【2023年版】DXで使える補助金・助成金一覧/申請方法や注意点を紹介

DXで使える補助金・助成金一覧/申請方法や注意点を紹介

働き方改革やアフターコロナにおけるビジネス環境の変化を受けて、企業がDXを推進する重要性が高まっています。一方で、DXに取り組む意欲はあるものの、予算不足を理由に足踏みする企業や事業者も少なくありません。本記事では、DXにかかる費用について解説したうえで、DX推進に活用し得る補助金・助成金の概要を一覧で紹介します。

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目次

DX(デジタルトランスフォーメーション)とは?

DXとは、デジタルトランスフォーメーションの略で、デジタル技術の浸透により変革をもたらすことを意味します。DXは元々、2004年にスウェーデンのウメオ大学のエリック・ストルターマン教授によって提唱された概念で、社会全体の変革を指すものでした。日本では現在、ビジネス領域で多く使われています。そこでは主に、企業が旧来型のレガシーシステムから脱却し、革新的な変革によって新たなビジネスモデルを創出することを意味しています。

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DX推進に必要な5つの要素

DXを推進するには、次の5つの要素が不可欠です。

  1. 経営戦略と経営者によるリーダーシップ
  2. 投資等の意思決定のあり方
  3. DX推進のための体制構築
  4. 全社的なITシステム構築に向けた体制整備と人材育成
  5. 成果の特定と成果を測る指標

DXは、単なるデジタル化ではありません。経営陣には、ITシステムとビジネスとを一体で捉え、新たな価値創造に向けた経営戦略を描くことが求められます。そのうえで、ビジョンを明確に発信し、リーダーシップを発揮しながらDXを進めなくてはなりません。IT資産等に投資する際にも、既存ビジネスの効率化・省力化にとどまらない付加価値や新規ビジネスの創出を視野に入れて意思決定すべきです。

また、DX推進のための体制整備も必要です。システム構築や人材育成においては、IT部門単独で変革するのではなく、経営企画部門から事業部門まで組織横断的な変革を図りましょう。さらには、DXの進捗や成果を客観的に確認できるよう、あらかじめ明確な指標を設定しておくことも重要です。

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DX推進にかかる費用について

本格的にDXを進めるには、数百万円~数千万円のコストがかかります。実際の金額は、達成したいDXの規模や期間によって大きく異なります。また、企業内にすでにIT人材がいるかどうか、DXに活用できるシステムが一部導入されているかどうかなど、企業の元々の技術レベルによっても変わってきます。以下では、具体的に必要とされる費用の項目を紹介します。

DX推進にかかる社内体制等の構築費

DXを成功させるには、部門横断的な社内体制の構築が欠かせません。各部門の代表者で構成するプロジェクトチームを立ち上げたうえで、ときには専門家の助けも借りながら変革を進めていくことになります。このため、社内体制等の構築費として、プロジェクトチームを運用するための経費や、コンサルティングに支払う費用がかかります。

DX人材の採用費用や研修・教育費

DX推進に適した人材を新たに採用するケースもあれば、コンサルタント等に外注しつつ、並行して社内研修やIT教育を実施して社内人材を育成するケースもあります。いずれにせよ、人材採用や研修・教育のための費用が必須になります。

ITツール導入・開発費や設備にかかる経費

DX推進においては、ITツールを単体で導入するだけでは不十分です。相互に連携可能な複数のツールを導入したり、ときには自社の事業にカスタマイズされたシステムを開発したりするケースも少なくありません。また、DXによって大胆な事業変革を目指す場合は、生産施設や機械装置を刷新することもあります。これらITツールの導入、システム開発、設備の刷新にかかる経費も、DX推進において必ず発生する費用です。

DXに関する研究・調査や宣伝にかかる経費

DX推進によって新価値を創出するには、市場調査が欠かせません。同時に、社内でDX推進の達成度を測る調査も、定期的に行う必要があります。また、展示会やセミナー等の場で、新規事業の展開について発信し、新たな顧客やパートナー企業との出会いを創出しなければなりません。こうした調査・研究費や宣伝・広告費も、DX推進にかかる経費として見込んでおきましょう。

