攻めのDX、どう推進する? 既存価値を活かして新規事業を立ち上げるまで

2020年6月3日(水)、Repro株式会社と株式会社モンスター・ラボが共同でオンラインセミナー「攻めのDXを推進し、ビジネスを成功させるには?」を開催しました。

ビジネスにおける「DX(デジタルトランスフォーメーション)」とは、デジタルテクノロジーを駆使することで従来の競争力の維持・強化を図ること。現在、多くの企業が社会の潮流に合わせ、ビジネスを変革する必要性に迫られています。しかし、既存ビジネスの変革・新しいビジネスモデルの創出といった“攻めのDX”への取り組みは難しい一面も。

第1部ではアジア航測株式会社の高柳茂暢さんが登壇。モンスター・ラボが開発に携わったメディアサービス「釣りドコ」を例に、「事例に見る攻めのDX:既存価値を活かし、BtoCの新規ビジネスを立ち上げるまで」をテーマに語りました。

DX(デジタルトランスフォーメーション)とは? 言葉の意味を事例を交えてわかりやすく解説

“数億円のレーザ”の活用課題

2019年10月にサービスインした「釣りドコ」は、超高精細な海底地形を表示する釣り人向けのメディアサービス。アジア航測社の既存価値であるALB(航空レーザ測深)技術を活かし、BtoCビジネスとして新たな市場を開拓しています。

航空測量の長い歴史をもつアジア航測社。数年前、陸上を測定する近赤外レーザのほかに、水中まで測定できるグリーンレーザを導入。このALB技術によって高精細の海底地形図を作れるようになりました。

ALBの主な用途は国土交通省が管理する河川の測量。自然災害時などの危険性を調査するために用いられていますが、機材が数億円と高額である一方で、用途の幅や市場が限定的という課題も。

そんななか、ALBの勉強会に参加したという高柳さん。従来の等深線のみの海底地形図とは異なり、まるで写真のように美しい図面に感銘を受けたといいます。

「海底地形図を初めて目にしたとき、私を含む釣り好きの社員3名で『これは絶対釣りに使えるよね』と盛り上がりました。釣り人は海底地形を意識し、どこに仕掛けを投げようか考えるもの。その日のうちに、社内ベンチャー制度を使って釣りのアプリを提案してみないかという話になったんです」

海底地形図で革命を起こす

提案書を作成し、会社役員が集まる「投資部会」でプレゼンを実施。ここでは①アジャイル型で事業を推進していくこと、②計測の閑散期である冬〜早春に機材を有効活用すること、③ALBの認知度を向上させて市場を開拓することをアピールしました。

「投資部会では『この海底地形図は釣りに革命を起こしますよ!』と熱弁しました。しかし、役員に釣りをする方が誰もいなくて(笑)。『本当に使えるの?』と散々言われましたが、その度に『大丈夫です! 任せてください!』と伝え、押し切ったんです」

提案書の審査をクリアし、1年間におよぶ事業可能性調査のステップへ。和歌山県白浜エリアにてテストサイトを作り、350人の釣り人を対象にアンケートを実施。その結果、90%の釣り人が「戦略を立てやすい」「これを使ったら今までの海底地形図には戻れない」といった高評価・期待のコメントを寄せました。

無事に事業化が決定し、いよいよ開発のフェーズへ。

「我々のような素人では右も左もわからない状態。決まっているのはアプリのイメージ、予算、リリース日の3つだけでした」

問い合わせた開発会社は計8社。そのうち見積もりを依頼した5社のなかにモンスター・ラボが含まれていました。

「モンスター・ラボを選んだ理由は、アプリ開発を上流から捉えていたから。打ち合わせではアプリそのものの話より、事例・事業の捉え方、社内プロジェクトをスムーズに推進する方法などを話しましたね。今思い返すと、ぼんやりとしたイメージのまま突っ走らないためだったのかなと思います」

全国の釣り人に行動変容を

「釣りドコ」は着想から2年4ヵ月でサービスイン。現在は、審査する役員から「会社のイメージアップやPRに役立つのでは」と好意的な声も。また、高柳さんらが新規事業に取り組んでいる様子を見て「社内ベンチャーに挑戦したい」という社員もいるそう。

「釣りドコ」は現在、神奈川県沿岸を中心に新規エリアを拡大中。また、地形が直感的にわかる「赤色立体地図」を課金コンテンツとして公開し、今後は広告収入や海底地形図のデータ販売なども検討中とのこと。

「目標としてはまず、釣り人の良心ある行動を促すこと。釣り禁止区域やリリースするべき魚のサイズを表示するなど、釣りのマナー向上に繋がるサービスを目指しています。また、釣り場清掃や資源保護などの社会貢献活動、釣りによる地域活性化などにも取り組んでいきたいですね。最終目標は大きく“全国制覇”です」

詳細な海底地形図を公開する唯一のサービスとして、今後は他企業との協業も考えているとのこと。すでにマリンレジャー事業、釣具メーカー、地方自治体などから声がかかっているといいます。

「海底の地形情報は“新たな経済圏”。可能性が未知数なだけに、さまざまな用途に幅広く活用できるサービスだと思います。釣りドコの海底地形データ・情報プラットフォームと、皆さまがお持ちの資産・技術を組み合わせ、”攻めのDX”を深化させていきたいと考えているので、ご興味のある方はぜひお気軽にお声がけ下さい」

オンラインセミナー第2部「DXで売上アップ!って具体的に何をする?実行手順と先行事例」のレポートはこちら

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■登壇者プロフィール

アジア航測株式会社 ベンチャー共創室 高柳 茂暢 氏

2005年度に環境系の技術者としてアジア航測株式会社に中途入社し、環境アセスメントをはじめとした建設環境系のコンサルティングに従事。IT系の技術や経験は全く持っていなかったが、自社で海底の地形を計測できる航空測量機材を導入したことを機に、2019年に共同提案者2名とともに社内ベンチャー制度を活用して釣りアプリの開発を始める。これまでにない海底の微地形が無料で見られるアプリとして昨年10月末にサービスインしてからも手探りで開発やマーケティングに日々邁進している。