AI画像認識を活用した自動採寸アプリで顧客の業務効率化とコスト削減を実現(株式会社ユニメイト )

レンタルユニフォーム事業で著名な株式会社ユニメイトが提供する『AI×R Tailor(エアテイラー)』は、AI画像認識を活用した自動採寸PWA(※1)。撮影した画像から適切なユニフォームのサイズを導き出す画期的なサービスです。

同社が課題に感じていたのは、自己申告や手作業によるサイズ集計時にヒューマンエラーによるサイズ違いが頻発し(最大実績で返品率40%超)、返品や交換に多大な労力とコストが発生していたこと。

モンスター・ラボ(以下:ML)は、サービスの改善を目指すユニメイト社のDX(デジタルトランスフォーメーション)推進に企画段階から参画。プロダクト開発の全工程を担当し、現在もさらなるサービスの向上を目指した支援を継続しています。

今回は、プロジェクトオーナーを務めたユニメイト社の桑津 昇平氏を迎えて、新規サービスの企画・立案からリリースまでの流れやMLとの協業について振り返っていただきました。

(※1)PWAとは?

Progressive Web Apps(プログレッシブウェブアプリ)の略。WEB上でネイティブアプリのようなユーザー体験を提供できるWEBサイトの新しいスタイル。ブラウザ上で起動するのでインストールが不要、ホーム画面へのアイコンの追加やプッシュ通知が可能、読み込み速度・表示の高速化、オフラインでも閲覧可能などメリットが豊富。

取材協力:
桑津 昇平(株式会社ユ二メイト 営業本部 営業第一部 部長代理)

弊社プロジェクトメンバー:
平田 大佑(CTO/AIエンジン開発責任者) / 鎌倉 和記(プロジェクトマネージャー) 

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『エアテイラー』の開発に至った経緯/プロダクトへの思い

『エアテイラー』は撮影した画像をAIが解析し、適切なサイズをリコメンドするサービス

『エアテイラー』は撮影した画像をAIが解析し、適切なサイズをリコメンドするサービス

──『エアテイラー』の開発に至った経緯を教えてください。

桑津:当社が提供するレンタルユニフォームは、お客様から申告されたサイズをご用意する形で運営しています。しかし、私服で着ている服とサイズ感が異なっていたり、メーカーによってサイズ感が違うこともあって、お客様に正確なサイズを把握していただくことがとても難しかったんです。結果として、サイズ交換が頻繁に発生していました。

そのため、お客様がユニフォームのオペレーションをするうえでのサイズ交換による作業負荷や煩わしさを軽減できるサービスを開発できないか、というのが長年の課題になっていました。そんななか、「服のサイズを測る技術がある」という記載を本で見かけて、その技術を活用すれば当社のビジネスに活かすことができるのではないかと思ったんです。

──AIを活用したマッチングロジックを組むという着想は、どのようにして生まれたのでしょうか?

桑津:その本で見たのは、あくまでも「服のサイズを測る」という技術でした。しかし、我々が実現したかったのは「お客様に最適なサイズをおすすめする」サービス。AIを活用して身体の寸法を割り出せたとしても、それを服のサイズに落とし込むためにまた別の技術や仕組みが必要になる。そこまでを含めて形にすることができれば、お客様の満足度向上につながるサービスになると思ったんです。

──サイズ交換を減少させられると、お客様側にどのようなメリットを提供できるのでしょうか?

桑津:サイズ交換が発生すると、お客様に多大な作業負荷が発生してしまいます。ユニフォームを着るご本人がサイズ交換の申請をしなければならないのはもちろんですが、一番大変になってしまうのは取りまとめをされている総務や人事のご担当者様です。サイズ交換の依頼や問い合わせに対応したり、生産の手配をしなければいけなかったり……。みなさま、本来業務があるなかで担当されているので、交換の手間を無くして少しでもご負担を軽減し、お客様の業務効率化に貢献できればと考えていました。

──業務効率化以外に、レンタルサービス自体の質の向上に寄与した面はありますか?

桑津:当社のレンタルユニフォームサービスの料金には、交換などにかかる諸費用も内包されています。そのため、サイズ交換に伴う送料などの費用を抑えることができれば、結果的にコストダウンにつなげることができ、当社の強みになると思っています。

また、サイズ交換の発生に備えて抱えている大量の在庫も、『エアテイラー』で事前にサイズがわかれば減らすことができます。作る数が増えればトータルのコストが上がってしまい、それがレンタル価格にも跳ね返ってしまう。これは弊社がお客様にユニフォームを販売するケースでも同様です。巡り巡って、お客様のコスト負担の増加につながってしまっていたんです。

──環境面への配慮もお考えになられていたそうですが、どのような観点になりますでしょうか?

