RFI(Request for Information)完全ガイド|目的やRFPとの違い、作成方法まで徹底解説

RFI(Request for Information)完全ガイド|目的やRFPとの違い、作成方法まで徹底解説

システム開発において自社の最適なパートナーとなるベンダーを選ぶには、詳細な情報収集と評価を前提とする選定プロセスが欠かせません。RFIは、ベンダー企業の情報やサービス・製品の情報を収集するために、企業がベンダーに送付する依頼書です。本記事では、最適なベンダー選定の第一歩となる重要なプロセス、RFIについて解説します。

RFI(Request for Information)とは 

RFIとは、Request for Informationの頭文字をとった略語です。日本語では「情報提供依頼書」を意味します。RFIは、システムの刷新や導入を検討している企業が、ベンダーに対してプロジェクトの目的を伝えるとともに、ベンダーの基本情報や製品情報の提供を依頼する文書を意味します。

RFIの重要性と目的

発注元の企業は、特定のベンダーを決める前に、複数のベンダーから詳細情報を収集し、慎重に発注先を検討します。RFIは、企業がベンダーの技術や製品、サービス内容の詳細を知る最初の契機となります。RFIのプロセスは、企業が自社の課題解決や目的達成に最適なベンダーを選定するための重要な第一歩です。

RFIの主な目的は、自社のニーズに合う製品やサービスを提供できそうなベンダーを絞り込むことにあり、この段階で最終的な発注先が選定されるわけではありません。あくまで情報収集が目的であり、自社に合ったベンダーを探る初期段階のプロセスです。

RFIを活用するタイミング

RFIは、システム開発のプロジェクトの工程では初期段階に活用されます。システム開発の工程ではまず、自社の課題や現状を洗い出し、システム導入目的を明確化します。その上で、目的を達成できるベンダーを選定します。このベンダー選定プロセスの初期段階に、RFIが活用されます。

RFIとRFPとの違い

上記のとおり、RFIは複数のベンダーに広く情報提供を依頼する文書です。一方、RFPは、Request for Proposal(提案依頼書)の名のとおり、システム開発の要件や導入スケジュール、見積りなどを含む具体的な提案を依頼する文書です。したがって、RFPは、ベンダー選定の最終段階に活用されます。

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RFIの作成方法

RFIを作成するには、システム開発の目的の明確化を前提に、RFIに記載すべき項目を厳選し、ベンダーが回答しやすいフォーマットを工夫しなくてはなりません。ここでは、RFIに記載すべき項目やポイントに触れながら、RFIの作成方法を解説します。

明確な目的設定

RFIを作成する前提として、まずは自社がシステム開発を依頼する目的を明確化しましょう。自社にどのような課題があり、システムの導入ないし刷新によってどのような目的を達成したいのか、RFIの記載からベンダーに正確に伝わるよう、自社で検討します。

この段階で目的設定が不明確のままRFIを作成・送付してしまうと、ベンダーからの回答も的外れなものになりかねません。明確な目的設定は、RFIの大前提です。

RFIの趣旨・目的(背景)

RFIには、システム開発の依頼を検討している背景、すなわち、RFIの趣旨・目的を記載します。

例えば、「業務効率化のためにシステムの導入を検討している」「既存システムが老朽化しているため、他のシステムと互換性のある新システムにリプレイスしたい」など、システム開発の趣旨や目的を記載することで、ベンダーから精度の高い情報を得やすくなります。

現状課題とゴール

RFI作成の前段階に設定していたシステム開発の目的は、RFIを通じてベンダー各社に共有しておきましょう。

その際、自社が抱える課題とシステム導入のゴールも具体的に記載しておくことが重要です。例えば、「部署間のシステムの連携ができていない現状がある」「互換性のあるシステムを導入して業務効率を高めるとともに、顧客データを集約してマーケティングや営業活動に役立てたい」など、具体的な現状や課題を挙げることで、ベンダーが提供可能なソリューションを描きやすくなります。

自社情報及び発注の範囲

ベンダーから的確な回答を得るには、会社規模や事業内容、検討中のシステム範囲などの基本情報を共有し、自社の状況を正確に伝えるようにしましょう。これにより、ベンダーは独自の強みや特徴を踏まえた的確かつ詳細な情報を提供しやすくなります。

また、自社の既存システムやシステム環境を記載しておくことで、ベンダー側に、当該企業に適したソリューションを提供できるかどうかの判断材料を提供しやすくなります。

プロジェクト体制や運用体制

RFIには、自社のプロジェクト体制や運用体制に関する情報も記載します。具体的には、プロジェクト目標、ベンダー選定における評価基準、RFIの提出方法の詳細と回答期限などを明確に記載し、ベンダーが適切な情報を提供できるよう配慮します。

これにより、ベンダーは発注元のプロジェクト体制や運用体制を前提に自社が提供できるサービス内容や実現できるゴールを提示しやすくなります。また、RFIに評価基準が明示されていれば、ベンダー自身が求められる基準を認識でき、選定過程の透明性と公平性が高まります。

