フィリピンにおけるオフショア開発|メリット、デメリット、注意点を解説

フィリピンにおけるオフショア開発

近年、世界中の多くの企業がコスト削減や人材確保を目的にオフショア開発を活用しています。特にフィリピンは豊富なIT人材や高い英語スキルを有し、ベトナムに次いで人気のあるオフショア依頼先として注目を集めています。

本記事では、オフショアの依頼先としてフィリピンを検討している方向けに、フィリピンでのオフショア開発におけるメリット、デメリット、注意点を解説します。

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フィリピンにおけるオフショア開発

フィリピンにおけるオフショア開発は、豊富なIT人材、コスト削減効果、高い英語スキルなどの理由から、ベトナムに次いで2番目に多くの企業に選ばれています。

フィリピンでのオフショア開発の概要と特徴

フィリピンは東南アジアに位置する数千の島々からなる国です。多様な文化を持ち、その地理的な位置関係から多くの国と経済的に接続しやすい特徴があります。
また、公用語はフィリピン語と英語のため、オフショア開発では欧米からの案件が多い傾向があります。しかし近年は、日本からも、自社の外国人エンジニアとコミュニケーションさせたい、グローバルに展開するプロダクト開発のため、プロジェクト上のコミュニケーション言語に英語を使用したいといった背景からフィリピンが選ばれるケースが増えています。

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フィリピンでのオフショア開発メリット

フィリピンでのオフショア開発には、豊富なIT人材、コスト削減効果、時差が1時間でコミュニケーションが容易、高い英語スキルといった多くのメリットがあります。以下でそれぞれのポイントについて詳しく説明します。

豊富なIT人材

フィリピンの教育制度はIT教育に力を入れており、大学や専門学校でIT関連学位を取得したIT人材が毎年多数輩出されています。

また、日本人の平均年齢が約48歳に対し、フィリピンの平均年齢は約24歳と若く、生産年齢人口は2062年まで増え続ける見通しとなっており、IT人材の高齢化が進む日本において、優秀な人材を確保しやすい環境であるといえます。

さらにWeb系言語と言われるHTML、CSS、JavaScript/jQuery、PHPを得意とするエンジニアが多く、Webサイトの制作やデザイン、Webアプリケーションの開発を行う事ができる人材が豊富ということも特徴です。

例えば弊社においても、コーポレートサイトの刷新プロジェクトやマーケティングサイトの運営プロジェクトなどでフィリピン人エンジニアが活躍しています。

コスト削減の効果

フィリピンでのオフショア開発は、コスト削減の効果が非常に高いです。
他のオフショア開発委託先国と比べても人月単価が安く、昨年対比でも上昇率が低いため円安の状況下でもコストメリットを享受しやすいです。

出典:オフショア開発白書2023年版

時差が1時間でコミュニケーションが容易

日本とフィリピンは時差が1時間しかないため、コミュニケーションが非常に容易です。業務時間内で、問い合わせや確認などのやり取りがスムーズにできます。また、フィリピンへ訪問する際は約4時間半で移動できる距離のため、プロジェクトのキックオフを現地で行うなど対面でのコミュニケーションも取りやすい立地といえます。

高い英語スキル

フィリピンでの公用語はフィリピン語と英語のため、フィリピン人の約9割が英語を話せるといわれています。

したがって、IT人材においても高い英語スキルを持っているため、自社の外国人エンジニアとコミュニケーションさせたい、グローバルに展開するプロダクト開発のため、プロジェクト上のコミュニケーション言語に英語を使用したいといったニーズに応えることが可能です。

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フィリピンでのオフショア開発デメリット

フィリピンでのオフショア開発には多くのメリットがありますが、いくつかのデメリットもあります。たとえば文化や価値観の違い、インフラ環境、日本語人材の不足です。それぞれのデメリットについて詳しく見ていきましょう。

文化や価値観の違い

オフショア開発では、文化や価値観の違いに注意が必要です。日本とは異なる文化や価値観がプロジェクトの進行やコミュニケーションに影響を与えることがあります。

例えば、フィリピンでは家族を大切にする文化が強いため、休暇や祝日に対する考え方が日本とは異なります。そのため、急な休暇の取得が発生することがあります。家族の事情が優先されることが多く、予期せぬタイミングでの休暇がプロジェクトの進行に影響を及ぼすことがあります。