桑津:ユニフォームという性質上、いずれは産業廃棄物として処理されることになります。最終的に廃棄されかねない余剰分の在庫を抑えることは、環境への配慮にも繋がると考えています。また、サイズ交換時の配送が減れば、車の排気ガスも低減できる。このような環境に配慮したオペレーションを構築することも今回のプロダクトで実現したいことの1つでした。

開発のパートナー探しで重視したこと/モンスター・ラボに決めた理由

ユニメイト社はさまざまな業種のユニフォーム製作・レンタルを手がける業界のパイオニア

ユニメイト社はさまざまな業種のユニフォーム製作・レンタルを手がける業界のパイオニア

──開発のパートナーを探すうえで、重要視されていたことを教えてください

桑津:大きく2点あるのですが、私たちが考えているサービスを具現化できる技術を持っているかどうか、当社とこのビジネスを一緒にやっていきたいという気持ちを私たちが感じ取れたかどうか、という部分を重視していました。

当社だけの知恵ですと当然足りない部分も出てくるので、そこも補完してくれるような企業だったらいいな、と。あとは、一緒にプロジェクトを進めていくうえで作業だけになってしまうようだと、やりづらくなってしまうので(笑)。熱い想いがこもっている企業と一緒に開発していきたいと思っていました。

──MLを開発のパートナーに選ぶ決め手になったのは、どのような部分でしたか?

桑津:今申し上げた2点をクリアしていたことはもちろんですが、特に「一緒にやっていきたい」という気持ちを非常に強く感じられたことが、MLを選んだ大きな理由です。事前に開発実績が豊富なことはもちろん存じていたのですが、MTGで話している最中に改めて知ることも多く、高い技術をお持ちだということも伝わってきました。そこは非常に良かったなと思っています。

──実際に一緒に協業していくうえで、良かったと感じた部分があれば教えてください

桑津:1つ1つのことをきっちりとやってくれる安心感です。MTG時の議事進行ではしっかりとリードしてくださいましたし、納期もきっちり守っていただけた。当たり前のことかもしれませんが、とてもありがたかったです。

知見が高いと感じたのはもちろんですけど、やりとりが非常にスムーズだったと思います。PMの鎌倉さんのお人柄といいますか、気難しい人がいなかったのも進めやすかった要因です。なによりレスポンスが非常に早いイメージがありました。

開発時の課題/AIエンジン開発とマッチングロジックの構築について

AIエンジンは週次MTGでレポーティングし、徐々に精度を改善

AIエンジンは週次MTGでレポーティングし、徐々に精度を改善

──開発を進めるうえで見つかった新たな課題などはありましたか? 

鎌倉:開発を進めていくなかで、課題が明確になっていった部分もあります。例えば、データの取り扱い方。『エアテイラー』以前に市場に出ていた服を採寸するようなサービスは主にBtoCのものでしたが、今回のプロダクトはBtoBのサービス。そのため、撮影した写真や得られる採寸値などのデータを本人以外の人にも閲覧されてしまうケースが想定されました。実際の運用を考えると、より注意を払わなければいけないなというのは新たに見えてきた部分でした。

──AIエンジンの開発やマッチングロジックを構築するうえで苦労した点を教えてください

平田:AIエンジンに関しては、もともと他社のAIエンジンの活用をお考えになられていたところからMLで開発を担うことになったという裏話があるんです。すでに身体の採寸値を予測するAIは世の中にいくつか存在していたのですが、2ヶ月くらいの期間でそれと同じ水準か、今回のサービスに使える水準を満たすAIを作る必要がありました。

AIのスペシャリストをアサインしてユニメイトさんとディスカッションするなかで、たくさんのヒントをいただき、それを解決するためのデータを提供いただいては改善を繰り返して……。毎週のように顔を突き合わせて、かなりのスピード感で精度を上げる作業をご一緒させていただきました。今振り返っても、改めて自分たちだけで作れるものではなかったと感じています。どんどんと新たな課題も出てきたのですが、その都度折り合いをつけ、最終的に水準を満たすレベルまで達することができました。

──AIエンジンの開発に向けたやりとりをしていくなかで、気づいたこと・感じたことはありますか?