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DX推進に使える国や自治体の補助金・助成金一覧

以下では、DX推進に活用し得る国や自治体の補助金・助成金の概要を、一覧で紹介します。10月時点で申し込み期限のある施策もありますので、詳細は各ホームページでご確認ください。

IT導入補助金

IT導入補助金は、中小企業や小規模事業者の生産性向上を目的として、業務効率化やDX推進に向けたITツールの導入を支援する制度です。飲食、宿泊、医療、介護、保育等のサービス業から製造業や建設業まで、幅広い業種の企業・事業者が利用できます。

2023年度版は、業務のデジタル化に向けたソフトウェアやシステム導入を支援する「通常枠(A・B類型)」、サイバー攻撃のリスク低減支援する「セキュリティ対策推進枠」のほか、「デジタル化基盤導入枠(デジタル化基盤導入類型/商流一括インボイス対応類型/複数社連携IT導入類型)」があります。

対象中小企業・小規模事業者(日本国内で法人登記され、事業を営む法人又は個人。ただし、「商流一括インボイス対応類型」では中小企業・小規模事業者等と受発注の取引を行っている大企業も対象となる)。
条件

1.交付申請の直近月において、申請者が営む事業場内の最低賃金が法令上の地域別最低賃金以上であること。
2.gBizIDプライム(法人代表者や個人事業主のアカウント)を取得していること。
3.独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が実施するSECURITY ACTIONの『★』または『★★』の宣言を行っていること。
4.中小企業庁が実施するデジタル化支援ポータルサイト「みらデジ」における「みらデジ経営チェック」を交付申請前に行った事業者であること。
5.B類型に申請しようとする者は、以下の要件をすべて満たす3年の事業計画を策定し、従業員に表明していること。
・事業計画期間において、給与支給総額を年率平均1.5%以上増加する計画となっていること。(一定の要件に該当する場合は、1%以上の増加でも可)
・計画期間において、事業場内最低賃金を地域別最低賃金+30円以上の水準にすること。

その他、事業類型によって異なる補助金額が詳細に定められている。
補助金額(一例)

通常枠A類型(補助率1/2以内)
・5万円以上150万円未満
通常枠B類型(補助率1/2以内)
・150万円以上450万円以下
セキュリティ対策推進枠(サービス利用料の1/2以内)
・5万円以上100万円以下
デジタル化基盤導入枠デジタル化基盤導入類型の例
・ソフトウェア等(補助率3/4以内):50万円以下
・ソフトウェア等(補助率2/3以内):50万円超350万円以下
・ハードウェア(PC・タブレット等)(補助率1/2以内):10万円以下
デジタル化基盤導入枠商流一括インボイス対応類型
・350万円以下
デジタル化基盤導入枠複数社連続IT導入類型の例
・基盤導入経費:3,000万円以下
※詳細はIT導入補助金2023公式ホームページから「公募要領」を参照。
https://it-shien.smrj.go.jp/about/

ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金

ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金(通称「ものづくり補助金」)は、中小企業・小規模事業者が、働き方改革やインボイス導入等の制度変更に対応できるよう、革新的な商品・サービスの開発や生産プロセスの刷新に必要な設備投資等を支援する制度です。2023年10月現在受付中の第16次締切分では、「通常枠」「回復型賃上げ・雇用拡大枠」「デジタル枠」「グリーン枠」「グローバル市場開拓枠」が設けられています。中でも「デジタル枠」は、DXに資する設備やシステム投資の支援を目的としています。補助率も2/3と、通常枠(補助率1/2)より高くなっています。

対象日本国内に本社及び補助事業の実施場所を有する中小企業者及び特定非営利活動法人。
条件1.以下の要件をすべて満たす3~5年の事業計画を策定していること。
・事業計画期間において、給与支給総額を年率平均1.5%以上増加(一定要件を満たす場合は、年率平均1%以上の増加)。
・事業計画期間において、事業場内最低賃金(事業場内で最も低い賃金)を地域別最低賃金+30円以上の水準にする。
・事業計画期間において、事業者全体の付加価値額を年率平均3%以上増加。
2.応募申請時点で、補助事業の実施場所(工場や店舗等)を有していること。
3.その他、除外事由にあたらないこと。
 
