アジリティの意味とは?ビジネスにおける重要性・向上の仕方を解説

アジリティの意味とは?ビジネスにおける重要性・向上の仕方を解説

現在はグローバル化が進みビジネス環境が絶えず変化するVUCA時代です。このような状況で企業が持続可能性や競争力を高めるためには、スピード感だけでなく「アジリティ」も必要といわれます。
アジリティが高い組織には、状況判断能力の高さや柔軟な発想力を持つなどの特徴があります。経営者はアジリティを向上させるために何をすべきでしょうか。本記事では、アジリティの重要性や向上させる5つの方法、事例などを解説します。

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目次

アジリティとは

アジリティとは、日本語で「敏しょう性」や「機敏さ」を意味し、スポーツ分野で頻繁に使用される言葉です。
近年はビジネス用語として使う機会も増えており、組織の迅速かつ適切な対応力を指します。「アジリティが高い」とは、最新の情報を効果的に取り入れ、適切かつ迅速に意思決定ができる状態といえるでしょう。

★まとめ
・アジリティとは、変化に対して組織が迅速かつ適切な対応ができる能力
・市場のニーズや技術トレンドが急激に変化する現代では重要な力
・企業にとっては競争優位性と持続可能性の向上につながる

スピード、クイックネスとの違い

速さを表す言葉には「スピード=Speed」、「アジリティ=Agility」、「クイックネス=Quickness」の3種類があり、SAQと呼ばれています。これらはビジネス分野で、それぞれ異なる意味を持っています。

まずスピードは単純に速度の速さを指します。仕事やプロジェクトを進める期間が短いほどスピードが速いといえます。一方、クイックネスは俊敏性、つまり新しい情報や変化にどれだけ速く反応できるかを指します。アジリティはこれらの要素も持ちつつ、変化に対して柔軟に対応し、適切な行動をとる能力を含んでいます。

アジャイルとの違い

素早い・機敏なといった意味のアジャイル(Agile)も関連が深い言葉です。アジャイルは特にソフトウェア開発の分野で用いられる言葉で、柔軟かつ迅速に顧客の要求に応える開発手法を指します。
アジリティはアジャイルの名詞形で意味は共通していますが、ビジネス分野で使われるため、組織全体が持つべき特性という意味合いが強くなっています。

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アジリティが注目されている理由や背景

ビジネスシーンにおいてアジリティが注目されるようになった背景には、昨今の企業を取り巻くビジネススピードが飛躍的にアップしている状況があります。
デジタル化やAIの発展により、新しいサービスや新しい競合が次々と現れ、また顧客のニーズも日々変化し多様化している状況です。企業の存続を図るには、新しい競合やニーズに素早く対応して、競争優位性を確保する必要があります。

変動性が大きく不確実な時代背景

アジリティの重要性が高まっている背景には、VUCAという概念が関わっています。VUCAとは、Volatility(変動性)、Uncertainty(不確実性)、Complexity(複雑性)、Ambiguity(曖昧性)の頭文字を取った言葉で、現代のビジネス環境を表現したものです。

現代は変化の激しいVUCA時代といえ、企業は予測困難な変化に素早く対応し、適応する力が求められます。このような背景から、アジリティは現代のビジネスにおける企業の生存戦略として重要性が増しているのです。

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アジリティの高い組織6つの特徴

具体的にアジリティの高い組織にはどういった特徴があるのでしょうか。6つの観点から特徴を紹介します。

問題解決の速さ

問題発生時に素早く原因を特定し、適切な解決策を立案・実行できる企業は問題解決が速いといえます。この速さは、組織が危機や不測の事態に対応するための基本的なアジリティです。

状況判断能力の高さを有する

状況判断能力とは、組織が市場の変化や競争状況、内部の問題などを的確に捉え、適切な決定をする力を指します。アジリティが高い組織では、情報を迅速に収集・分析し、その結果に基づく判断を素早く行うことが可能です。

組織ビジョンや価値観が共有できている

ビジョンや価値観が組織の中で共有されることで、迅速な意思決定と各メンバーが一致団結して行動できる基盤となるでしょう。特に変化が激しいVUCAの状況下では、ビジョンや価値観を明確化し、各メンバーが自律的かつ一貫性を保ちながら行動することが必要です。

