ローカライズとは?ビジネスを世界で成功させるポイントや翻訳との違いも解説

ローカライズとは?ビジネスを世界で成功させるポイントや翻訳との違いも解説

ローカライズとは、製品やサービスを、別の国や地域でも受け入れられるように最適化することです。現在ではさまざまな業界で、対象の国や地域でも親しみが湧き、広く利用してもらえるように、デザイン変更や機能の追加を行うことが一般的になっています。ローカライズはなぜ必要なのか?ローカライズと翻訳の違い、ローカライズを行ううえでのポイントやメディアごとの注意点を解説していきます。

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ローカライズの意味・定義

ローカライズとは、製品やサービスを、別の国や地域でも受け入れられるように最適化することです。対象国や地域の言語や習慣などの文化を踏まえたうえで、言語翻訳やデザイン修正、機能追加など、サービス全体に渡る修正を行います。

ローカライズは、地域化やローカライゼーションやローカリゼーションと呼ばれることがあります。Localizationを省略して「L10N」とも呼ばれることも。これは最初のLと最後のN、そして間に10文字省略されていることを表しています。

もともとローカライズとはIT業界で主に使われていた言葉で、ソフトウェアやシステムのメニューやメッセージを翻訳することで、別の地域や国でも利用可能にすることを指していました。

現在ではさまざまな業界で、対象の国や地域でも親しみが湧き、広く利用してもらえるように、デザイン変更や機能の追加を行うことが一般的になっています。

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★ローカライズとは?
 ➡︎製品やサービスを、別の国や地域でも受け入れられるように最適化すること

  • ・製品やサービスを、別の国や地域でも受け入れられるように最適化すること
  • ・対象国や地域の言語や習慣などの文化を踏まえた言語翻訳やデザイン修正、機能追加を行う
  • ・IT業界のみならずさまざまな業界で行われるようになってきている

ローカライズが必要な理由

地域でサービスを展開する場合、文章の翻訳を必要とするケースがありますが、文章を直訳するだけでは意味が通じない場合もあります。

たとえば、英語の「It is no good crying for the moon.」という文章。直訳すると「月を欲しがって泣くのは良くない」という意味になります。これでは意味がよくわかりませんよね。”cry for the moon”は慣用句のようなもので、「ないものねだり」という意味があります。「ないものねだりは良くない」と訳す方が伝わりやすくなるでしょう。

意味が通じるだけではなく、より受け入れられるようにする例もあります。たとえばディズニー映画の「アナと雪の女王」。この映画のタイトルは日本向けにローカライズされています。原題は「Frozen」です。Frozenは「凍った」「極寒の」といった意味ですが、この意味をそのままタイトルにしていたら、日本では広く受け入れられなかった可能性もありますよね。

サービスに何も改変を加えないまま対象国や地域に持ち込んでしまうと、宗教や法律上の問題が発生することもあります。文化や習慣など、さまざまな点を考慮し、各地域で親しみをもてるサービスとすることが重要です。

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ローカライズと翻訳との違い

翻訳とは、文章を他の言語に置き換えて表すことです。プロの翻訳家さんは直訳で訳さず、把握した概念を、自然な言葉で再構成されている方もいらっしゃると思います。

では、ローカライズと翻訳はどこが異なるのでしょうか。

ローカライズでは、マーケティングしやすい形で最適化を行います。つまり、翻訳に加え、ブランディングやターゲティングといった要素を含みます。

翻訳は主に言葉のみの作業です。ローカライズでは言葉のみならず、デザインや表記といったあらゆるものを、各地域に受け入れられるように修正することまでを指すのです。

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ローカライズのポイント

さまざまなメディアのローカライズには、共通するポイントがあります。それは、ローカライズ対象地域や対象サービスへの理解、自然な翻訳やデザインを意識することです。詳細について確認していきましょう。

ローカライズ対象地域について理解する

対象地域で広く受け入れられるためには、地域のことを深く理解する必要があります。

具体的には言語や文化、習慣や法律、はたまた時事ネタや流行を知り、現地の人と同じ感覚を掴む必要があります。地域でタブーとされることを避け、地域のニーズを把握することが重要です。

ローカライズするサービスによっては、通信環境などのインフラ状況の確認が必要な場合もあります。

ローカライズ対象サービスについて理解する

ローカライズを行うには、対象サービスについてもよく理解しておく必要があります。

たとえば、標準語で話すはずのアニメのキャラクターが関西弁を話しはじめると、かなり違和感がありますよね。サービスの背景を知らずにローカライズを行うと、世界観を伝えられない可能性がありますので注意が必要です。