その他、枠組み・類型ごとに追加の条件が定められている。
補助金額(一例)通常枠・デジタル枠の例
・従業員5人以下:100万円~750万円
・従業員6人~20人:100万円~1,000万円
・従業員21人以上:100万円~1,250万円
グローバル市場開拓枠
・100万円~3,000万円
※詳細はものづくり補助事業公式ホームページから「公募要領」を参照。
https://portal.monodukuri-hojo.jp/about.html

事業再構築補助金

事業再構築補助金は、ウィズコロナ・ポストコロナ時代の経済社会の変化に対応すべく、新分野開拓、事業転換、業態転換、事業再編等の思い切った事業再構築を目指す企業を支援する制度です。DX推進によって新規事業開拓や事業転換を図る際、機械装置・システム構築費、技術導入費、専門家経費、クラウドサービス利用費、外注費、知的財産権等関連経費、広告宣伝・販売促進費、研修費等の費用に補助金を活用できます。

対象日本国内に本社を有する中小企業者等及び中堅企業等。
条件1.事業再構築指針に示されている「事業再構築」の定義に該当する事業であること。
2.事業計画について、認定経営革新等支援機関の確認を受けていること。
3.補助事業終了後3~5 年で付加価値額の年率平均4.0%以上増加または従業員一人当たり付加価値額の年率平均4.0%以上増加する見込みの事業計画を策定すること(枠組みにより異なる)。
その他、枠組み・類型によって異なる条件が定められている。
補助金額(一例)成長枠
・従業員20人以下:100万円~2,000万円
・従業員21人~50人:100万円~4,000万円
・従業員51人~100人:100万円~5,000万円
・従業員数101人以上:100万円~7,000万円
産業構造転換枠
・従業員数20人以下:100万円~2,000万円
・従業員数21~50人:100万円~4,000万円
・従業員数51~100人:100万円~5,000万円
・従業員数101人以上:100万円~7,000万円
※詳細は事業再構築補助金公式ホームページから「公募要領」を参照。
https://jigyou-saikouchiku.go.jp/koubo.php

小規模事業者持続化補助金

小規模事業者持続化補助金は、働き方改革やインボイス導入といった制度変更に直面しながらも、地道な販路開拓や業務効率化を図る小規模事業者の取り組みを、それに要する費用の一部を補助して支援する制度です。「通常枠」のほか、「賃金引上げ枠」「卒業枠」「後継者支援枠」「創業枠」があります。

商工会議所の管轄地域で事業を営む事業者は「商工会議所地区小規模事業者持続化補助金公式サイト」https://r3.jizokukahojokin.info/から、商工会の管轄地域で事業を営む事業者は「全国商工会連合会小規模事業者持続化補助金公式サイト」https://www.shokokai.or.jp/jizokuka_r1h/jizokuka.htmlから応募します。

対象

商工会議所地域ないし商工会地域の小規模事業者等(業種ごとに従業員数によって「小規模事業者」に該当するか否かが定められている)。会社および会社に準ずる営利法人、個人事業主、一定の要件を満たした特定非営利活動法人が対象。
条件1.策定した「経営計画」に基づいて実施する、販路開拓等のための取組であること。あるいは、販路開拓等の取組とあわせて行う業務効率化(生産性向上)のための取組であること。
2.商工会・商工会議所の支援を受けながら取り組む事業であること。
3.以下に該当する事業を行うものではないこと。
・同一内容の事業について、国が助成する他の制度(補助金、委託費等)と重複する事業。
・本事業の終了後、概ね1年以内に売上げにつながることが見込まれない事業。
・事業内容が射幸心をそそるおそれがあること、または公の秩序もしくは善良の風俗を害することとなるおそれがあるもの、公的な支援を行うことが適当でないと認められるもの(マージャン店・パチンコ店・ゲームセンター店等、性風俗関連特殊営業等)