そもそも祝日の運用が複雑で大統領令によって毎年発表されるため、それにより移動する祝日があったり、突然追加される祝日もあります。また地域によっても異なる祝日が存在するので、先方の担当者と細かく確認する必要があります。

インフラ環境

セブ島やマニラのような主要都市ではインフラが比較的整っているものの、地方都市においては、依然として電力供給やインターネット接続に不安が残ります。これがプロジェクトのスケジュール遅延や業務効率の低下を引き起こすことがあります。フィリピンでオフショア開発を成功させるためには、インフラの整った地域を選定し、プロジェクト進行中のインフラ状況を継続的にチェックすることが重要です。

日本語人材の不足

フィリピンでは英語が公用語ということもあり、日本語を話せる人材が不足しています。日本語でのコミュニケーションが必要なプロジェクトでは、プロジェクトのコミュニケーションや管理において、追加のコストや時間が必要になる可能性があるため注意が必要です。

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フィリピンでオフショア開発を委託する際の注意点

以下では、フィリピンでオフショア開発を委託する際の具体的な注意点について詳しく解説していきます。コミュニケーションの障壁やプロジェクト管理、品質の基準など、各ポイントを押さえましょう。

コミュニケーションの障壁

コミュニケーションを円滑にするためには、文化背景の違いを理解し尊重する姿勢が重要です。フィリピンのビジネス習慣やコミュニケーションスタイルを把握し、それに合わせたやり取りを心がけることが信頼関係の構築につながります。

また、英語でのコミュニケーションが難しい場合、コミュニケーションツールの活用や翻訳アプリを駆使することや、日常的に使用する技術用語やフレーズのリストを作成し、共通認識を持った上でやり取りすることでコミュニケーション齟齬を少なくすることが可能です。

しかし、コミュニケーションのベースは英語になってしまうため、不安な場合は、日本語対応が可能な委託先を選ぶことも検討しましょう。

プロジェクト管理

文化や価値観の違いの項目で解説したように、家族を優先する価値観であることや、突然祝日が追加されることもあり、予期せぬタイミングでプロジェクト進行が滞ってしまうケースがあります。
また、時間に対する意識が日本と比較して緩やかな場合があり、納期の厳守やスケジュール管理に対して課題が生じることがあります。

したがって、事前の要件定義をしっかり行い、現実的なスケジュールを合意の上で定めることができるか、日々のコミュニケーションにおいて進捗管理を行っているか、リスクを常に洗い出せているかなどプロジェクトマネジメントが重要になってきます。

品質の基準をすり合わせる

オフショア開発においては、特に品質基準をしっかりとすり合わせることが重要です。
日本の品質水準が高いため、フィリピンに限らず、日本と海外では品質に対する認識が異なります。
認識合わせが不十分なことによる手戻りを防ぐためにも、事前に合格水準を明確にし共有しましょう。品質に関する研修を実施する、品質チェックリストを作成する、定期的にフィードバックを行うといった方法が効果的です。

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オフショア開発パートナーの選び方と委託手順

適切なオフショア開発パートナーを選ぶことは、プロジェクトの成功を左右する重要な要素です。類似実績の確認、契約まわりの確認、プロジェクト管理の方法、セキュリティ対策の確立など、多岐にわたるポイントがあります。具体的な方法を以下で詳しく見ていきましょう。

類似実績などから委託先を選定

まずは委託先を選ぶために、プロジェクトの要件や必要な技術力などを洗い出し、それらの条件にマッチした事例や実績のある企業を選定しましょう。

類似の実績を有する企業であれば、プロジェクトの進捗管理や品質の基準をすり合わせる際の障壁を最小限に抑えることができ、スムーズにプロジェクトを進めやすいでしょう。

また、日本語対応可能か、ブリッジSEのアサインが可能かなど、自社の環境に合わせて取りたいコミュニケーションの方法に合わせたアレンジが可能かも確認しましょう。

契約方式や開発方式を決める

次に契約方式と開発方式を決定します。委託先に相談し案件に適した方式を選びましょう。

【契約方式】
★ラボ型契約
専属のエンジニアチームを一定期間にわたって社外に確保し、開発を行う。したがってベンダーの労働力に対して報酬が発生する。準委任契約ともいう。
★請負契約
プロダクトの完成をベースとした案件1件に対して契約を結び、「決められた納期までに完成品を納品する」契約。