用語を統一し、自然な翻訳を行う

ローカライズするサービス用語の統一がされていない場合や、スペルミスや文法の誤りがあるとユーザーの信頼を損ねることになります。

用語を統一するためには、文体、用語、文字表記などを定めておく「スタイルガイド」を用意して翻訳を行うとよいでしょう。

対象地域で受け入れられるデザインにする

地域によってデザインから受け取る意味は変わります。代表的なものとして、見せ方とレイアウト、画像や記号、色の調整について確認していきましょう。

見せ方

見せ方のトレンドは、国によって異なります。

たとえば、アメリカでは最初のページで画像と見出しを大きく表示し、それらが目立つよう余白を大きく取っています。そして「詳しくは次のページで」など、情報提供のページを別途用意するスタイルが確認できるでしょう。一方、日本では1ページ内に画像や文字を詰め込む例が多く見受けられます。

どのような見せ方をすると、地域の人々が親しみを感じ、受け入れやすいかを考慮するのは大事なポイントです。

レイアウト

言語が異なると、同じ単語でも文字数が異なってきますので、テキストのレイアウト調整は重要な要素となります。

少々極端な例ですが、英語の「chrysanthemum」は日本語だと「菊」と1文字です。日本語は漢字という表意文字が存在しているので必然的に短くなります。

また、英語のように左から右に向かって文字を書く言語(左横書き言語 )もありますが、アラビア語のように右から左に向かって書く言語(右横書き言語 )もあります。日本語は、縦書きで文字を書く場合もありますね。

このように、言語によって文字の長さや文字を書き進める方向が変わってくるため、ローカライズ対象地域の言語を考慮してレイアウト調整を行う必要があります。

画像や記号、色の調整

画像や写真、記号、色は文化によって受け止められ方が変わる場合もあります。

たとえば、日本語では解答用紙などで正解の場合、丸印をつけますよね。ですがヨーロッパ言語や中国語圏では、解答が間違っている場合、丸印をつかう傾向があります。

画像や色も同様に受け止められ方が地域で異なる場合がありますので、その地域でのマーケティングにふさわしいかを都度確認するとよいでしょう。

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メディアごとのローカライズのポイント

ローカライズを行う際、メディアごとに異なる意識すべきポイントはどのような点でしょうか。メディアのうちWebサイト、アプリ、広告やマニュアルをローカライズする場合、とくに意識すべきポイントを紹介します。

Webサイト

Webサイトをローカライズするうえでのポイントは、その地域で受け入れられるサイトデザインになっていることと、SEOです。ここではSEOについて紹介します。

サイトデザインについてはローカライズのポイントでご紹介した「対象地域で受け入れられるデザインにする」を参照ください。

SEO(Search Engine Optimization)とは、Webサイトを検索上位に表示させるために行う作業を指します。日本語で「検索エンジン最適化」という意味です。

SEOとして、Webサイトのキーワードやメタデータなどの設定をローカライズしましょう。とくに、hreflangタグは設定することで、ユーザーの言語に合わせたページを検索結果に表示できます。

アプリ

アプリのローカライズには、多様な言語や地域に適合できるようにする「国際化」と、アプリストア最適化である「ASO」が必要です。

国際化

国際化とは、ソフトウェアにあらかじめ多言語、多地域向けの表示をするよう考慮しておくことです。ソフトウェア作成後に、プログラムを変更することなく、プログラムが読み込む設定ファイルなどを変更するだけでさまざまな言語や地域への適応が可能になるのです。

具体的には、文字セットや日付、数値の区切りや通貨、文字の方向などを対応地域や言語分考慮してプログラミングをしておきます。

国際化は、インターナショナリゼーションや「i18n」と呼ばれることもあります。

ASO

ASOとはApp Store Optimizationの略で、アプリストア最適化を意味します。

ストアランキングでアプリを見つけた方に、ダウンロードしてもらうために、App Storeで検索キーワードが含まれる要素や画像を整える必要があり、この作業をASOと呼びます。

具体的には、検索キーワードが含まれる、アプリ名や説明文、アップデートの説明やアプリカテゴリをローカライズしていきましょう。

アプリのアイコンやスクリーンショット、紹介の動画なども地域で受け入れられやすいものを用意しましょう。

広告(マーケティング)

広告の媒体としては、動画やWeb広告、SNS広告があります。Web広告のポイントは、前述のWebサイトの内容と同等になります。ここでは動画広告とSNS広告のローカライズのポイントについて確認していきましょう。

