広島銀行は行内の開発体制の強化を目的に、2023年3月よりひろぎんアプリの内製化に向けたプロジェクトを開始し、2023年11月に追加機能をリリースしました。
これまでベンダーによる開発が中心だったところを内製化に大きく舵を切り、さらにプロジェクトの推進は新卒2年目の若手に託しました。
どのような背景から内製化という決断に至ったのか、さらにその先に見据えるものとは。
取材協力:
広島銀行 IT統括部長 好川 和利 氏 (写真左)
モンスターラボホールディングス 代表取締役社長 鮄川 宏樹 (写真右)
目次
好川:前提として、銀行とお客さまとの接点が時代と共に変化してきています。以前は、営業店舗を便利なところに設置してお客さまに来店してもらうというビジネスモデルでしたが、今はデジタルへと急激にシフトし、個人のお客さまとの接点もスマホアプリへと移行しています。我々としてもその重要性を感じており、近年デジタル接点の強化を推進してきました。
鮄川:我々も日々、企業のデジタルを活用した課題解決をご支援させていただく中で、昨今は銀行に限らずあらゆる業界において、デジタルにおけるお客さま接点の強化、データを活用したマーケティングなど、一気に加速してきている印象を受けています。
好川:その通りです。それと同時に見えてきた課題の一つが、個人のお客さまのニーズの変化に対して、我々が機動的に対応できないという点でした。広島銀行はこれまでシステム周りは基本的に外注で運用してきましたが、例えばアプリでちょっとした機能を追加したい時に、半年、1年という時間がかかっていました。一方で、我々が選ばれる銀行になっていくためには、“使いやすい”ということが重要なポイントだと思っていました。
さらに柔軟性やスピード感で劣後してしまうと、いずれお客さま、特に若い層から見放されていくのではという危機感もあったので、なんとか我々の手でアプリを自由に扱えるようにしていきたいという思いから、内製化への挑戦という、大きな舵切りをするという決断に至りました。
鮄川:大きな決断ですね。
好川:まず、アプリの企画からリリースまでの期間を短くしていくことが目標でした。もう一点は、自分たちのアイデアをスピーディに形にして議論をしながら開発を進める、いわゆるアジャイルな開発ができるようになればいいなということ。最後に、“あったら面白いかも”というアイデアにもチャレンジできる風土が醸成されてくることも期待していました。それがひいてはお客さまに選ばれるアプリにも繋がっていくと思いますので。
好川:今までのやり方では今後通用しなくなってくるという危機感もあって、過去のやり方をガラッと変えてみたいという思いがありました。そのような中で、弊行の担当者が他行の実績などを調べていたところ、御社の名前が挙がりまして、実績もあるし、新しい、面白いやり方で支援していただけるのではないかという期待が募っていきました。
鮄川:やり方を変える際に不安などありませんでしたか。
好川:最初はどうなるのかなという不安もありました。ただ、プロジェクト開始前からモンスターラボさんと何度もお会いする中で、一緒にできるパートナーさんだと感じました。弊行の担当者も御社の熱量を感じ取っていて、お付き合いしたい、という熱い思いがありましたね。
鮄川:非常にありがたいですね。我々は戦略、体験設計、そしてテクノロジーを掛け合わせることで、お客さまやユーザーにとってベストなサービスやプロダクトを作っていくことを目指しています。その上でお客さまとの関係性においては、受発注の関係ではなく、一緒に、ワンチームになって顧客価値の最大化を目指していくことに取り組んでいます。今回まさに、そのような部分を期待していただいたというのは、率直に嬉しいですね。
好川:アプリは色々な方に利用していただいてますが、ターゲットとして特に意識しているのは若い方です。そのため企画・開発メンバーも感性として近い層で、なおかつ発想力も豊かな若手メンバーを選出しました。組織に長くいるほど、どうしても慣習に引っ張られてしまうので、そういった意味でも新しい風を取り込みたかったんです。それゆえに強力なパートナーさんが必要でした。
鮄川:銀行という専門性が求められる領域ですので、我々は金融知識が豊富なメンバーに加え、UX/UIデザイン、テクノロジーの知見を持ったメンバーでチームを組成しました。最初のプロジェクトということもあり、経験・知見が豊富なメンバーを選出させていただきました。
また我々は「多様性」を大事にしています。それは、様々なバックグラウンドや知見からクリエイティブなものが生まれると思っているからで、今回も多様なメンバーだったと思います。
好川:確かにいろんな個性のある方々を集めていただいたな、という印象を最初に感じた記憶があります。ベストミックスでしたね。
行内で前例のないことだったので、苦労したり深刻になるのかと思ったら、結構楽しそうにやってましたね。また、彼ら/彼女らに知見が溜まっていくとともに私に対し自信を持ってプレゼンをしてくれるようになりました。裁量をもつことで、短期間で飛躍的に伸びていき、自信と責任感が芽生えていったのでしょう。頼もしい限りです。
好川:アプリが便利になった、という声は各所からいただいています。また行内からは新しい追加機能の要望なども出てきており、期待を込めた声をもらえています。
鮄川:実際に若手メンバーの皆さんの成長を感じて手応えもあったのでは?
好川:プロジェクトを通じて、若手メンバーが多くのことを経験し吸収することで、成長ができたのだと感じました。
好川:リリースのスピードを上げるためには、複数の機能などを並行して走っていけるような体制作りをしていきたいですね。また、アプリを毎日触りたくなるような、そういうアプリに成長させていければいいなと考えています。そうなると、もはや金融サービスのアプリではないかもしれませんが、生活の中に溶け込むようなアプリに発展していけばいいなと思います。
鮄川:ビジネスにおいてデジタルの比率は今後も高まっていくと思っています。地銀でいうと、対面のお客さまとの距離感などの良さを大切にしながらも、アプリなど非対面の部分を通じたタッチポイントは増えていきますよね。その中でアプリを介して1日に1回、週に1回とお客さまと接触できる機会が増えることはより重要になっていくのではないかと思います。
一方で、我々は多様な企業のお客さまと仕事をさせてもらっているので、グローバルの土壌においても先進的な取り組みの知見があります。コアな部分は行内にチームを持たれながらも、我々もパートナーとして、柔軟かつ継続的にご支援させていただけたらと思っています。
今回のプロジェクトをきっかけに、会社を超えたチームができたっていうのは、ものすごい財産だと思っています。我々自身も貴行の事業の成功や、その先にいらっしゃるお客さまの満足度を目標として共有しながら、より良いアイデアやサービスを出し続けられるよう、精進していきたいですね。
★【インタビュー】広島銀行若手メンバーによるプロジェクト挑戦についてはこちら
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