「ひずみゲージ」をはじめとする各種計測機器の市場において、国内トップクラスのシェアを誇る株式会社共和電業(以下、共和電業)。同社はコーポレートサイトの更新を機に、自社のブランディングやマーケティングの在り方を根本から見直し、自社の魅力をより効果的に社内外に発信するための仕組みを再構築しました。このプロジェクトにモンスターラボは立ち上げ当初から参画し、企画・戦略の検討からコンテンツの制作、サイトの構築に至るまで、すべてのフェーズにおいて支援しました。
このプロジェクトにかける共和電業の思いや、モンスターラボと二人三脚で進めた作業の苦労話などについて、営業戦略部 プロモーション課 課長 小林剛宜氏と同課 係長 傍島俊輔氏に、モンスターラボのプロジェクトメンバーとして参画した藤井と益田も交えてお話をうかがいました。
取材協力:
◾︎ 共和電業
小林 剛宜 様(営業戦略部 プロモーション課 課長) / 傍島 俊輔 様(営業戦略部 プロモーション課 係長)
◾︎ モンスターラボ
藤井 裕之(コンサルティングライン) / 益田 絢子(ストラテジー&デザインライン)
コーポレートサイトの保守切れを機に自社の情報発信を根本から見直し
今回コーポレートサイトをはじめ、各種サイトの刷新を断行された目的や背景について教えてください。
小林:旧コーポレートサイトが稼働していたサーバーやミドルウェア製品の保守期間が軒並み2024年に満了を迎えるため、次期サイトの検討を迫られていたことがそもそものきっかけでした。しかし、ちょうど同じ時期に弊社が創業75周年を迎えることもあり、単にシステムを更新するだけでなく、これを機にあらためて共和電業の歴史やビジョンを見つめ直し、社内外に広く自社の魅力を発信できるコンテンツに刷新しようと考えました。
またちょうど同じ頃、コロナ禍の影響を受けて対面での営業活動ができなくなったため、デジタルマーケティングの施策を新たに強化する取り組みも始めていました。そこでコーポレートサイトの刷新とあわせて、デジタルマーケティングの仕組みも新たに設計・構築することになりました。
社史を手に取りながら語ってくれた小林氏
傍島:代理店様向けに製品在庫の検索機能を提供するサイトや、製品をオンラインで購入できるECサイト、製品ライセンスを管理するシステムなども運営していたのですが、これらはコーポレートサイトに機能追加を繰り返す形で実装してきたためアーキテクチャが複雑化し、運用性の面でも課題を抱えていました。
また、稼働率や利用率も低かったため、コーポレートサイトの刷新とあわせてこれらのサイトの在り方も抜本的に見直すことにしました。こうした一連の要件を2022年10月にRFPにまとめて、モンスターラボさんを含む複数のベンダーにお渡しして提案を募りました。
これを受けて、モンスターラボ側ではどのような提案を行ったのでしょうか。
藤井:RFPはこれらのサイトの刷新・更新だけではなく、ブランディングやマーケティング施策の見直しにまで及ぶ広範な内容を含んでいました。そこでデザインを専門に扱うグループ会社のA.C.O.(当時。現モンスターラボ)の協力を得ながら、共和電業様のブランディングやマーケティングについて調査と検討を行い、約200ページの提案資料を作成しました。ただしさすがにこれでは分量が多すぎるので、最終的には100ページほどの内容にまとめ上げて提案をしました。
自社の魅力やパーソナリティをあらためて定義し直してサイトのデザインに反映
最終的にモンスターラボの提案を採用された決め手は、どの辺りにあったのでしょうか。
傍島:5社から提案をいただいたのですが、中でもモンスターラボさんの提案は、内容・量ともに最も充実しており、提案内容や体制面を考慮した結果モンスターラボさんにお願いすることに決めました。
益田:ただWebサイトの見た目を整えるだけでなく、共和電業さんの強みや価値観を捉えたデザインになるよう、ブランド・マーケティングの観点からご提案いたしました。コンペティションの時点で、計測事業やその可能性についてプロジェクトメンバーと調べ上げ、具体的な方針やビジュアルイメージを一緒にご提示できたこと、またその熱量が評価いただけたのかなと思っています。
実際のプロジェクトは、どのような形で進められたのでしょうか。
傍島:まずは新コーポレートサイトで発信するコンテンツのコンセプト検討から始めました。自分たちの価値がどこにあり、それをどのような形で表現すればいいのかについて、時間をかけて議論しました。これまで弊社ではそのような議論を本格的に行ったことがなかったので、かなり大変な作業でしたね。
小林:当時は、自分たちの会社にどのような価値があり、どんな未来に向かって進んでいくべきか社内で共有されておらず、現場に何となく閉そく感が漂っていたことも事実です。こうした雰囲気を打破するためにも、このタイミングであらためて自社の価値について考え直す機会が持てたのはとても良かったと思っています。
益田:モンスターラボ側でも共和電業さんの歴史を知るために社史を読み込むなど、企業の特性や文化の理解に努めました。また、その結果をもとに、共和電業さんのブランド・パーソナリティを構築しました。ブランド・パーソナリティは、企業やサービスブランドを人のように捉え、その性質を人格に落とし込んだものです。デザインなど、あらゆるコミュニケーション方針を決めていくのに有効で、今回のプロジェクトでも、デザインやコンテンツに活かしていきました。
