『JTBアプリ』の開発を通じて、旅行者との接点をデジタル化(株式会社JTB)

大手旅行会社の株式会社JTB(以下:JTB)。これまで店舗やWEBでの旅行販売が主力でしたが、2022年5月に「JTBアプリ」をリニューアルし、アプリからの予約が急増しています。

アプリ開発を支援したモンスターラボ(以下:ML)のメンバーと共に、アプリの戦略やリリース後の反響、今後の展望などについて、JTBの神田 公平氏、田代 絢子氏にたっぷりとお話を伺いました。

取材協力:

JTB ホームページ戦略部長 神田 公平(写真左から3) / JTB ホームページ販売課マネージャー 田代 絢子(写真左から4) / UIUX課 森田 恵莉加(写真左から7) / Webシステムソリューション部 岡安 美幸(写真左から5) / 大谷 淳稀(写真左から6)(株式会社JTB)

MLプロジェクトメンバー:

プロジェクトマネージャー 加藤 健司(写真左) / アプリ開発エンジニア 関 英男(写真左から2)(株式会社モンスターラボ)

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利便性を追求し、お客様のニーズに応えるプロダクトを開発

アプリの機能画面

──まずは、今回開発したアプリについて教えてください

神田:今回開発した「JTBアプリ」の主な機能は、①国内旅行・海外旅行の検索、予約 ②予約旅行内容の確認 ③JTBとのメッセージ送受信 ④ポイント確認です。

田代:特にご予約後に、アプリ上でメッセージのやり取りができることから、これまでお電話でお問い合わせいただいていたお客様が店舗の営業時間に縛られなくなり、気軽にコンタクトを取れるようになったのは、すごく評価いただいています。

──どのような世代のお客様にアプリをご利用いただいていますか?

田代:幅広くご利用いただいています。上は80代のお客様にもご利用いただいているんですよ。

神田:どなたでも一度使っていただければ「便利」と思ってくだると思います。例えば新幹線のチケットもアプリでQRコードを表示して発券機にかざすと取得できるんです。

:便利ですよね。

加藤:一般的には、鉄道は鉄道、航空券は航空券でそれぞれアプリやWEBサービスを利用しますよね。

神田:それらが一つのアプリで全てが完結するのは、旅行会社の本質ですよね。

お客様接点のデジタル化を加速させる取り組み

取り組みへの思いを語る神田さん(左)と田代さん(右)

──続いて開発について教えてください。アプリ開発の目的は?

神田:お店のお客様のご旅行中の利便性を高めたいというのが、一番の目的です。あとは、アプリでは「ログインを避けたい」という点は改善したいポイントでした。お客様の声として「認証」の部分、つまりログインを何度も求められることが(セキュリティ上は正しいのですが)課題になっています。一方、アプリは一旦インストールすれば、ログインはほぼ必要なくなりますよね。スマートフォンはそもそもパーソナルなもので、画面ロックがかけられる前提で設計されるためです。

──いつ頃からアプリ開発に取り組もうと思ったのですか?

神田:お客様サービスのデジタル化という観点では、構想として随分前からありましたが、2020年に戦略の立て直しを図る中で、お客様接点のデジタル化を加速させようという流れになり、その一環としてアプリ開発に着手することになりました。

──MLへの発注のきっかけは?

神田:元々別のプロジェクトでお付き合いがあった中で、社内で紹介をしてもらいました。モンスターラボの皆さんとディスカッションをする中で、話が合ったんですよね。

御社に専門性があるということもすぐにわかりました。

加藤:MLの提案はどうでしたか?

神田:我々はデジタルネイティブ企業ではないので、iOSとAndroidを分けて開発・運用するような複雑さは必要ないと思っていました。

そんな中、課題感をお伝えしたらFlutter※での開発をご提案いただき、それを採用したのですが、結果として今とても満足しています。

加藤:そう言っていただけると嬉しいですね。

flutterとは:一般的なネイティブアプリ開発では、Android/iOSそれぞれに合わせた専用アプリが必要ですが、flutterは1度の開発工程であらゆるOSに対応できるのが特徴です。

──開発でどのような点を工夫されましたか?