動画

CMなど動画のローカリゼーションを行う際に、動画が各地域ごとに用意されているとベストですが、ハードルが高くなります。動画制作会社の多くは、なるべく少ない数の動画を用意し、音声を吹き替える、もしくは字幕の追加を行っているでしょう。

動画で気をつける点の1つ目は、文化固有の要素に気を配ることです。文化固有の要素はなるべく削除し、各地域のタブーに触れないようにしましょう。

広告は、国や言語を超えて通じる、グローバル市場を意識したテーマとするとよいでしょう。

SNS広告

SNSは、地域によって使われているSNSサービスが異なります。地域でより受け入れられやすいSNSサービスを選定しましょう。

発信する際は、アカウントを複数使いましょう。言語ごとや、大企業では発信エリアごとにアカウントを作成している場合もあります。

カナダのように複数の言語を公用語としている国もあります。この場合はアカウントを分けずに、一つの投稿に複数の言語でメッセージを入れるのも効果的です。

マニュアル

マニュアルは取扱説明書や作業の手順です。何をすればよいか判断できるよう、スタイルガイドをしっかりと用意し、文書で使用する表記と表現を統一したうえ、用語を統一しましょう。

ローカライズにおいては、頻出用語を統一するための用語と定義および、訳語をまとめた対訳用語集が重要になります。

画像を使った操作説明の場合、ユーザーが直接操作するボタンなどのUI(ユーザーインターフェース)の用語が統一されていることも大事です。

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モンスターラボのローカライズ事例

モンスターラボグループは17ヵ国28都市に拠点を持ち、さまざまなサービスのグローバル展開をビジネスの上流からデザイン、開発までワンストップで支援しています。ここでは一例としてアプリのローカライズ事例を紹介します。

クボタ|故障診断アプリ『Kubota Diagnostics(クボタ ダイアグノスティックス)』

建機・農機メーカーの大手クボタは、グローバルに製品を展開しています。同社がグローバル展開において感じていた課題は、現地販売代理店のサービスエンジニアの手で行われている建機の修理が、担当者の経験・スキルによってはマニュアルだけではサポートできないという点。

ダウンタイムによる建機の稼働率低下は、ユーザーの収益減少に直結します。そのため、迅速かつ効率的で誰にでもわかりやすく、サービスエンジニアの能力に左右されない故障診断サポートが求められていました。

モンスターラボはこれらの解決策として、故障診断アプリを開発。エラーコードや不具合症状を入力するだけ点検箇所や修理方法が表示されるシンプルな故障診断フローを構築しました。

米国での故障診断のニーズが最も高かったことから、運用開始と効果検証のスコープを米国市場に設定。

その後のグローバル展開も視野に入れ、モンスターラボはグローバル市場における知見を持つプロダクト開発のパートナーとして支援を継続しています。

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まとめ:ビジネスの海外展開を成功させるための手段がローカライズ

製品やサービスを、別の国や地域で受け入れてもらうための手段であるローカライズ。ローカライズの意味や必要な理由、ローカライズを行ううえでのポイントなどを紹介しました。

ローカライズを行うことで言語や国、地域といった壁を低くし、海外展開の実現も可能となります。現地の人にとって少しでも違和感があると、ローカライズはうまくいったとは言えなくなってしまうので、ローカライズ作業はできるだけ現地の方に確認してもらうようにしましょう。

海外展開を検討している企業ご担当者様へ

モンスターラボでは、世界各国のスペシャリストがチームを組み、さまざまな業界・業種のデジタルサービス/プロダクト開発から、UX/UIデザイン、ブランド開発、グロースハックまで幅広く支援しています。。

さらに、世界各国の拠点とネットワークを活かし、お客様のビジネスの海外展開も支援しています。対象地域におけるビジネス立案から現地調査まで、これまで培ったグローバルな支援実績をもとに伴走支援します。

モンスターラボが提供するサポートの詳しい概要は以下リンクをご確認ください。

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記事の作成者・監修者

宇野 智之(株式会社モンスターラボ 常務執行役員)

宇野 智之(株式会社モンスターラボ 常務執行役員)

2003年に独立系大手システムインテグレーション企業に入社。エンジニアを経て、PMとして組み込み/MobileApp/Webシステム開発案件を担当。大規模案件のマネジメントやオフショア開発を複数経験する。海外エンジニアとの開発における課題を解決することで、日本のIT人材不足の解決に貢献したいと考え、2015年にモンスターラボへ入社。2015年に豪州Bond University MBA取得。入社後はPM、PMO業務および組織マネジメント業務を担当。 2019年より、執行役員 デジタルコンサルティング事業部副事業部長・開発統括。2021年より上級執行役員 デリバリー統括責任者。プロフィールはこちら