ビッグデータとは、さまざまな種類や形式のデータを含む巨大なデータ群のこと。「量(volume)」「種類(variety)」「入出力や処理の速度(verocity)」の3つの要素から成り立っています。
ビッグデータは、従来では活用が難しかった非構造化データ(動画や音声、テキストなど)やリアルタイム性のあるデータの蓄積を可能にしました。
また、ビッグデータはDXを推進における重要なファクターの1つとしても注目されており、IoTやAIといった他の先進技術とも深い関連があります。
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目次
ビッグデータの意味や定義、活用するメリットを解説します。
ビッグデータとは、非構造化データを含むさまざまな種類・形式のデータによって構成された巨大なデータ群のこと。
アメリカの大手IT調査会社であるガートナー社は、ビッグデータの特徴を「3つのV」と定義しています。
テクノロジーの進歩により、膨大かつ多様なデータを一度に扱うことができるようになっただけでなく、従来では保管・活用が難しかったリアルタイム性のあるデータも、即座に解析することが可能になるなど、ビッグデータの活用が広まってきました。
出典:Definition of Big Data – IT Glossary | Gartner
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ビッグデータとは主にどのようなデータのことを示すのでしょうか。
総務省の『情報通信白書(平成29年版)』によると、ビッグデータは以下4種類のデータから構成されると定義されています。
1)政府:国や地方公共団体が提供する「オープンデータ」
2)企業:暗黙知(ノウハウ)をデジタル化・構造化したデータ(「知のデジタル化」と呼ぶ)
3)企業:M2M(Machine to Machine)から吐き出されるストリーミングデータ(「M2Mデータ」と呼ぶ)
4)個人:個人の属性に係る「パーソナルデータ」
ビッグデータの活用が広まったことで、従来では収集できなかったデータを扱えるようになったと同時に、さまざまなデータ同士をを掛け合わせることも可能に。これにより、今までにない新たな視座の有益なデータが創出され、新たなシステムやビジネスが次々に生み出されています。
日本では、総務省の『情報通信白書(平成24年版)』において、「知識情報基盤として新たな付加価値を創造する」ためにビッグデータの重要性を訴求したことで広く知られるようになりました。
また、『情報通信白書(平成29年版)』では「ビッグデータ利活用元年の到来」として、データ活用に関する法整備やIoT、AI等のテクノロジーの普及に伴い、ビッグデータが効率的に収集・共有できる環境が実現されつつあることが記されています。
近年では『DXレポート』においても、データの利活用は「スピーディーな方向転換やグローバル展開への対応を可能に」するとして、DXシナリオを実現させる要素として取り上げられています。
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ビッグデータはどのような場面で用いられているのでしょうか。
ここでは、ビッグデータの役割を大きく「データに基づいた意思決定」「予測」の2つに分けて解説します。
ビッグデータを活用すれば、膨大かつ多様な情報の中から課題解決に必要な知見を引き出し、ビジネス上の意思決定を行うことが可能です。
このように、ビッグデータを収集・蓄積・可視化し、ビジネスの意思決定に使えるようにすることを「データドリブン」といいます。
データという客観的な根拠に基づいた施策立案が可能なため、周囲からの理解が得やすいことが特徴です。また、効果検証もデータに基づいて行えるため、細かくPDCAを回しやすいという利点もあります。マーケティングからプロダクト開発まで様々な分野で活用されています。
★データドリブンについて詳しくはこちら
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ビッグデータを活用することで、膨大な過去の実績データから傾向を分析し、高精度な予測を行うことが可能です。例えば、商品やサービスの需要の予測を行えば、在庫や製造量を過不足なく適切に管理でき、無駄なコストの削減や業務効率化につなげられます。
商品の需要予測や業務効率化を行う際に活用されるだけでなく、事故や犯罪の予測、健康管理などさまざまな分野で用いられています。
ビッグデータは、DXを推進する重要なファクターの1つとしても注目されています。また、同じくDXを支える技術であるIoTやAIといった技術とも密接に関連しています。
それぞれの技術の関連と役割について詳しく解説します。
IoTとは、「モノのインターネット」のこと。モノに搭載したセンサーやカメラ、無線通信によって状態や動きを感知し、データを取得することがIoTの基本的な役割です。入手した情報はインターネットを介して人やモノに伝送されます。