情報収集能力が高い

インターネットやSNSでは誤った情報も散見されるため、素早く正確な情報を集める能力には高い価値があります。そのためには、複数人の組織で客観的に精査しながら行うのが効果的です。また、収集する情報は市場動向や競合の動き、技術の最新トレンドといった外部環境だけでなく、組織内部の意見やフィードバックも含まれます。

柔軟な発想力と応用力がある

既存の枠にとらわれない発想力や、過去の事例をもとに応用力を効かせ、さまざまな課題にへの解決策を提示できる力を意味します。変化の激しいビジネス環境では、一方的な解決策や既存の方法に固執せず、異なる視点から物事を見つめ直し、多角的に問題解決に取り組むことが必要です。

リーダーシップを発揮する人材が多い

リーダーシップを発揮できる人材は、組織のビジョンや目標を理解しており、自主的な行動で他のメンバーを巻き込んで組織全体を動かします。アジリティの高い組織はトップだけでなく、従業員レベルでリーダーシップを発揮し、問題解決に取り組む人材が存在するのが特徴です。リーダーシップを発揮する人材が多いほど、変化に対するアジリティの高い対応ができるといえます。

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アジリティが高い人とは

組織のアジリティについて紹介しましたが、個人単位ではどのような特徴があるのでしょうか。アジリティの高い人とは、行動が早いだけではなく、正確性も兼ね備えた人を指します。

アジリティが高い人の特徴

アジリティが高い人は、行動力や自身が置かれた状況の判断力が高い点が特徴です。
変化や課題に対し、自発的に試行錯誤しながら施策を実行することができます。加えて、企業の外部環境と内部環境を客観的に分析できるため、最適な判断をしやすいのです。

アジリティが高いメリットと低いデメリット

アジリティが高い人は、変化を恐れずに状況に適応し、新しい知識を学び続ける意欲があります。その結果、行動力や着手するスピードが向上するのがメリットといえるでしょう。組織としても、環境変化に柔軟に対応しやすくなり、アジリティの高い人がチームやプロジェクトを成功に導いてくれやすくなるのがメリットです。また、社員一人ひとりの決断力、行動力が高まるうえチームメンバーに権限移譲(エンパワーメント)を行うことで組織全体の意思決定のスピードが高まるのも、社会情勢の激しい昨今のビジネスシーンへの対応力の向上に繋げられるでしょう。

一方で低い人は、変化に対する適応能力や問題解決能力が弱く、課題に対して適切な対応が難しい場合があります。その場合、効率性の向上が難しく、組織にとってはチームの生産性を低下させ、プロジェクトの遅延や失敗を招くリスクがある点がデメリットです。さらにアジリティを高められなければ、日本における従来の典型的な組織体系である「ピラミッド型」からの脱却が難しく、情報伝達や意思決定に関わる課題解決が難しくなります。

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経営におけるアジリティ向上の意義

企業を取り巻くビジネス環境が目まぐるしく変化する昨今、企業組織におけるアジリティ向上は急務です。経営者にとって、アジリティを向上させる意義は何でしょうか。

まず、企業の競争力を高めて組織を持続させることが挙げられます。アジリティを高めることで新たな競合他社にも対応でき、競争優位性と事業継続性の向上につながるためです。
また、顧客満足度を向上させることもできるようになります。アジリティを高めれば、消費者のニーズも変化するなかでトレンドを捉えたサービスを提供しやすくなるためです。そのほか、イノベーションも促進されるため、長期的にも経営にとっての意義は大きいといえます。

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組織のアジリティを向上させる5つのポイント

時流の変化に柔軟に対応できる組織であるためにはアジリティの向上が重要です。組織のアジリティを高めるポイントを5つご紹介いたします。

現場に裁量を与える

現場に裁量を与えることで、具体的な問題解決や改善策を現場から引き出すことができ、より迅速かつ効果的な対応を可能にします。
現場は経営者よりも、日々の業務の中で生じる問題や改善の可能性をよく理解しています。その知識と経験を活用し、自律的に意思決定や行動をとることができる環境を整えることで、組織全体としてのアジリティを高めることができるでしょう。

