頭文字で、注文生産の仕組みです。
オーダーの範囲の限定などで部品数を削減。顧客のニーズに合わせて商品のカスタマイズを行い、在庫を減らし利益を上げます。
パソコンメーカーのDELLがBTOの仕組みを確立し、有名になりました。
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成功したビジネスモデルの事例として、Netflix、Amazon、メルカリについて見ていきましょう。
Netflixは配信登録制のストリーミングサービスです。契約すると、月額制のサブスクリプションでユーザーは映画やドラマをオンラインでいつでも見られます。
Netflixは新作を揃えるとともに、旧作も数多く取り揃え、動画配信に適用しています。つまり、ロングテール型のビジネスモデルです。
Netflixはグローバルに事業を展開する会社のため、多くの旧作というニッチなコンテンツが多くあったとしても、世界規模の顧客数を抱えているため、十分な需要を創り出せています。
Netflixと同じくロングテールのビジネスモデルの代表例であるAmazonは、多品種の商品を大量に取り揃えているネット小売業者です。
ネット上の小売店のため、売り場を持たないので品揃えに制限がありません。自前の巨大倉庫を持ち、流通コストを抑えることで高い利益率を挙げています。また、レコメンデーションというオススメ機能がロングテールを支えているのです。
ビジネスモデルとして、マルチサイドプラットフォームの側面も持ち合わせています。世界最大のネット小売店という知名度があるため、希少価値の高い商品もAmazonで売られるようになっています。
メルカリはマルチサイドプラットフォームの代表例です。
メルカリはネット上のフリーマーケットであり、一般消費者がメルカリという場を利用して商品を出品(出店)し、一般消費者が商品を購入します。
商品を購入した際、その金額の10%を決済手数料としてメルカリが回収する仕組みです。
メルカリでの出店は無料のため、多くのユーザーから人気を集めています。
誰でも気軽に出品できるよう、出品作業や送料設定を簡単にするさまざまな工夫を行っていることも、マルチサイドプラットフォームとしての魅力や知名度を上げている要因でしょう。
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企業が利益を生み出すための概念であるビジネスモデルについて、構成する要素やメリット、主要なビジネスモデルパターンや成功したビジネスモデルの事例を紹介しました。
自社のビジネスモデルを確認することで、「やるべきこと」「やらないこと」がわかり、既存事業の改善点も見つけやすくなります。
ビジネスモデルキャンバスで自社の環境や競争優位性を再確認してみましょう。
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