システムの保守と運用とは?それぞれの違いや外部に委託する際のポイントを解説

システムの保守と運用とは?それぞれの違いや外部に委託する際のポイントを解説

システム保守は、システムの改修や調整、修理を中心とする業務です。機器の老朽化やOSのアップデートなどをきっかけに、システム障害が発生することも多く、企業にとって保守運用は重要な業務といえるでしょう。

今回は保守運用の概要が知りたい方や外部委託を検討しているシステム管理者に向けて、保守運用の業務内容や外部委託のメリットについて解説します。

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システム保守とは

システム保守とは、システムに障害やトラブルが発生した際などに改修や調整、修理を行う業務を指します。
近年、生産性の向上やDX推進を目的として、多くの企業でITシステムの導入が進んでいます。
導入後のシステムは障害やトラブルを起こすこともあるため、その際はバグの改修や復旧作業といった保守を迅速に行わないといけません。
対応が遅れた場合、企業にとって非常に大きな損失につながる懸念もあるため、システム保守はとても重大な役割を担っているのです。

★まとめ
・システム保守は、システムの改修や調整、修理をする作業のこと
・システム保守は突発的に業務が発生するのに対し、システム運用は日常的な業務が中心となる
・システム保守運用を外部委託することでコア業務への集中やコスト削減が期待できる

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システム保守とシステム運用の違い

システム保守と混同しやすい業務に、「システム運用」があります。
運用は導入したシステムが問題なく動作するように管理する役割を担っています。
システム保守は突発的なトラブルに対応することが多いのですが、システム運用はシステムを安定的に稼働させるために常に監視をする役割です。
違いとしては、システム運用が日常的な業務メインとなるのに対し、システム保守はイレギュラー対応など不定期な業務メインとなる点が挙げられます。
また、企業によっては運用と保守の業務が明確に切り分けられていない場合もあり、「システム保守運用」と、ひとくくりで呼ばれることもあります。

システム保守の業務内容

システム保守の業務は主に、「システムの点検・改修」と「システム障害への対応」の2種類に分かれます。まず点検・改修では具体的に以下の業務を行います。

・定期的なデータのバックアップ

・最新のセキュリティパッチやアップデートの適用

・劣化した機器の交換

・パフォーマンスの最適化

次に障害への対応では以下の業務が挙げられます。

・発生したバグやエラーの修正

・損失データの復元作業

・故障した機器の交換

・障害の原因を解析し、改善策を講じることで根本的な改善を図る

そのほか、修正・改修した部分についてドキュメントの更新を実施し、利用者への周知も行うことが必要です。

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システム運用の業務内容

システム運用では、監視と運用方法の考案が主な業務となります。
システムの監視においては、システムの稼働状態やパフォーマンスを定期的に確認し、必要な場合には設定やリソースの管理を行って最適化します。エンジニアがジョブログやリソース使用量を監視し、今後も問題が起きなさそうかチェックするのが一般的です。必要に応じてレポートの作成も行います。
また、運用方法の見直しや運用手順書などのマニュアル作成も行います。システムの設定や手順を文書化することで、トラブル対応におけるエンジニアの差を減らせるでしょう。
また、利用者からの問い合わせに回答するなど、サポート業務をすることもあります。

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なぜシステム運用・保守は重要か

システム運用・保守は、企業活動を停滞させないためにとても重要です。
多くの企業では、フェーズや目的に合ったシステムを導入し、業務の標準化や効率化を図っています。これらのシステムが突如停止してしまった場合、データの消失や機会損失が発生し、企業の信頼低下を招くこともあります。システム運用・保守の体制が整っていないと、トラブルの発見が遅れ、最悪の場合膨大な損失につながってしまう恐れがあります。
障害の発生を未然に防ぎ、あるいは素早く復旧させ、安定的に継続してITサービスを提供し、いつ誰が使っても同じ価値を提供することは、システム運用・保守の役割として非常に重要なのです。

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システム保守運用は外部に委託するパターンが多い

自社のシステム保守運用を行う際は、外部委託と自社管理の2通りがあります。
自社管理はコスト削減につながる一方で、システムの運用や保守業務を担うためには、複数の業務スキルや経験値、エンジニアのリソースなどが必要となり、一筋縄では対応できません。
また、24時間体制で管理が必要なサービスも存在するため、自社内のリソースでは対応しきれないこともあります。
そのため、社外のシステム保守・運用の企業と業務委託契約を結び、自社負担の軽減を目指す企業が増えているのです。

