データ活用サービス「DataVein」の需要予測AIエージェントPoC
パナソニックグループは2021年度より、「Panasonic Transformation」と呼ばれるDXの取り組みで、あらゆる経営基盤強化を推進しています。その一翼を担うのが、パナソニック デジタルが開発する「DIYA(Do-It-Yourself Analytics)」と呼ばれる社内横断のデータ分析プラットフォームです。BIツールによる可視化・ダッシュボード整備から始まり、現在はDatabricksを基盤とした機械学習や生成AIを活用した高度分析領域へと取り組みを広げ、グループ全体のデータ民主化を推進してきました。
同社は、このサービスを拡張し「DataVein」として商用サービス化することを検討していました。一方、想定利用者の多くがデータ分析の専門知識を持たないため、高度な予測モデルの構築・運用を自力で行うことが難しく、データ活用における専門知識がなくても利用できるソリューションの実現が商用化の鍵となっていました。
そこで、自然言語で指示するだけでデータの取得から予測・レポート出力まで完結できる高度分析AIエージェントの仕組みを短期間でPoCとして実装するべく、モンスターラボとの協業が始動しました。
モンスターラボはパナソニック デジタル様が構想されていたデータ分析AIエージェントを実現するべく、UX設計を中心に、アプリケーション部分の設計・実装をご支援しました。
まず両社で取り組んだのは、需要予測におけるユーザーストーリーの設計です。このプロダクトにおいて重要視されていたのは、予測結果を出すだけでなく「なぜその予測なのか」をユーザー自身が理解してビジネス判断に活用できることでした。予測モデルのパラメータや判断根拠を自然言語で深掘りできる機能を実装することで、統計や機械学習などの専門知識がなくても結果を正しく解釈できる設計としています。
次に、このデータ活用フローを誰でも使えるウェブアプリとして仕上げました。データ活用の実務経験が浅い担当者でも数ターンの対話で予測業務を完遂できるよう操作フローを整理し、学習・評価・推論・可視化の4機能とチャット画面を組み合わせた直感的なインターフェースを設計しています。
エージェント実装においては、パナソニック デジタルが開発したエージェントをベースにLangGraphとLLMを組み合わせ、ユーザーの自然言語入力をトリガーに、データの取得・整形、ARIMAモデルによるカテゴリ別需要予測、予実テーブルの生成、レポート出力までが順番に自動実行されるパイプラインを共同で構築しました。また、プロジェクト進行においてはClaude Teamを契約し、モンスターラボ独自のSkillsを活用した本格的なAI駆動開発を利用し、PMからエンジニアまで全員がClaude Codeを活用。Issue作成・コード実装・レビューをAIと協働で進めることで、予定工期を2/3に圧縮、120hの工数削減を実現し、短期間で企画から本番デプロイまでを完遂しています。
完成したウェブアプリは、パナソニックグループの社内イベントにてデモ公開され、高い評価を獲得しました。複数の現場部門から具体的な問い合わせが寄せられています。
このウェブアプリはパナソニック デジタルが外部企業向けに展開する商用サービス「DataVein」への組み込みが見込まれています。DataVeinは、グループ内で10年以上培ってきたデータ分析ノウハウを体系化したサービスで、商標申請を経て現在プロモーションを進めています。需要予測から始まった高度分析AIエージェントへの取り組みは、企業のデータ活用が競争優位の鍵となる今、現場の実態と向き合った実践的なアプローチとして、両社にとって大きな一歩となりました。
モンスターラボは、今後もDataVeinが目指す「現場が自走できるデータドリブン文化」の実現をサポートしてまいります。