その他、枠組み・類型によって追加要件や異なる条件が定められている。
補助金額(一例)通常枠
・上限50万円
後継者支援枠
・上限200万円
創業枠
・上限200万円
※詳細は「商工会議所地区小規模事業者持続化補助金公式サイト」(商工会議所管轄地域)https://r3.jizokukahojokin.info/ または「全国商工会連合会小規模事業者持続化補助金公式サイト」(商工会管轄地域)https://www.shokokai.or.jp/jizokuka_r1h/jizokuka.html を参照。

キャリアアップ助成金

キャリアアップ助成金は、派遣労働者や有期雇用労働者などの非正規雇用労働者の正社員化や処遇改善に取り組んだ事業主を助成する制度です。非正規雇用労働者の企業内でのキャリアアップを促進することを目的としています。助成内容は、「正社員化支援」と「処遇改善支援」に大別され、それぞれ「正社員化コース」と「賃金規定等改定コース」「賃金規定等共通化コース」「賞与・退職金制度導入コース」「短時間労働者労働時間延長コース」が設けられています。DXを進めるうえで不可欠な、社内の人材育成に活用できる助成金です。

対象雇用保険適用事業所の事業主(公益法人、特定非営利活動法人、医療法人、社会福祉法人等を含む)。
条件1.雇用保険適用事業所ごとに、キャリアアップ管理者を置いていること。
2.雇用保険適用事業所ごとに、対象労働者に係るキャリアアップ計画を作成し、管轄労働局長の受給資格の認定を受けていること。
3.実施するコースの対象労働者の労働条件、勤務状況および賃金の支払い状況等を明らかにする書類を整備し、賃金の算出方法を明らかにできること。
4.キャリアアップ計画期間内に、キャリアアップに取り組んだこと。
5.その他、除外事由にあたらないこと。
助成金額(一例)

正社員化コース(1人あたりの助成額)
・中小企業:57万円(有期雇用労働者)、28万5,000円(無期雇用労働者)
・大企業:42万7,500円(有期雇用労働者)、21万3,750円(無期雇用労働者)
※その他、「派遣労働者を派遣先で正社員として直接雇用する場合」など、場合によって加算額あり。
賃金規定等共通化コース(1事業所あたりの助成額)
・中小企業:60万円
・大企業:45万円
賞与・退職金制度導入コース
・中小企業(賞与又は退職金制度を導入):40万円
・中小企業(賞与及び退職金制度を同時に導入):56万8,000円
・大企業(賞与又は退職金制度を導入):30万円
・大企業(賞与及び退職金制度を同時に導入:42万6,000円
※詳細は厚生労働省「キャリアアップ助成金のご案内(令和5年度版)」を参照。https://www.mhlw.go.jp/content/11910500/001083208.pdf

DX投資促進税制

DX投資促進税制とは、DXを後押しすることを目的に設けられた税額控除または特別償却の制度です。一定の要件を満たして申請すれば、デジタル環境を整備するためのソフトウェア、器具設備、機械装置といった資産に対する投資について、税額控除または特別償却の措置が受けられます。

対象青色申告書を提出する法人のうち、産業競争力強化法上の「認定事業適応事業者」に該当する者。
※認定事業適応事業者:経済産業大臣により「事業適応計画」の認定を受けた事業者。事業適応計画の詳細は経済産業省HPを参照https://www.meti.go.jp/policy/economy/kyosoryoku_kyoka/jigyo-tekio.html
条件D(デジタル)要件とX(企業変革)要件のいずれも満たすこと
【D要件】
・データ連携
・クラウド技術の活用
・情報処理推進機構(IPA)が審査する「DX認定」の取得
【X要件】
・生産性向上または売上上昇が見込まれること
・成長性の高い海外市場の獲得を図ること
・全社の意思決定に基づくものであること
投資額の上限・下限、控除率、特別償却額・投資額の上限:300億円
・投資額下限:売上高比0.1%以上
・税額控除:法人税の原則3%が税額控除される(自社グループ外の法人ともデータ連携・共有を行う場合は5%)。税額控除の上限は、当期法人税額の20%まで(カーボンニュートラル投資促進税制の適用も受ける場合は、合わせて20%まで)。
・特別償却:普通償却限度額に加えて、取得価額の30%を損金として計上できる。
※税額控除か特別償却のどちらかのみ利用可能。
※詳細は国税庁HPを参照。
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/hojin/5924.htm