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システム保守運用を委託するメリット

システムの保守運用を外部に委託することで、コスト面以外にもセキュリティの面などでメリットを享受できます。

システムの安全性が強化される

システム保守運用を専門としている企業には、その分野のプロフェッショナル人材も多く在籍しており、高い業務水準を実現できるでしょう。
また、セキュリティ対策などのアップデートにも素早く対応できるようになり、全体的なシステムの安全性向上にもつながります。

保守のコストをカットできる

自社でシステム保守を行う場合は、サーバー代や人件費などが必要になります。
システムの全体的な見直しが必要になった場合には、さらにコストがかかる恐れがあります。
システム保守業務を外部に委託すれば、エンジニアの教育費なども削減可能。クラウドサーバーを活用すれば、自社の拠点を持つ必要もなくなります。委託により金銭面でも大きなメリットを得られるでしょう。

業務の効率化

提供するサービスによっては、24時間365日体制で対応しなければならないこともあり、それらをすべて自社で対応していると、多大なリソースを割かれることになります。その一部もしくは全部を業務委託で補填できれば、より効率的に業務を進めやすくなるでしょう。

業務品質を上げてコストを減らせる

外部委託によって、システム運用・保守業務に精通したエンジニアに業務を任せることが可能です。自社管理の場合は人材育成などのコストが必要ですが、それらをカットしつつ、高水準の技術を素早く取り入れられます。
また、最新技術のアップデート情報なども早期にキャッチアップすることができるようになり、セキュリティの強化にもつながるでしょう。

自社リソースをコア業務に集中させられる

基本的に会社の利益を生み出さない間接業務であるシステムの保守運用業務の効率化やコストの最適化などが実現できれば、捻出した人的・金銭的なリソースを利益を生み出す「コア業務」に充てやすくなるでしょう。従って、システム保守運用業務を委託することは、事業拡大や新規事業の設立といった会社の利益の増大にもつながる可能性があります。

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システム保守運用を委託するデメリット

外部委託はメリットが多いですが、ノウハウの蓄積や情報漏洩のリスク面でデメリットがあるのも事実です。

業務ノウハウが社内に蓄積できない

保守運用の業務をすべて委託する場合、自社内で業務工程や内容の把握が難しくなるだけでなく、保守運用のノウハウや人材も蓄積されません。そのため、社内での運用に切り替えが必要になっても、スムーズな移管に支障をきたす恐れがあります。
また、業務内容の理解だけでなく、突然のトラブルに対して迅速に対応する力も必要です。将来的にシステムの社内移管も視野に入れる場合は、早めに保守運用人材を育成できる体制を整えるようにしましょう。

情報漏洩リスクの懸念

外部への委託を行う場合、機密情報保持の契約を取り交わすことが一般的です。しかし、自社で管理する情報が外部のエンジニアに渡るため、自社管理よりも情報漏洩のリスクは高まります。
委託の際は、情報漏洩のリスクが伴うことを十分に理解しておきましょう。

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システム保守運用を委託する際に依頼できること

保守運用への委託内容は、大きく「ハードウェアの保守運用」と「ソフトウェアの保守運用」の2種類に分類できます。
委託時には、依頼したい業務範囲を明確にし、その分野において実績や技術力のある委託先を探すようにしましょう。

ハードウェアの保守運用

サーバーやストレージ、ネットワーク機器などに関する保守運用業務を委託可能です。
例えば、ハードウェアの物理的な故障への対応や、セキュリティ面でのトラブル対応、ハードウェアのアップデート、データの復旧、バックアップ、定期的なメンテナンスといった業務があります。

ソフトウェアの保守運用

プログラム内容やアプリケーションに関する保守運用業務も委託できます。
例えば、プログラムのバグ修正やOSアップデートにともなう不具合の修正、ユーザビリティの改善、操作に関する問い合わせへの対応などがあります。

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システム保守運用を委託する際に注意すべきポイント

導入したシステムを最大限活用するために、保守運用を委託する際には以下のポイントに注意しましょう。

システム保守運用の対象範囲の明確化

システム保守運用の業務には大きく「ハードウェア」と「ソフトウェア」の2種類が存在しますが、内容によってはどちらにも分類できない曖昧な業務もあります。業者によっては該当する業務区分が異なる場合もあるため、依頼したい業務内容を明確化したうえで、業者に相談するように心がけましょう。