適切な質問項目の設計

RFIを作成する上で、適切な質問項目の設計も重要です。製品の概要や技術仕様、導入実績、サポート体制など、情報収集に必要な項目を明確にするとともに、必要不可欠な機能や条件も明示しておきましょう。

ただし、質問を詳細化しすぎるとベンダーの負担が増し、回答の難易度が上がるため、必要最小限の項目に絞ることがポイントです。RFIは初期段階の情報収集であることを念頭に置きつつ、的確で精度の高い回答を引き出しましょう。

相手企業の基本情報

契約相手となるベンダーが信頼できる企業かどうかを判断するには、相手企業の基本情報を把握する必要があります。

RFIでは、相手企業の会社概要や設立年、従業員数、事業内容、主要顧客、グループ会社の構成や親子会社の関係など、企業の基本情報を記載する項目を設けるとよいでしょう。親会社と子会社で業務を分担する体制をとっている企業も多いため、資本関係を含めた情報を正確に回答してもらえるフォーマットを工夫しましょう。

相手企業の製品・サービスの基本情報

RFIを通じて、相手企業が提供する製品やサービスについての基本情報も提示してもらいます。具体的には、製品・サービスの名称、リリース時期、ライセンス形態、価格設定など、製品・サービスの概要に関する質問事項を盛り込みます。

また、カスタマイズの可否、システムの制限の有無、サポート体制についても確認しておくことで、導入後のトラブル発生を回避しやすくなります。

相手企業の製品・サービスの機能

製品やサービスの具体的な機能も、RFIに欠かせない項目です。

例えば、搭載されている基本的な機能やそれらのメリット・デメリット、解決できる課題、導入実績や活用事例などを記載してもらいます。その際、ベンダーにとって回答しやすく、かつ各社の機能を比較しやすいフォーマット作成を工夫しましょう。

このように、製品・サービスの基本情報に加えて機能に関する情報を確認しておくことで、各社の製品やサービスの特徴、優位性などを正確に把握し、自社のニーズを満たすベンダーを選定でき、導入後の運用を見据えた選定を進められます。

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回答フォーマットの標準化

RFIでは、回答フォーマットを標準化することも重要です。回答形式(PDF、Word、Excelなど)を標準化し、文字数制限や提出期限、送付先情報を具体的に指示することで、統一された回答を得られます。また、共通の質問項目を設け、回答フォーマットを標準化することで、回答を比較・評価しやすくなり、選定の公平性も高まります。

加えて、ベンダーにそれぞれのスキルや解決策を説明する項目を設けることで、各社の実力やプロジェクトへの適合性を評価する材料を集めることも可能です。

RFIテンプレートの活用

RFIテンプレートの活用は、効率的な情報収集に役立ちます。プロジェクトの中には、「ウェブサイトの改善」や「業務効率化」など、課題が明確でないケースもありますが、RFIテンプレートに沿って必要事項を記載することでプロジェクトの目的がより明確化されます。

また、統一的な項目に沿ってベンダー各社から回答を得ることで、幅広い解決策から適切な提案を得るプロセスを効率化することができます。

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RFIの流れ

RFIのプロセスは、RFIの作成、送付、回答受付、評価という4つの主要なステップから成ります。この流れを踏むことで、最適なベンダー選定の基盤が築かれます。

RFI作成

最初のステップであるRFI作成では、プロジェクトの趣旨や目的を明確に定義した上で、ベンダーに求める情報を整理します。

この段階では、RFIの背景とともにプロジェクトの目的をベンダーに対して明確に伝えることが重要です。ベンダーの回答を求める質問項目については、過不足なく項目を絞り込み、回答しやすい形で構成しましょう。また、適切な文字数を制限したりフォーマットを使用したりすることで、比較・評価しやすい回答を得やすくなります。

RFI送付と回答の回収

次に、候補となるベンダーにRFIを送付し、回答を回収します。送付時には、回答期限、提出方法、問い合わせ窓口などを明確に伝え、ベンダーが混乱しないよう注意しましょう。

回答を回収する際には、選定の公平性を確保するために、回答期限の管理にも配慮が必要です。回答に記入漏れや不明な点があれば、修正や補足を依頼するとよいでしょう。これにより、回答品質を高めることができます。

回答の評価と分析

RFIの回答を評価する段階では、事前に設定した評価基準に基づき、ベンダーの回答内容を客観的に比較・分析します。

例えば、提供されるシステムの機能が自社のニーズにどの程度適合しているか、コストや導入スケジュールが現実的か、サポート体制が充実しているかといった観点から各社を評価し、次のステップに進むべきベンダーを絞り込みます。

回答の評価はRFIで明示された基準に従って公平に行い、評価・分析の結果は将来の判断材料の基盤とするために記録に残しておきましょう。

面談設定やRFPの送付

回答の評価を終えた後、ベンダーを絞り込んだ上で、具体的な提案を求めるRFPの提出準備や面談の設定に進みます。

この段階では、評価内容をもとにベンダーの適性をより深く確認し、自社に最適なパートナーを決定するために、ベンダーに具体的な提案内容や正確な見積もりを求めることになります。