【開発方式】
★アジャイル型開発
優先度の高い要件から開発に着手し、短期間で計画→設計→実装→テストを繰り返しながら、改修、改善を進める。
★ウォーターフォール型開発
最初に要件定義や仕様を決めてから開発を進める。すべて完成してからリリースする。

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セキュリティ対策や品質管理基準を確認

契約の前には、委託先のセキュリティ対策と品質管理基準についても確認しておく必要があります。データの漏洩や不正アクセスは企業の信頼を失う大きなリスクとなるため、セキュリティ対策が講じられているか確認します。また、高品質な開発を実現するためには、明確な品質管理基準が必要です。品質管理に関する具体的なポリシーやプロセスを持つパートナーを選定しましょう。

さらに、NDA(秘密保持契約)締結により、開発中に使用される顧客データやソースコードが保護されます。これにより、企業の知的財産や顧客の重要な情報が不正に流出するリスクを最小限に抑えることができます。万が一漏洩した際にも補償などの協議ができます。

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見積もり

契約方式と開発方式が決まった後、プロジェクトの詳細な見積もり提出を依頼します。見積もりには、開発コストの詳細、納期、リソースの割り当てなど、プロジェクト実施の上で必要な項目を記載してもらいます。

委託先候補を数社まで絞り込めたら、各社を公平な目線で比較するため、同じ項目を設けて相見積もりを取りましょう。

それから各社の見積もりをもとに、予算内でプロジェクトを完遂できるかどうか、納期が要件を満たしているかなど、再度評価を行います。必要に応じて、見積もりの調整や再交渉を行います。

契約・開発開始

見積もりに合意し、正式に契約を取り交わしたら、開発プロジェクトがスタートします。

開発開始後は、進捗管理や定期的なミーティング実施による報告を受けます。
情報伝達の遅れや品質の低下を防ぐプロジェクト管理ツールを駆使し、プロジェクト全体の効率を向上させましょう。
タスクの進捗管理、バグ追跡、そしてコミュニケーションの一元化を行うことができるツールとしては、JIRA、Trello、Asanaなどが広く利用されています。
事前にどのツールを活用するか検討しておき、開発会社に導入されているツールを使用するとプロジェクト進行がスムーズでしょう。

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オフショア開発フィリピン活用の成功事例

フィリピンでのオフショア開発成功事例をご紹介いたします。

求人マッチングサイト『Skill Shift』 

IT分野やエンジニアリング分野に強みを持ち、人材紹介や求人プラットフォームの運営を行う企業である株式会社grooves(現:株式会社スキルシフト)。

同社は、人材不足に嘆く、中小企業や地方企業の地域貢献のための副業求人マッチングサイトの設計・開発、およびリリース後のニーズ検証を行うパートナーを求めていました。

地域貢献プロジェクトとして、地方へのスキル還元を希望する社会人向け副業求人事業に特化したマッチングサイトの立ち上げ・運営を検討していた同社。早期にサービスリリースし、リリース後のニーズ検証も同じ目線で伴走支援出来るパートナーを求めており、フィリピンにオフショア拠点があるモンスターラボへ声がかかりました。

フィリピンのセブ拠点を起点に開発チームを立ち上げ、地方にスキルを還元したい社会人向けの副業求人マッチングサイトを開発。

ビジネスの持続可能性を追求するにあたり、マネタイズ(課金型・広告収入型)のピボットなどを後から行えるようにMVPのスコープを絞り、サイトの立ち上げから仮説検証、継続改善を伴走支援しました。

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まとめ

本記事では、フィリピンにおけるオフショア開発について、メリット、デメリット、注意点などを解説しました。
フィリピンでのオフショア開発に興味がある方は、まずは信頼できるパートナーを見つけることから始めましょう。

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オフショア開発で人材不足解消、競争力強化を目指す企業ご担当者様へ

モンスターラボは、約20年にわたるサービス・プロダクト開発の実績から得られたデジタル領域の知見や技術力を活かし、デジタルプロダクト開発事業を展開しています。

弊社オフショア開発拠点では約700人の開発人材が所属しております。エンジニアの採用・育成が追い付かず、開発のリソースが足りない、そもそも開発組織の立ち上げ方がわからないといった課題や将来的な内製化まで伴走支援が可能です。

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モンスターラボ DXブログ編集部

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