近年では、スマートスピーカーやスマートホーム、自動運転車など、IoT技術を搭載した製品が人々の暮らしのなかで多数活用されています。
IoT技術により、従来では収集することのできなかった、人々の生活に関わるさまざまなデータをリアルタイムで取得することが可能に。これらの情報はビッグデータとして収集・蓄積され、サービスやプロダクト、マーケティングなど、さまざまな領域で活用されています。
★IoTについて詳しくはこちら
IoT機器が取得したビッグデータは、AIを用いて分析・解析します。結果をもとに新たなAIモデルが生まれ、サービスやプロダクトに活用されます。
IoT機器に新たなAIモデルが搭載されれば、従来以上の機能性を有することになります。
IoT→ビッグデータ→AIという循環を何度も繰り返すことで、より優れたデータやAIモデルが生み出され続けると期待されています。
★AIについて詳しくはこちら
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ビッグデータを実際にビジネスに活用するためには、以下のようなデータドリブン導入プロセスが必要になります。
データの利活用を始めるには、データを収集し蓄積する基盤が必須。企業の業務システムや基幹システム、Webサーバ、IoTデバイス、外部サービス、他社ツールなどから収集するのが一般的です。
収集したデータを分析する前に、膨大なデータの中にどんな内容が含まれているのかを客観的に把握するために、情報を整理し、わかりやすく可視化する工程。
加工したデータをもとに、それぞれ解決したい問題に応じて分析・解析を行います。ここでは、順位や最大最小値といった定量的なデータにとどまらず、変化や傾向といった定性的なデータも導き出すのがポイント。
ここまでのプロセスを経て、ようやくデータから得られた知見を施策に活用することが可能になります。
★データドリブンの導入プロセスの詳細はこちら
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ビッグデータはさまざまな分野において活用されています。ここでは一例を紹介します。
小売業では、季節などの要因による需要の変化の把握や、それに伴う生産・在庫管理がしばしば課題となります。
ビッグデータを活用することにより、過去の売上実績やオンラインショップでのユーザー行動、天候などのデータをもとにした、需要予測が可能になります。需要予測を活用することにより、在庫の過不足の解消によるコスト削減や、パーソナライズされたレコメンデーションをおこなうことができます。また、大量生産品の場合は生産量の計画が立てやすくなり、業務効率化につながります。
株式会 日立製作所では、在庫管理や、発注業務における廃棄ロスや転売差損などの課題解決のためにAIを活用。精度の高い需要予測値や発注量を算出し、発注業務の効率化や在庫最適化を支援しています。出典:需要予測サービス:ビッグデータ×AI(人工知能):日立
意思決定をおこなう際、膨大なデータの中から判断材料となる情報をその都度探すのは手間のかかる作業です。しかし、ビッグデータをAIが分析する仕組みを構築すれば、膨大な情報の中から即座に的確な情報を引き出し、意思決定を行うことが可能です。
近年、ビッグデータとAIを組み合わせ、がん治療のガイドラインや医学文献の抄録、図書館の公開データという膨大な情報の中から適切な情報を引き出し、医療現場で医師の診断を支援する試みが話題になりました。出典:人工知能「AI」活用の可能性–Watsonが持つ3つの切り口
農業に先進テクノロジーを用いる試みは「スマート農業」として注目を集めています。
ビッグデータの、画像・音声・衛星からの情報といったさまざまな形式のリアルタイム性のあるデータを統合できる強みを生かし、天候や収穫量の予測や、商品の品質のモニタリングなどが行えるようになりました。
株式会社 笑農和は、IoTやAIを用いたスマート農業でさまざまな課題解決を目指す企業。スマート水田サービス「paditch(パディッチ)」では、PCやスマートフォン、ガラパゴスケータイを用いて遠隔で簡単に水田の推移や水温を確認し、水門やバルブの開閉作業を行えるサービス。業務効率化や農作業事故の防止につながっています。参照元:スマホでかんたん水管理 paditch(パディッチ)
ビッグデータとは、非構造化データを含むさまざまな種類・形式のデータによって構成された巨大なデータ群のこと。
ビッグデータを活用することで、意思決定に必要な情報を引き出し、高精度な予測を行うことが可能。さまざまな課題解決に用いられています。今や、データの利活用は、ビジネスの成功を左右する大きな要素になりつつあるといえるでしょう。
また、データの利活用をおこなうには、データ収集・蓄積の基盤が必須。
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