システム保守運用の対象業務の明確化

システム保守運用には、非常に多くの対応業務が存在しますが、すべての業務に対応してもらえるとは限りません。
技術的に対応が不可能な場合や追加費用が必要になることもあります。
対象範囲の明確化とともに、詳細な業務内容まで踏み込んで確認し、委託先との認識の齟齬が発生しないように注意しましょう。

費用が明朗か

システムの保守運用にかかる年間費用は、システムの初期開発コストの15%前後が適切といわれています。
また、料金形態には「月単位で定額をお支払い」「人員や工数単位でのお支払い」「対応業務毎に決まった額をお支払い」など、さまざまな種類があります。
条件も含めて丁寧に確認し、必要に応じて見積もりも出してもらうことで、依頼内容に見合う委託先を探しましょう。

契約期間

システム保守運用の委託は長期に渡る場合が多く、契約期間の自動更新が契約内容に盛り込まれているケースも多々あります。
委託後の変更やリスクも踏まえて契約の継続判断ができるように、契約期間の取り決めについては事前にはっきりさせておくと、後々のリスクやトラブルを最小限に抑えることができます。

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システム運用・保守は委託先選びが重要

外部委託の場合、契約形態は準委任契約になるのが一般的です。準委任契約では請負契約と異なり、成果物の完成責任はありません。保守運用の品質に問題があっても責任を問うのが難しい場合もあるでしょう。
そのため、自社が求める業務に対応可能な技術的水準かどうか、セキュリティー対策に強みはあるか、最大限のメリットを享受できるかなどを考慮して委託先選びをすることが重要です。
発注後にシステム障害や情報漏洩が起きた際の責任問題でトラブルにならないよう、委託先の調査や契約内容は入念に確認しましょう。

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システム運用・保守の委託先候補とは

システムの保守運用を委託できる企業にもいくつかの種類があります。ここでは選び方のポイントも含めて3種類を紹介します。

システム開発会社

まずは、システムを開発した会社に継続して保守運用も依頼するケースが考えられます。開発段階から携わっており、システムの仕様や企業が求める要件も熟知している点は、大きな強みといえるでしょう。というのも、システムはリリースして終わりではなく、ユーザーのニーズに合わせて改善が必要です。
運用保守はもとより、会員拡大や売り上げ増加、作業効率アップといった目標に対してきちんとコミットし、価値を出し続けられるよう管理してくれる会社を選ぶことが大切です。このような会社であれば、あらかじめ上流の工程から運用に関する要件定義や運用設計を組み込んで、リリース後のグロースも支援してくれます。

マネージド・サービスプロパイダ(MSP)

MSPはシステム保守運用のサービスを専門に提供している企業です。
さまざまなシステムの稼働状況を24時間365日監視しており、障害発生時には迅速に対応してもらうことができます。さらに障害の原因究明やレポート発行まで行うサービスも存在します。
負担の大きい夜間や休日のシステム監視を委託できる点が強みである一方、細かい保守運用の業務まで対応できるかは事業者によります。
こちらもサービス内容や得意分野を調査して、委託先を選ぶ必要があるでしょう。

フリーランス

クラウドソーシングサービスを利用して、フリーランスとして働くエンジニアに直接依頼することも可能です。
企業に依頼する場合よりも、費用や条件面で柔軟に対応してもらいやすい点はメリットといえます。しかし、情報漏洩のリスクは企業と比べて高いといえますし、エンジニアごとのスキルの差も顕著です。
依頼の際は実績やスキルの確認のほか、契約内容を丁寧に取り決めることも必要です。

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まとめ:システム保守運用は信頼できる委託先に任せることもおすすめ

ITシステムやサービスを提供する企業にとって、システムの保守と運用は機会損失を防ぐうえでも重要な業務です。
しかし、社内のエンジニアリソースも限られている場合、保守運用を外部委託して、コア業務に集中するのも効果的な方法といえるでしょう。コスト削減や効率化のほか、システムの安全性向上といったメリットももたらします。
外部委託の際は準委任契約となることも考慮して、保守運用の技術水準やサービス内容を重点的に確認しましょう。

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