このような一連の流れを通じて、企業は自社のニーズに最も適したベンダーを効率的かつ公正に選定し、プロジェクトを成功に導くパートナーを決定します。

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RFI活用によるメリット

RFIのメリットは、詳細な情報収集からコスト削減、意思決定プロセスの最適化、リスク軽減にいたるまで、多岐にわたります。

詳細な情報収集が可能

ベンダー各社から詳細かつ最新の情報を収集できる点は、RFIの最大のメリットです。

RFIの回答は、RFIの依頼元に対して個別に開示される情報であるため、ベンダーの公式ホームページでは公開されていない製品や未発表の技術についての情報が得られることもあります。RFIで収集した詳細な情報に基づき、企業は自社の課題解決に最適なソリューションを提供してくれるベンダーを見極めやすくなります。

コスト削減と効率化

RFIの活用により、情報収集にかかるコストと手間を削減できることも、メリットのひとつです。

システム開発の依頼先を検討する際、各ベンダーに個別に問い合わせていては、調査にかかる費用はかさみ、工数もかかってしまいます。しかし、RFIならば、標準化されたフォーマットで情報を集約できるため、情報収集も回答の評価も効率的に行えます。

また、複数のベンダーからの回答を統一的な基準で比較できるため、選定プロセスの客観性を確保できます。さらに、得られた情報を保存しておくことで、将来の類似プロジェクトにおける調査や検討の手間を省き、時間とコストの削減につながります。

意思決定プロセスの最適化

RFIを初期段階で活用することで、多くのベンダーから効率的に最適なベンダーを絞り込むことができます。具体的には、RFIを通じて自社のニーズに合致しないベンダーや予算的に導入が難しいベンダーを除外でき、次のステップであるRFPの対象を数社に限定できます。

また、RFIを通じて収集した情報は、すべてのベンダーから同じ基準で提供されるため、公平かつ客観的な選定が可能です。これにより、個人的なバイアスを排除し、透明性を保ちながら選定プロセスを進められます。

さらには、RFIで得られた情報は、選定理由の根拠としても役立ち、意思決定に対する説明責任を果たす助けとなります。とくに、公的機関や大規模プロジェクトでは、公平性の確保が選定結果に対する社内外からの納得感につながります。

リスク軽減

RFIとRFPのプロセスを経ることで、ベンダーとの間で事前に自社が求める期待値や要件を共有でき、誤解や認識のズレを防ぐことができます。具体的な条件や前提を明確にすることで、プロジェクト実行中のトラブル発生リスクを軽減できるのです。

例えば、RFIの段階で、納期や成果物の形式、プロジェクトの運用体制などが発注元である企業とベンダーとの間で必ず共有されます。このため、大幅な遅延や不要な修正が発生しにくくなり、プロジェクトが円滑に進みます。

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RFI作成における注意点

RFI作成においては、プロジェクトの目的の共有と情報収集に主眼を置き、具体的かつ簡潔な項目設定を心がけます。質問項目は、回答者が短期間で対応可能な範囲に留め、細かすぎる指示や要求は控えましょう。

情報の機密性の確保

RFIに含まれる情報には、機密性の高い内容が含まれる場合があります。例えば、生産管理システムの詳細な情報は競争上の不利益を生む可能性があるため、機密保持条項を盛り込み、必要に応じてNDA(秘密保持契約)の締結を検討することが求められます。回答後の情報管理に関するルールも明確に設定すべきです。

公平性の維持

RFIの質問項目は、すべてのベンダーに公平な機会を提供するために、客観性を持たせなくてはなりません。特定の製品やサービスを前提とした質問や特定ベンダーに有利な項目を避け、評価基準を明確化することで公平性を確保しましょう。具体的には、10社程度のベンダーに送付し、比較が容易になるような質問設定を心がけるとよいでしょう。

適切なスケジュール管理

RFI作成から評価までのプロセスには、十分な時間を確保することが重要です。回答期限の設定が短すぎると、十分な回答が得られず、ベンダーを見誤ってしまうおそれがあります。

また、記載漏れの項目に関する回答を再度求めたり、得られた回答を分析・評価したりする時間も必要です。余裕のあるスケジュールを設定し、これに沿った進行管理ができるよう、注意しましょう。

過度な情報要求の回避

RFIでは、必要最低限の情報収集を目的とし、初期段階で不要な情報や過剰な情報提供を要求しないよう注意が必要です。

ベンダーに過度な負担をかけないことで、必要十分な最低限の情報を広く収集でき、効果的に情報収集を進めることができます。過度な情報要求を回避すると同時に、RFIの目的を明確に伝え、回答者が適切に対応できる環境を整えることも大切です。

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まとめ:RFIで効率的に最適なベンダー情報収集を!

RFIは、企業がシステム開発の初期段階でベンダーから情報を収集し、自社に適した製品やサービスを選定するための重要なプロセスです。

RFIを作成する際には、自社の現状や課題、システム開発によって成し遂げたいゴールを明確化し、ベンダー選定に必要な質問項目を適切に設定する必要があります。また、回答フォーマットの標準化やスケジュール管理を徹底することで、効率的かつ公平なRFIを実現できます。RFIを通じて最適なベンダー情報を収集し、プロジェクト成功の基盤を築きましょう。

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