サービスブループリントとは?メリットや作り方をわかりやすく解説

サービスブループリント

サービスブループリントは、サービス業務の全体像を一目で把握できるツールです。顧客の行動、スタッフのアクション、内部プロセスを可視化し、情報共有や改善を行います。本記事では、サービスブループリントのメリットや基本的な構成要素、作成方法を解説します。サービス業務の改善や効率化に役立ててください。

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サービスブループリントとは?

デサービスブループリントは、サービス提供のプロセスを視覚化するツールで、カスタマーエクスペリエンス(CX)の向上や内部プロセスの最適化に役立ちます。顧客の行動、サービス提供者のアクション、内部プロセスを図示し、全体像を把握しやすくします。

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サービスブループリントを作成する目的

サービスブループリントの目的は、サービスの全体像やフローを明確に把握すること

つまり、企業が自社のサービスと、そのサービスを可能にしている基盤(リソースやプロセス)を包括的に関係者全員が一貫した理解を持ち、顧客体験を向上させるための無駄やボトルネックを発見し、効率的な業務プロセスを設計するために用いられます。

また、業務内容を整理・理解していくうえで、一般的なユーザビリティの側面と個々のタッチポイントの設計と併せて重点を置くことで、サービスの顧客体験の向上に大幅に寄与します。

カスタマージャーニーとの違い

サービスブループリントはカスタマージャーニーと似ていますが、異なる特徴を持っています。カスタマージャーニーは顧客の視点からサービスを理解するツールである一方、サービスブループリントはサービスの裏側まで可視化します。

例:ECサイト

  • カスタマージャーニー:顧客がウェブサイトで商品を購入するまでの過程
  • サービスブループリント:その過程におけるカスタマーサポートやシステムの動作も含めて描写

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ビジネスモデルキャンバスとの相互関係

さらに、サービスブループリントとビジネスモデルキャンバスを連携させることで、より効果的なサービス設計とビジネスモデルの構築に役立てることができます。

ビジネスモデルキャンバスとは、事業全体の戦略や価値提供を視覚的に整理するためのツールです。顧客セグメント、価値提案、チャネル、収益の流れなど、ビジネスモデルの各要素を明確にすることに重点を置いています。

ビジネスモデルキャンバスを使って事業の全体像を把握した後、そのモデルに基づいて具体的なサービス提供プロセスを詳細に描写できるサービスブループリントを作成することで、戦略と実行の間のギャップを埋めることができます。

★ビジネスモデルキャンバスについて詳しくはこちら

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サービスブループリントのメリット

サービスブループリントのメリットは以下の3つです。

  • 1.サービスの全体像の把握と部門間の意思疎通
  • 2.ボトルネックや企業の弱点の把握
  • 3.最適化ポイントの特定

1. サービスの全体像の把握と部門間の意思疎通

サービスブループリントは、企業が提供するサービスの全体像を視覚的に捉えることができるツールです。各部門がどのように連携し、顧客にサービスを提供しているかを一目で理解できるため、部門間のコミュニケーションが円滑になり、無駄や重複を排除し、効率的なサービス提供が可能になります。

2. ボトルネックや企業の弱点の把握

サービスブループリントを活用することで、サービス提供プロセスの各段階を細かく分析し、業務のボトルネックや改善の余地を明確にできます。企業の弱点を把握できたら、迅速に対応してサービス品質の向上に繋げましょう。

3. 最適化ポイントの特定

サービスブループリントを使用することで、サービス提供の各段階において最適化すべきポイントを特定できます。リソースの配分や業務の再構築が容易になり、全体のパフォーマンスを向上させることができます。

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サービスブループリントの基本要素

サービスブループリントは以下の4つの基本要素で構成されます。

  • 1.カスタマーアクション
  • 2.フロントステージアクション
  • 3.バックステージアクション
  • 4.サポートプロセス

1.カスタマーアクション

カスタマーアクションはサービスブループリントの中心にある要素です。顧客のステップを詳細に描写することで、顧客が困難に感じやすい瞬間、満足を感じやすい瞬間を把握します。

例:オンラインショッピングにおけるカスタマーアクション
  └商品検索、カートへの追加、決済情報入力など

2. フロントステージアクション

フロントステージアクションは顧客に直接見える部分のアクションです。これを記載することで、顧客との接点におけるサービスの質や状況を認識することができます。

例:接客業でのカウンター対応、カスタマーサポートの電話対応など

3. バックステージアクション

バックステージアクションは顧客には見えない部分で行われるアクションです。内部プロセスやサポート業務などが該当します。顧客の目には触れませんが、サービス全体の質に大きく影響する項目です。