その他の補助金・助成金

これまで紹介してきた補助金・助成金以外にも、各自治体がDX推進に活用できる制度を設けています。一例としては、東京都の「DXリスキリング助成金」や「躍進的な事業推進のための設備投資支援事業」、大阪府堺市の「中百舌鳥地域イノベーションクラスター補助金」などが挙げられます。日頃から自治体のホームページや広報誌で情報収集しておくとよいでしょう。また、特定の業種に特化した補助金もありますので、所属する業界団体等に最新の補助金・助成金に関する情報を問い合わせてみましょう。

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DX推進に補助金を活用するメリット

DX推進に補助金を活用する主なメリットは、「負担する金銭コストを減らせること」「対外的評価が上がること」「今後の補助金を受けやすくなること」の3つです。

金銭コストを減らせる

補助金を活用する最大のメリットは、負担する金銭コストを減らせることです。補助金は、融資と違って返済義務がありません。また、株式のように他者が自社の持ち分を獲得することもありません。返済のプレッシャーや干渉を受けることなく、資金調達できるのです。また、補助金の中には、税控除が認められているものもあります。補助金の内容を精査して、賢く活用しましょう。

対外的評価が上がる

補助金事業に採択されるには、厳格な審査をクリアしなければなりません。補助金の予算は限定的で、採択できる事業の枠も限られています。補助金の受給は、厳しい審査と採択率の壁をのりこえたということです。また、国や自治体から、技術力や事業内容、将来性などを評価された証明にもなります。
このため、補助金の活用は、金融機関をはじめとする外部機関からの評価を高めるメリットにもつながります。

今後補助金を受けやすくなる

過去に補助金の交付を受けているということは、対象事業として採択された実績があるということです。前項で述べたとおり、採択実績は、信頼性を担保する一要素として評価されます。このため、次回以降の補助金を受けやすくなるケースがあることも、補助金を活用するメリットといえるでしょう。ただし、補助金の要件によっては2回目以降の採択が認められていないケースもあります。申請する際には、複数回申請の可否を確認しておきましょう。

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DX関連の補助金・助成金を利用する際の注意点

DX関連の補助金・助成金にはメリットがある一方で、いくつか注意点もあります。補助金・助成金の活用を検討する際には、次の5つの注意点を押さえておきましょう。

申請までの期間が短い

補助金・助成金のうち、補助金は特に、募集開始から申請までの期間が短いことに要注意です。事前説明会に出席したり、申請書類の作成に必要な資料を用意したりと、申請まで多忙になることが予想されます。「準備が間に合わずに申請できなかった」「書類の作成が不十分なまま提出してしまった」といったことがないよう、計画的にスケジュールを立てましょう。

補助金には審査がある

補助金の枠には限りがあるため、補助金事業に採択されて交付される前には必ず審査があります。申請すれば必ず交付されるわけではないことに注意が必要です。例えば、ものづくり補助金デジタル枠15次には1,211の事業者から申請があり、採択されたのは672のみです。採択率はおよそ55%でした。

参照:https://portal.monodukuri-hojo.jp/saitaku.html

審査を通過するためにも、補助金の要件充足はもちろんのこと、説得的で漏れのない申請書類・資料の提出が肝要です。

事務処理にもコストがかかる

補助金の財源は税金でまかなわれているため、申請段階と受給段階の両方の局面において、様々な資料の提出が求められます。このため、補助金の交付を受けるまでのプロセスで、調査事務や記録事務、書類作成事務など、通常業務には必要ない煩雑な事務作業が発生します。補助金を活用する際には、人件費や外注費などのコストがかさむことを踏まえて、費用対効果を検討するようにしてください。

会計検査等の対象となる場合がある

財源が税金である以上、補助金の交付を受けた事業者にも会計検査が入ることがあります。会計検査の対象となった場合、補助金対象事業だけでなく、事業者の会計状況全般が検査されるため、要注意です。

