試行錯誤の連続の先に見えた確かな自信。新卒2年目の若手メンバーが「ひろぎんアプリ」追加機能のデザイン・開発に挑む(広島銀行)

広島銀行の若手メンバー

広島銀行は行内の開発体制の強化を目的に、2023年3月よりひろぎんアプリの内製化に向けたプロジェクトを開始し、2023年11月に追加機能をリリースしました。

このプロジェクトの企画・開発メンバーに抜擢されたのは、広島銀行およびグループ会社であるひろぎんITソリューションズの新卒2年目の若手メンバーでした。

モンスターラボのサポートのもと、彼ら・彼女らがどのような試行錯誤を経てプロジェクトを進めていったのか、4人にインタビューを実施しました。

取材協力:

木戸さん(写真左)
広島銀行IT統括部所属。2022年4月新卒入社。プロジェクトでは企画・UI/UXデザインを担当。大学時代は経済学部で地域とスポーツの経済の関わりについて学ぶ。

矢矧さん(写真中央右)
広島銀行IT統括部所属。2022年4月新卒入社。プロジェクトでは企画・UI/UXデザインを担当。大学時代は経済学部で、データマーケティングなどを学ぶ。

竜口さん(写真中央左)
ひろぎんITソリューションズ金融ソリューション部所属。2022年4月新卒入社。プロジェクトでは開発を担当。大学時代はゲームの開発やデザインについて学ぶ。

田中さん(写真右)
ひろぎんITソリューションズ金融ソリューション部所属。2022年4月新卒入社。プロジェクトでは開発を担当。大学時代は情報デザインを学ぶ。

前例のない取り組み「ひろぎんアプリの内製開発」に広島銀行の若手メンバーが挑む

ープロジェクトは2023年の4月から本格的にスタートしたそうですね。実際にどんなことに取り組んだんですか?

矢矧:モンスターラボのUX/UIデザイナーの方々に伴走してもらいながら、はじめは企画・デザインに関する基本的な知識のインプットをしていただきました。その後、ユーザー体験を考えることに取り組みました。

木戸:ユーザー体験設計では、お客さまはどういったシーンでこのアプリを使うのか、あるいはこのアプリの価値は何なのかを、ペルソナやユーザーストーリーを整理しながら考えていきました。その後、矢矧さんと一緒に具体的な画面の構成や素案を作っていきました。

ー実際に手を動かしながら、デザインプロセスを一通り学び、作り上げていったんですね。開発はどのようなことに取り組んでいったのでしょうか?

竜口:開発チームは4月から要件定義とドキュメント整理に着手しました。並行してフレームワークであるビューJSやタイプスクリプトなどを学習していきました。初めて触れる言語やフレームワークばかりだったので、最初の方は覚えるのがなかなか大変でしたね。6月の中旬くらいからは、矢矧さんと木戸さんが作ったデザインを元に開発に取り組んでいきました。随時モンスターラボのエンジニアの方々にワークをしていただきながら進めていました。

矢矧:思い返すと、初めは分からないことが多すぎて、不安でした。

田中:私も最初に業務内容を見た時、かなり難しい印象を受けたのを覚えています。1年目で取り組んでいた業務と比べてもかなり主体性を高めないとやっていけないという危機感がありました。

当時の様子を振り返る田中さん

ー最初は不安を抱えながらのスタートだったんですね。

木戸:ひろぎんアプリの内製開発は銀行内で初の挑戦だったので、自分たちが壁にぶち当たった時に相談ができる先輩がいなかったんです。ですので、自分たちで調べてみたり、モンスターラボのみなさんのお力を借りてなんとか進められてはきましたが、そうは言っても苦しい部分はあったかなと思います。

要件確認不足での手戻りは数十回。試行錯誤から見えてきた「伝え方」の道筋と開発のスキル

ー具体的にどのようなことが大変だと感じたのでしょうか?

全員:社内外との調整と合意形成ですね。

矢矧:今回のプロジェクトでは、元々存在しているひろぎんアプリの中にミニアプリを追加で作るという構成でした。ですので当然、ひろぎんアプリの担当者はデザインや機能に関するこだわりを持っていらっしゃいました。ただ、私たちは当初ひろぎんアプリの全体像や担当者の思いなどを全然理解できておらず、そのギャップから、かけ離れたデザインを提案してしまっていました。もっとひろぎんアプリのことを理解できていれば、より良い提案ができたかもしれないと思う一方、なかなかキャッチアップすることができなくて、何度も何度も作り直しをしていました。

木戸:ただ、その何十回のトライの中から見えてきたこともありました。最初の頃は「こういうデザインになりました」という結果の部分しか伝えてなかったのですが、段々と背景などデザインの意図をユーザーストーリーを用いながら伝えるようにしていったんです。伝え方を工夫したことで、すり合わせの時間やラリーの回数が減っていき、ぐんとコミュニケーションがスムーズになっていきました。

思いを込めながら語る木戸さん

田中:開発側も、デザインの変更に応じて修正をかけていたのでそこは大変でした。加えて、ひろぎんアプリの要件に合わせていくのも難易度が高く、難しかったです。ひろぎんアプリの仕組みを理解するのも、開発するスキルも、とにかく技術力が全然足りず、言語やフレームワークなど初めて学ぶことが膨大にある中で、変更の要望を受けて改善を繰り返している状態でした。

竜口:でも、わからないことがあったらモンスターラボのエンジニアの方々に随時教えてもらえるという体制を敷いてもらっていたので、そこは本当にありがたかったです。時にはペアワークで一日5時間以上(!)教えていただくこともありました。ただ、回数を重ねていくうちに徐々にですが質問の回数も減り、一人でできる範囲が増えていったのは嬉しかったです。

ーハードな状況でデザインや開発に取り組まれていたんですね。これらの困難な状況をどのように乗り越えていったんでしょうか?