経営理念やビジョンを根付かせる

ビジョンや経営理念は組織の方向性を示し、従業員にとっては行動の基準となります。これらを1人ひとりに浸透させることで、組織全体が同じ目標に向かって一致団結し、迅速で適切な意思決定を行いやすくなるでしょう。
また、明確なビジョンや経営理念は、不確実性の高い状況下でも組織の方向性を見失わないようにする効果もあります。

現行の業務プロセスを見直す

時代や環境の変化により、古くなった方法や不必要な業務は必ずといってよいほど生じます。プロセスの洗い出し・ボトルネックの特定・PDCAサイクルによる改善などによって、業務プロセスを定期的に見直すことができ、効率化とアジリティ向上につながるでしょう。

スキルアップできる環境を整える

社員1人ひとりにスキルアップのための機会を提供することも重要です。教育やトレーニングの提供はもちろん、新しい経験を積むために仕事を任せることも含みます。
組織全体のアジリティは、従業員の行動力や判断力に大きく依存します。それぞれのメンバーがスキルアップを図れる環境を整えることで、組織全体のアジリティを高めることができるでしょう。

情報共有のためのツールを導入・活用する

組織内で必要な情報を共有し、適切な意思決定を素早く行うためには、ITツールの導入も検討しましょう。具体的にはドキュメント共有ツールや、チャットツールなどが効果的です。これらを活用することで、組織内の正確で迅速なコミュニケーションを実現し、アジリティの高い組織作りに貢献できるでしょう。

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アジリティ組織を活用し成功したビジネス事例

最後にアジリティ組織を活用してシステム開発に成功した企業を紹介いたします。

手書き作業のデジタル化による効率化(角上魚類)

主に関東・信越地方で鮮魚専門店を展開する角上魚類ホールディングスでは、中央卸売市場での買い付け業務にて手書きの業務プロセスが中心でした。紙の使用による業務負担や、発注・買い付けミスなどが課題となっており、仕入れ業務をデジタル管理できる「セリ原票アプリ」の開発を実施。可能な限り既存の業務フローに合わせたUIデザインにした結果、手書き作業と遜色ない使い勝手の良さが評価され、ペーパーレス化も実現しました。

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ビジュアルを重視した故障診断アプリで属人化を解消(クボタ)


世界各地のユーザーニーズに対応した建機・農機を提供するクボタでは、修理対応が現地販売代理店のサービスエンジニアごとに属人化している点が課題となっていました。
そこで、エラーコードや不具合症状を入力するだけで、自動的に点検箇所や修理方法が表示されるシンプルな故障診断フローを構築。スマートフォンをかざすだけで、建機内部の故障箇所や部品をビジュアルで認識できる機能も搭載しました。その結果、サービスエンジニアの知識・経験に頼る業務が減り、アプリの世界展開も期待されています。

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アプリのフルリニューアルでコロナ禍の変化に対応(Gardens by the Bay)


シンガポールの植物園「Gardens by the Bay」は代表的な観光施設です。しかし、同施設の公式アプリはUXデザインに課題を抱えており、混雑時間帯の偏りや入場時の混雑といった課題につながっていました。
そこでユーザーのタッチポイントごとに快適な体験を提供できるよう、アプリをフルリニューアル。オンラインチケット機能や予約整理券発行機能を搭載しました。その結果、COVID-19のパンデミックに対しても、感染対策を遵守した運営を実現できました。

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まとめ:マネジメントの最適化で組織のアジリティを向上

アジリティは変化に対する迅速かつ柔軟な組織の対応力を指します。企業にとっては、顧客満足度や競争力の向上などをもたらすでしょう。
組織のアジリティを高めるには、現場に裁量を与え、経営理念やビジョンを浸透させることが重要です。また、業務プロセスの見直しやITツールの導入で、情報収集や適切な判断をしやすくすることも必要になります。
競争が激化し不確実性が高まる現代のビジネス環境において、アジリティは組織と個人の成功を左右する重要な要素です。経営者が率先して、アジリティを高める環境づくりを行いましょう。

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