支給は原則後払いとなる

補助金の支給は、原則として後払いです。このため、一旦は事業者自らDX推進に必要な資金を調達しておかなくてはなりません。一般的な資金調達方法としては、日本政策金融公庫や民間の金融機関からの融資が挙げられます。こうした融資を受けるまでにも数週間から1カ月半ほどの期間を要することも踏まえたうえで、補助金申請および事業計画のスケジュールを調整しましょう。

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申請手続きの流れとポイント

最後に、申請手続きの流れと押さえておくべきポイントを解説します。

補助金・助成金の申請の前に確認すること

補助金・助成金を申請するに先立ち、そもそも補助金の内容と自社の取り組みたい事業内容とが一致しているかを確認しておきましょう。せっかく時間をかけて申請書類を作成しても、事業内容が補助金の内容と合わないものだと、採択されません。また、補助金の交付を受けたいがために、自社事業の方向性を見失ってしまっては、本末転倒です。

次に、資金確保の見通しを確認しておきましょう。先述のとおり、補助金の交付は原則、後払いです。補助金申請段階でも、事業を進めるための資金の見通しが審査されます。補助金の採択率はそう高くないことに照らしても、補助金をあてにせず事業展開できるよう、十分な資金を確保しておきましょう。

また、申請手続きに関する公募要領を熟読したり、役所の窓口に問い合わせたりすることで、申請可能な期限と申請要件を必ず確認してください。さらには、採択されやすい申請書を作成するためにも、正しい方向性で事業を進めるためにも、DX関連のレポートを読み込み、DXの考え方やポイントを把握しておくことも重要です。

補助金・助成金の手続きの流れとポイント

補助金・助成金の手続きのおおまかな流れは、以下のとおりです。

公募→応募申請→審査→採択→交付申請・決定→補助対象事業の開始→中間検査→事業の終了・報告書の提出→確定検査→支給額の確定→請求書の提出・補助金の振込

  • ポイント1:補助金の種類によっては、いくつかの条件をみたせば採択において有利になる「加点措置」が設けられている場合があります。公募要領をよく読み、該当しそうな加点項目があればエビデンスとなる資料を集めておきましょう。
  • ポイント2:応募申請段階において、事業に必要な資金調達の見通しを立てておきましょう。審査では資金調達の実現可能性も審査されます。
  • ポイント3:事業には交付決定後に着手しましょう。交付決定以前に事業に着手していた場合は、その分の経費が補助対象外となるおそれがあります。
  • ポイント4:確定検査で公募の内容に沿わない支出ないし会計処理に不備のある支出とみなされた場合は、それらの経費は補助対象外となります。

補助金・助成金のための融資申請の留意点

先述のとおり、補助金・助成金の交付は、原則として後払いです。このため、必要な資金を一旦自社で調達しておく必要があります。一般的には、金融機関から融資を受けて資金を確保します。そこで、補助金・助成金のための融資申請についても触れておきます。

融資申請の際には、以下のポイントに留意しておきましょう。

  • 自社の財務状況は良好か。
  • 返済可能な事業計画か。
  • 過去半年~1年の間に、賃料、水道光熱費、税金などの支払いを遅延ないし滞納していないか。
  • 事業計画において、DX推進の必要性や効果を説得的に説明できているか。
  • 融資申請の額が、全事業費から補助金見込み額を控除した額になっているか。

通常、補助金・助成金の受給に先立つ融資申請は、融資目的を説明しやすく、金融機関からの理解も得られやすい傾向にあります。交付決定から事業開始までの間に資金を調達しておけるよう、補助金申請と融資申請のタイミングを図りながらスケジュール調整しておくとよいでしょう。

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まとめ:補助金・助成金をフル活用してDX推進のコストを低減

DX推進は、単なるITツールの導入にとどまらず、組織変革や新たな事業・価値の創出までを見据えた取り組みです。その分、組織横断的な体制構築、相互に連携したシステム導入、場合によっては専門的なコンサルティングや大規模設備の導入等、多額の費用がかかります。

現在、IT導入補助金やものづくり補助金のデジタル枠など、DX推進を主目的とする補助金のほか、キャリアアップ助成金のようにDX推進の一環として活用できる補助金・助成金も登場しています。ぜひとも補助金・助成金をフル活用して、DX推進のコスト低減に役立ててみてください。

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