神田:スクラム開発に取り組んだことでしょうか。毎朝のデイリーミーティング、2週間に1回スプリントを組んで……というやり方を、当社のような伝統的な企業が採用したということが、大きな変化だったと思います。

:スクラムは初めて組まれたのでしたっけ?

神田:はい。現状のJTBからすると、スクラムを組んでアジャイル開発で、今までのような成果完成型ではなく、シンプルに準委任契約で新サービスを実現したということ自体も進歩ですし、御社にやり方を教えていただいたと思っています。

このやり方は今後、様々な企画開発に展開していきたいですね。

──大変だったことはありますか?

神田:コロナです。やはり業績には大きな影響が有りました。

加藤:そうですよね……。

神田:でもだからこそ、投資はデジタルに寄ってきたとも思います。もしコロナがなかったら「なんでアプリでやるんだ?」という議論により時間が掛かっていたかもしれませんし。

ただ、開発自体への影響はほぼなく、むしろリモートが定着したことで移動時間がなくなったり、お客様が店舗での接触を避けたいとなったとき、デジタルにより力を入れなくては、という機運が高まったり、ポジティブな部分もありました。

アジャイル開発の手法を用いることでナレッジの蓄積にもつながった

アジャイル開発について語る関(左)と加藤(右)

──アプリ開発そのもの以外で副次的な効果はありましたか?

神田:アジャイル開発が初めてだったので、やはりナレッジが蓄積できたことは大きかったです。今回の開発手法で成果が上がっているので、社内、特に事業部内では実績として認知されてきています。

加藤:社内認知もしていただけているんですね。

神田:将来的に基幹システムの入れ替えを考えているのですが、特に当部が関わる部分については、できるだけ今回のやり方を取り入れようとしています。

──アプリのリリース後にどのような変化や反響がありましたか?

神田:順調にダウンロード数が伸びてきています。WEBからアプリに切り替える方もどんどん増えている状況です。それに併せて売上も伸びてきていて、アプリ経由での予約が着実に増えています。

:順調にダウンロード数が増えているということで、開発に携わった弊社としても嬉しいです。

──業務が効率化されたりポジティブな変化はありましたか?

田代:作業負担が軽減されました。

以前はご予約後、日程表を紙で印刷して、4〜5枚封筒に入れて、郵送していました。お客様はそれを旅行に持って行っていたと思うのですが、今はアプリ一つあれば旅行に行けるので、利便性が高まったと思います。

JTBとしても郵送する作業がなくなりますので、かなり負担軽減になっていますね。

加藤:実際にどのくらい負担軽減になったんですか?

田代:1日1店舗あたり約10〜20件くらい、お客様のチケットや旅程表を印刷して郵送作業を行っていたのでその負担を削減できました。その分お客様と接する時間を長く持つことができるようになっています。

──今後アプリの機能拡大の予定などはありますか?

神田:アクティブユーザーも多いので、今後は旅行検索以外でアプリを起動してもらうことを狙っています。

例えば地域のニュースなどのコンテンツだったり、旅行に行きたくなるような写真を使ってコンテンツを作ってみたり。検索に入る前段階でアプリを使ってもらえるようになったら、ビジネスとしても大きく変化してくると思っています。

加藤:アプリの機能拡大が楽しみですね。弊社としても、今後も伴走しながら支援させていただけると嬉しいです!

──最後に、今後の意気込みをお願いします

神田:アプリを地道に育てていきたいと思っています。いきなり画期的なものはできないかなと思っていて。末長く御社と一緒にやっていければと思っています。

田代:お客様とJTBの接点としてアプリが日常的にあるような、愛されるアプリを目指して試行錯誤しながら取り組んでいきます。

加藤:本日はお忙しい中ありがとうございました!

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