ラボ型開発のメリットとデメリットを比較|向いている案件の特徴は?

ラボ型開発のメリットとデメリットを比較|向いている案件の特徴は?

ラボ型開発は、近年多くの企業が採用している開発手法の1つです。特に、中長期的なプロジェクトや仕様変更が頻繁に発生する案件で多く採用されています。しかし、ラボ型開発にもメリットとデメリットがあるため、開発手法を選定する際には特性をよく理解する必要があります。
今回はラボ型開発について、メリットとデメリットを比較し、向いている案件の特徴を取り上げます。システム開発のプロジェクトを検討している人はぜひ参考にしてください。

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ラボ型開発とは?

まずはそもそもラボ型開発とはどのようなものなのかを解説します。よく比較される請負型開発との違いも見ていきましょう。

ラボ型開発の概要

ラボ型開発では通常、長期的に専用開発チームを持つことになります。長期的に同じメンバーで業務を行うため、開発チームと発注した企業の間で信頼関係が構築されやすく、スムーズなコミュニケーションが可能です。チームメンバーが固定されており、プロジェクトの途中で人材の入れ替えが少ないため、一貫性のある開発によってプロジェクト進捗の安定感と効率が向上します。

請負型開発との違い

ラボ型開発と請負型開発の違いは、契約形態とプロジェクト管理方法です。
請負型開発では、特定の成果物を納品する契約となり、プロジェクトごとに契約を結びます。事前に要件を明確にしておき、その要件を満たすために定められた期間と予算内でプロジェクトが進行します。

一方、ラボ型開発の契約形態は期間をベースにして特定のチームと契約を結びます。このような形態は準委任契約とも呼ばれます
開発の進め方においては、請負型開発では通常「ウォーターフォール型」と呼ばれる開発手法が採用されます。この手法では開発工程を1つずつ順番に進めていき、後戻りすることなくステップを完了させるのが特徴です。そのため、設計や要件定義といった初期段階の工程がプロジェクト全体に大きく影響します。
それに対して、指定した期間で契約を結ぶラボ型開発は「アジャイル型」と呼ばれる開発手法が採用されるケースが多いです。アジャイル型は短期間で開発工程の一連の流れを完了させ、そのサイクルを繰り返しながら最終的な完成を目指します。そのため、要件や仕様が変わった場合でも柔軟に適応することができ、クライアントのニーズに応じて迅速な対応が可能です。

このように、ラボ型開発と請負型開発は契約形態からプロジェクト管理方法まで大きく異なるため、それぞれのプロジェクトに適した開発手法を選択することが重要になってきます。

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ラボ型開発のメリット

ラボ型開発の導入にはプロジェクトの管理や人材の配置が柔軟に行えるといった多くのメリットが存在します。ここでは、具体的な利点をいくつか紹介します。

開発コストを抑えることが可能

請負型開発はあらかじめ開発内容、成果物を明確にし契約を結ぶため、当初の想定から開発規模の拡大や仕様変更による開発期間延長などが発生すると、追加見積り、発注が必要となりコストが上がってしまいます。

対して、ラボ型開発では、契約した期間の中で業務の遂行を目的に開発を行うので、プロジェクトの進行に伴い、成果物だけではなく人が行う作業自体も調整の自由度が高いものとなります。
特に新規開発分野においては、仕様の変更・追加が発生する傾向があるので、柔軟かつ追加コストを抑えて対応できるラボ型開発が向いているでしょう。

また、海外の委託先を活用したオフショア拠点でのラボ型開発であれば、日本より人件費が比較的安価な国に委託することでさらにコスト削減ができるでしょう。

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一定期間優秀な人材の確保が可能

前述の通り、ラボ型開発は一定の期間、同じチームと契約を結んで開発を行う手法であるため、契約が終わるまでのあいだ、チーム内にいる優秀な人材を確保することが可能です。また、開発チームが1つのプロジェクトに専念するので、よりプロジェクトに特化した深い知識やスキルが身に付いたチームを作ることができます。
そして、期間内であれば継続的に案件を発注できるため、新たなプロジェクトごとにプロジェクトチームを再編成したり、一から情報共有を行ったりする手間が省ける点もメリットです。

仕様変更の対応が柔軟

ラボ型開発の大きなメリットの1つに、仕様変更に対する柔軟な対応が挙げられます。ラボ型開発は、アジャイル開発手法とも非常に相性が良く、迅速かつ柔軟な開発が可能です。

したがってプロジェクトの進行途中でも機能の追加や仕様の修正に対応が可能であり、クライアントのビジネス要件の変化にも迅速に対応できます。

新プロジェクトの開始や変更が発生しても別途見積が不要

新しいプロジェクトの開始や仕様変更が発生しても別途見積が不要になることも、ラボ型開発のメリットの1つです。
ラボ型開発では、作業するエンジニアと期間をもとにして契約を結びます。そのため、新しいプロジェクトを立ち上げる際や既存のプロジェクトにおいて仕様変更が発生した場合でも、追加で契約を結ぶ必要がありません。これにより、別途見積を依頼する手間や時間も短縮できる上、見積・追加契約を待つ間のアイドリングタイムも発生しません。しかし、当初の契約している時間を超える場合は追加費用が発生するため注意が必要です。

システム開発のノウハウが蓄積可能

ラボ型開発では、同じチームメンバーを一定期間確保できるため、システム開発のノウハウを効率的に蓄積できます。これは、開発メンバー同士のノウハウが増えていくことはもちろん、発注側と受注側の共通認識も増えていくので、結果として開発スピードの向上や品質の向上が期待できます。