田中:モンスターラボのみなさんがコミュニケーションを取りやすい雰囲気を作ってくださっていたので、コードをみてもらったり、わからないことはすぐに聞けたりと、なくてはならない存在でした。

木戸:デザイン面ではデザインの色々なパターンをワークを通じて教えてもらったり、作成にご協力いただけたのは大きかったです。特に社内調整の際に伝える方法として「実際にデザインを見せられる」というのは効果的ですし、とても役に立ちました。

矢矧:あとはデザインの要望を出したけど、開発側から実現が難しいという返答が返ってきた時に、木戸さんと私と開発メンバーとモンスターラボのみなさんと一緒にどうやったら実現できそうか、ということをディスカッションもできて、貴重な経験でした。

苦労の先に得た自信が滲み出る矢矧さん

得られたスキルと確かな自信の先に目指すものとは

ー振り返ってみて身についたスキル・経験はどのようなものでしょうか?

木戸:スキル面ではFigmaというツールをだいぶ使いこなせるようになってきました。あとは、現状のデザインに対して何か要望があった際に、修正案をスピーディに作ることが出来るようになったと思います。

矢矧:私はユーザーストーリーを学んでからは、一般的なデザインを見た時に、ある程度デザインの法則を見つけることができるようになりました。ゼロベースでデザインを作成することはまだ難しいですが、参考にするデザインがあれば、素案を作れるようになってきたと感じており、自信につながっています。

木戸:他のデザインを見て学んでみるのも重要な観点だと教わっていたので、日常生活でも自然と色々なデザインに目を向けられたんだと思います。

田中:私は正直に、作れるようになったな!という実感が強くあります。半年前にコードを書き始めた頃からは想像できないほどです。実際に今、次の案件に取り組む中でも前例を参考にしながら、ある程度コードを書けるようになりました。

竜口:私も最初の頃はモンスターラボのエンジニアの方々が書いてくれたコードをコピーしながら見よう見まねで書いていましたが、最近は自分で書いて、できたコードを銀行内のメンバーに確認してもらうなど、行内で完結できるようになってきました。短期間での成長を実感しています。

次なる目標を見据える竜口さん

ーみなさん試行錯誤しながらもしっかりとスキルを身につけていて、素晴らしいですね。最後に、プロジェクトの感想と、今後の目標を教えてください。

田中:今回、本当にこれまで味わったことのない経験、開発ができたと思っています。きちんと開発できるかどうか分からない不安な状態から、思った通りにアプリが動いた時のなんとも言えない喜びを味わえたことは、今後もずっと忘れないだろうなと思っています。

今後の目標としては、開発において言われたものを作るだけではなくて、要件もしっかりと考えて、自分で提案できるような開発者になれるように成長していきたいです。

竜口:思い返すと、楽しかったですね。あとは時間が過ぎるのが異様に早かったです。1日3秒ぐらいの感覚でした(笑)

開発メンバーとして半年ほど取り組む中で、自分に足りていない部分が明確になりました。ですので今後は、開発知識の向上を一番に目指しつつ、プロジェクトメンバーとも良い関係を築きながら、頑張っていきたいと思います。

矢矧:とても貴重でありがたい経験をさせてもらったなと思っています。同時に、世の中に出てきているアプリってどれだけすごいんだ!というのを痛感したので、今後は、他の銀行さんに引けを取らないようなアプリを作っていきたいなと思ってます。

また、今回なんとかリリースできましたが、要件の確認不足等、コミュニケーションの点でもまだまだ未熟な点があるので、もっとうまくプロジェクト管理できるようになりたいなと思いました。

木戸:お客さまに対して内製開発を通じて新しい機能をリリースできたのはとても嬉しいです。同時に例えば障害が起こったら、広島銀行が提供しているアプリで障害が起きたということになるので、大きな責任が伴う業務だと感じています。また、仕組み上、ひろぎんアプリとミニアプリが別だとしても、お客さまにとっては一つのアプリなので、可能な限り違和感のないようにデザインしないといけない。だからこそ、すり合わせをしながら妥協せずに作るということが今後も重要だと思っています。

今回、デザインの面白さや奥の深さを学べたと同時に、裏側の仕組みもとても重要だということに気づきました。バックエンドで表示する情報の取得処理を行っているからこそ、ひろぎんアプリ上でより便利なサービス機能をお客さまに提供できるということが分かったので、今後はデザイン面に加えて、裏側の仕組み、バックエンド側でもこのような繋がりが必要になるということを、自分から提案できるような人材になりたいなと思っています。

★【インタビュー】広島銀行が内製化に舵を切り、プロジェクト推進を若手に託した背景について詳しくはこちら

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