桑津:我々には専門知識がなかったので、基本的には「ああ、そうなんだ」「すごいな」と思うしかなかったですね(笑)。平田さんがおっしゃっていたように、あとからAIエンジンも含めてMLさんにお願いすることになりましたが、当社のやりたいことをとてもよく理解していただけたと感じています。我々がやりたいことや意図をしっかり理解していただきながら、完成まで上手にリードしてくださって感謝しています。

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リリース後の反響と今後のサービス拡充に向けた展望

プロジェクトオーナーを務めたユニメイト社の桑津氏

プロジェクトオーナーを務めたユニメイト社の桑津氏

──お客様に向けて『エアテイラー』の利用を、どのようにアプローチしていこうとお考えですか?

桑津:“お客様が使いやすいサービス”というだけでなくて、“お客様が利用することにメリットを感じていただけるサービス”としておすすめしていきたいです。業務効率化の一環として貢献したいというのもありますし、当社のレンタルサービスと『AI×R Tailor(エアテイラー)』を組み合わせることで今よりも環境に配慮したオペレーションが組めるという部分もアピールしていきたいと思っています。

──サービスリリース後、予期していなかった反響などもありましたでしょうか?

桑津:当初は想定していなかった部分なのですが、コロナ禍の影響で手作業による採寸ができていない現場からお問い合わせをいただいたこともありました。例えば、学生服。毎年のように手作業で採寸を行ってきたそうなのですが、今はそれが難しくなってしまっているそうです。

多くのデータを保有していないカテゴリーだったので、すぐに対応するのは厳しいのですが、新しい需要・ニーズが出てきているなと。「人と接することなく服のサイズがわかる」というサービスは、今の時代に求められているものなんだなと改めて実感しました。

──『エアテイラー』を今後どのように活用していきたいとお考えですか?

桑津:『エアテイラー』を単体でとらえるのではなく、これまで当社が強みとしてきた部分を上手に組み合わせて、より一層の効果を生み出していきたいと考えています。ユニフォーム業界はまだまだアナログな部分が多いなか、当社はシステム化という部分で先行できていると自負しています。競合他社がまだ着手できていないことをいち早く取り入れることで、今後も業界のDX推進をリードしていきたいです。

ユニフォームの業界では、とかく価格やデザイン、品質ばかりがクローズアップされがちな傾向があります。もちろん当社もそれらを追求しないわけではありませんが、新しいテクノロジーの導入に力を入れていることをどんどん強みにしていきたいと思っています。

──今後のサービスの向上に向けた展望を教えてください

桑津:サービスの提供が始まったばかりということもあって、今はまだ「実績はどうなんですか?」と聞かれることが多いのが現状です。営業していくなかで「使ってみたい」と言ってくださるお客様も多くいらっしゃるので、スピード感を持って導入を促して、どんどん実績を作っていければと考えています。多くのお客様に利用していただければ、精度向上に生かせるデータも蓄積されていきますし、広がり方も違ってくるかと。今はまだそこに向けてスタートしたばかりといったところです。

平田:今回のリリース時点のAIエンジンは、ユニメイトさんが所有されていたデータを活用して製作したもの。今後運用して行く際にもデータは蓄積されていきますが、やみくもにデータを集めるのは避けたいと思っています。

肝心なのは身体の採寸を行うAIを作るのではなく、ユニフォームのサイズとマッチングさせるAIを作ること。そのための精度を向上させるにはどんなデータを貯めていけばいいのか。これまでの開発の中でヒントになるものがたくさんあったので、第2フェーズではその知見を生かしてより良いものを開発したいと考えています。

鎌倉:今後、第2フェーズ・第3フェーズと開発が進むにつれて、AIエンジンにもこれまでと異なるアプローチや技術を使っていく可能性が非常に高いと感じています。たくさんの知見を得ながら、さらに効果的なAIの活用方法を模索し、より良いサービスに昇華させていく。今回のプロジェクトをそのきっかけにしていきたいと思っています。

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■記事の監修

平田 大祐(株式会社モンスター・ラボ 執行役員 CTO)

2004年IBMグループに入社し、IBM ITスペシャリストとしてシステム開発に従事。
2009年からベンチャー企業にて受託開発、コンテナ型無人データセンターの管理システム、ドローン開発などソフトウェアからハードウェア開発まで幅広く関わる。チーフテクノロジストとして2015年にモンスターラボへ入社し、2018年4月より最高技術責任者であるCTOに就任。