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ラボ型開発のデメリット

ラボ型開発には多くのメリットがありますが、一方デメリットも存在します。
デメリットを理解することで、ラボ型開発を採用するかどうかの判断材料になるでしょう。

発注量が少なければ割高になる場合もある

ラボ型開発において、発注量が少ない場合には割高となることがあります。ラボ型開発が専属のチームと一定期間契約を結ぶ形態であるため、チームが作業をしていない期間もコストが発生してしまいます。
契約期間中に十分な仕事を発注できない状況では、人材のリソースが無駄になり、その分のコストも無駄になります。

マネジメントコストがかかる

請負型開発は、「成果物の納品」に対する契約となるため、納品物や作業内容などを取り決めし、請け負う側のベンダーは、達成できる人員を確保し、彼らの裁量と判断で業務を遂行します。
仮に確保した人員に問題が発生した場合は、ベンダー側の責任範囲で交代等の対応を行うので、発注側が采配をする場面は多くなく、管理コストは抑えられます。
つまり、請負型開発ではこれらの管理コストもあらかじめ含まれていると考えるとよいでしょう。

一方で、ラボ型開発は、「業務の遂行」に対する契約となるため、「成果物の納品」は契約範囲に含まれていません。一定の成果物の完成を求める場合、それを担保するためには、発注側の責任において指示・管理する必要があり、管理コストとして発生します。したがって自社がマネジメントの主体であるということも勘案して検討する必要があります。 

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ラボ型開発が向いている案件

ラボ型開発は多くのプロジェクトで効果的ですが、特に特定の条件下でそのメリットが最大化される場合があります。ここでは、ラボ型開発が特に向いている案件について詳しく解説します。

定期的に発注する案件

定期的な発注が見込まれる案件には、ラボ型開発が非常に適しています。ラボ型開発は期間単位で契約を結ぶため、長期的な視点でプロジェクトを進めることができるからです。その結果、定期的な発注を通じて開発チームが継続的にプロジェクトに携わり、ノウハウの蓄積が進みます。例えば、システムの機能追加や保守・運用を定期的に行う必要がある場合、ラボ型開発によって継続的な改善やアップデートが効率的に行われます。

仕様変更が想定される案件

仕様変更が想定される案件においてもラボ型開発が適しています。これは、ラボ型開発が仕様変更に迅速かつ柔軟に対応できる強みを持っているためです。契約期間中であれば、追加費用がかからずに対応できるので、コスト面のメリットもあります。

仕様変更が頻繁に発生するプロジェクトでは、要件の追加や修正が高い頻度で行われるため、柔軟な対応能力が必要です。そのため、プロジェクトの進行中に発生する仕様変更に迅速に対応できるラボ型開発の利点が活かせます。

既存のWebサービスやアプリの運用や改修を行う案件

一貫したチーム編成が可能なため、既存のWebサービスやアプリの運用、改修を行う案件にもラボ型開発が向いています。

ラボ型開発では開発チームが一定期間にわたり固定されるため、関与するメンバーが同一のシステムに対して継続的に取り組むことができます。加えて、チーム内のコミュニケーションが円滑に行われることで、迅速なフィードバックや問題解決が期待できる点も大きなメリットです。

アジャイル型開発で行う案件

前述の通り、ラボ型開発はアジャイル型開発との相性が良いとされています。ラボ型開発の柔軟な契約形式は、仕様変更や修正が頻繁に発生するアジャイル型開発のニーズに適しています。

また、アジャイル型開発が得意とするような、機能を段階的にリリースするプロジェクトにもラボ型開発は向いています。例えば、プロジェクトの初期段階で基礎的な機能をリリースし、その後ユーザーの反応を見ながら追加や修正を行うといった手法が可能です。

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成功するラボ型開発のポイント

ラボ型開発は多くのメリットを秘めていますが、成功するためにはいくつかのポイントを押さえることが重要です。

まずはスモールスタート

ラボ型開発を成功させるためには、まずは小規模なプロジェクトから始めることが重要です。なぜなら、スモールスタートにすることで、初期段階でのリスクや未知の問題を最小限にできるからです。特に新しいパートナーシップや開発手法を試す際には、予想外の問題が発生するケースを想定しておく必要があります

積極的なコミュニケーション

ラボ型開発で成功するためには、積極的なコミュニケーションが不可欠です。特にラボ型開発はオフショアや国内の遠隔地で行うことが多く、対面での話し合いの機会がほぼありません。そのため、コミュニケーションの頻度や手段をあらかじめ決めておくことが重要です。

例えば、週に1度の進捗報告ミーティングや、日々の状況を共有するミーティングを設定することで、チーム全体が常に同じ方向を向いて作業が進められるように調整を行ったり、チャットツールやプロジェクト管理ツールを効果的に活用して、リアルタイムで情報を交換するなどの工夫が必要です。

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まとめ:ラボ型開発のメリットを理解して賢く活用しよう

ラボ型開発の特徴やメリットについてまとめると、ラボ型開発のメリットとしては

・開発コストの抑制
・優秀な人材の確保
・仕様変更への柔軟な対応
・新プロジェクト開始時の見積不要
・ノウハウの蓄積

が挙げられます。

一方で、デメリットには

・発注量が少ない場合の割高さ
・発注側のマネジメントコスト

などがあります。

ラボ型開発には、向いている案件があることも解説しました。特徴を理解した上で、自社のプロジェクトにマッチしているかどうかを確認してみてください。

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