例:レストランの場合
シェフが厨房で料理を作る作業や、管理部門が在庫を管理する活動などがバックステージアクションに該当

4.サポートプロセス

サポートプロセスはサービス提供を支えるために必要なバックオフィスの活動やインフラのことです。これには、ITシステム、物流、管理業務などが含まれます。サービス提供においてどんなプロセスが重要な役割を果たしているかを理解するために重要な項目です。

例:レストランのサービスブループリント
  予約の受け付け、席の案内、注文の取りまとめ、調理、料理の提供、会計といった各プロセスを具体的に記載する

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サービスブループリントの3つの境界線

サービスブループリントには以下の3つの境界線が存在します。

  • 1.インタラクションの境界線
  • 2.可視境界線
  • 3.組織内のインタラクションの境界線

1. インタラクションの境界線

インタラクションの境界線は、顧客と従業員の間のやり取りを明確にする境界線です。これにより、サービスプロセスの中で顧客と従業員が直接関わる部分を理解しやすくなります。

2. 可視境界線

可視境界線は、顧客が直接見ることができる領域と、見ることができない領域を区別する境界線です。サービスの運用管理や改善点を明確に把握できます。

3. 組織内のインタラクションの境界線

組織内のインタラクションの境界線を記載することで、各部門の役割や責任の所在が明確になり、業務の効率化や円滑な連携が図れます。

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サービスブループリントの作り方

出典:https://www.nngroup.com/articles/service-blueprints-definition/

サービスブループリントの作成にはいくつかのステップがあります。

  • 1.目的と要件を設定
  • 2.カスタマーアクションを記載
  • 3.フロントステージのアクションを記載
  • 4.バックステージのアクションを記載
  • 5.プロセスを記載
  • 6.関係者との共有・改善

1. 目的と要件を設定

サービスブループリントを作成する際に、まず目的と要件を明確に設定します。明確な目的と要件がなければ、プロジェクトの方向性が曖昧になり、効果的な計画や実行が困難になります。

例えば、サービスブループリントの目的が顧客満足度の向上であった場合、要件には顧客フィードバックの収集や分析が含まれます。顧客の声を収集し、現在のサービス提供プロセスのどこに問題があるかを特定することが重要です。さらに、そのデータを基に具体的な改善策を策定し、それに応じた変更をブループリントに反映する必要があります。

2. カスタマーアクションを記載

ユーザーがサービスを利用する際の全体的な流れを把握するために、カスタマーアクションを記載します。これにより、ユーザーの行動の各段階で発生する問題点を特定し、効率的に改善することができます。

例えば、オンラインショッピングサイトの場合、カスタマーアクションとして「商品を検索」「カートに追加」「会計に進む」などのステップを記載することが考えられます。この項目を詳細に記載することで、ユーザーがどのようにサイトを利用するのかを具体的に把握できます。

3. フロントステージのアクションを記載

フロントステージのアクションは、顧客が直接接触するサービスの部分を明確にするために必要です。顧客がどのようにサービスを体験するのかを理解し、サービスの改善点や強化すべきポイントを特定します。

例えば、顧客がオンラインストアで商品を購入する場合のフロントステージアクションには、サイトのナビゲーション、商品検索、カートへの追加、決済手続きなどがあります。

4. バックステージのアクションを記載

バックステージのアクションはサービス提供の裏側で行われる重要な業務を明確にします。詳細に記載することで、サービス全体の把握と改善が可能になります。

例えば、ホテルのバックステージのアクションとしては、予約システムの管理、清掃チームのスケジューリング、在庫管理などが含まれます。

5. プロセスを記載

サービスブループリントにおいて、プロセスを記載することで、各ステップがどのように連携しているかを理解しやすくなり、全体像を把握できます。

例えば、顧客の注文から商品の配達までのプロセスを詳細に記載することで、各部門間の連携がスムーズになり、遅延の原因を特定することが可能です。また、最適なタイミングでの人員配置などの改善ができます。

6. 関係者との共有・改善

最後に、サービスブループリントは関係者全員と共有することも非常に重要です。関係者全員で認識をすり合わせ、定期的に見直して改善を続けることで、各関係者が全体のフローにおける自分の役割を理解し、異なる部門間の相互理解が生まれるからです。また、チーム全体で見直すことで、現場では気がつかない改善点が見つかるケースも多々あります。

また、一度作成して終わりではなく、定期的に見直して改善を続けることも重要です。これにより、サービスの提供フローが常に最適化され、顧客満足度の向上や業務効率の向上に繋がるのです。

まとめ:業務フローに最適化されたシステムを構築できていますか?

ここまで、サービスブループリントを活用するメリットや作り方のポイントを解説してきました。サービスのCX向上には、業務フローを網羅したシステムを構築することが重要です。その際、顧客接点のないバックステージまでを考慮した、サービスの全体像を把握できるサービスブループリントが役立ちます。

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