傍島:確か当初提示いただいたのは、とてもきれいで優等生的な人格だったんですよね。でもこれではあまりにもきれいすぎて、これを見た弊社の社員がギャップを感じるのではないかと思いました。そこでよりリアリティのある内容にするべく、社員アンケートを実施して、社史や会社の資料からは見えづらい現場の生の声を反映してもらいながら、徐々にパーソナリティを詰めていきました。
益田:何度も議論を重ねましたよね。また今回は、ブランド・パーソナリティの核となる主人格だけでなく副人格も設定したことで、お客さまや投資家の方々、採用応募者など、複数のターゲットに向けての柔軟なコミュニケーションが取れる指針になったと思います。
社内の従業員があらためて自社の魅力を再発見できる契機に
具体的なコンテンツの制作や実装の作業はどのように進められたのでしょうか。
傍島:製品サイトや代理店向けサイトについては、もともとコーポレートサイトと密結合していたアーキテクチャを見直し、コーポレートサイトと切り離した別個のサイトとして新たに設けることにしました。ただし時間的な制約もあり、コンテンツの中身については旧サイトのものを基本的には引き継ぐことにしました。
一方、コーポレートサイトについては一から内容を刷新することになったので、コンテンツの内容についてかなり議論を重ねました。旧サイトはトップページを開くといきなり製品情報が目に入ってくるような構成になっていましたが、新サイトでは製品や技術の前にまずは自社のビジョンや価値観についてのメッセージが訴求できるような内容に変えていきたいと考えていました。
小林:弊社はもっぱらB2Bビジネスを生業としているので、世間一般での認知度がどうしても低かったのですが、そうしたイメージを払拭してできるだけ多くの方々に自社のことを知っていただくべく、まずはメッセージ性の強いコンテンツを前面に持っていきたいという思いがありました。
傍島:もう一つ重視したのが、従業員向けのメッセージの発信でした。コーポレートサイトは社外の方々だけではなく、意外と社内の従業員もよく見ているので、ここで改めて社内に向けて「これまでやってきたことを振り返りながら、もう一度未来に向けて頑張っていこう!」というメッセージを発信できればと考えていました。
社外だけでなく社内へのメッセージも意図としてあったんですね。これらの思いを具現化するために、どのように開発を進めていったのでしょうか。
藤井:傍島さんのお話にもあったように、今回は製品サイトの分離やコーポレートサイトの刷新など合わせて4つのサイトの構築が必要でした。共通のデザインコンポーネントを持ちつつも、それぞれのサイトで当然仕様や要件も異なるので、柔軟な変更にも対応できるよう、アジャイル手法で進めていきました。
傍島:データだけとっても複数サイト分で6000ページ以上あったと記憶しています。さらに、旧サイトのデータを取り直さないといけないものもあったので、単純なデータ移行だけではなく、データ収集や形成といった部分に関してもご支援いただきました。
藤井:確かにデータはかなり多かったですね。ただ、共和電業さんが社内調整を含め、プロジェクトが円滑に進むように本当に熱量高く取り組んでくださって。我々としてはとても進めやすかったですし、助かっていました。
開発を経て、メッセージへの思いを込めた新コーポレートサイトや製品サイトなどはいつごろ公開されたのでしょうか。
傍島:2023年10月に、モンスターラボさんの協力のもとに新たに構築した製品サイト、代理店向けサイトと同じタイミングで一斉に公開しました。
周りからはどのような反響がありましたか。
小林:新たなコーポレートサイトは社内でもかなり注目されているようで、「とても良くなった」「雰囲気がとてもいい」といった好意的な声が寄せられています。また今回のリニューアルにあわせて、製品サイトに導入事例のコンテンツを新たに掲載するようにしました。これを読んだ従業員から「これまでお客さまの声を直接聞く機会がなかったので、とても参考になった」という声が多く寄せられています。自身が勤める会社の価値を改めて確認するいい契機になっているようなので、今後も導入事例のコンテンツは増やしていきたいと考えています。
モンスターラボとの密接な関係性のもとにプロジェクトを成功に導く
益田:導入事例コンテンツの制作のために、御社とモンスターラボのメンバーとカメラマンとで、北海道の宇宙事業に取り組むクライアント企業さんに出張取材したこともありましたね。調布本社や山形工場にも一緒に伺い、働く人や機械、製品の生まれる瞬間を、スチル・動画共にカメラマンの方々と撮影させていただきました。社員の方やご家族にもご協力いただき、共和電業さんの描く未来や姿勢を感じ取れるシーンを作り上げることもできました。
傍島:製品撮影は朝早くから夜遅くまで、ひたすら撮り続けていた記憶があります。
益田:約50品を1日で撮影するという、ストイックなスケジュールでしたね(笑)。でも撮影も出張も一緒に作り上げているという雰囲気でしたので、全体を通してとても楽しく取り組ませていただきました。上流の企画・戦略フェーズだけでなく、下流のコンテンツ制作フェーズでも密に連携できてとても進めやすかったですし、やりがいもありました。
傍島:密な連携といえば、ちょうどコロナ禍だったこともあり、プロジェクト開始当初はオンラインでコミュニケーションをとっていたのですが、やはり一度直接顔を合わせてお互いの距離を縮めた方が話を進めやすくなるのではないかと思い、懇親会も開催しました。弊社は伝統的に、対面コミュニケーションを重視する文化なんですよね。
藤井:当時は弊社側もあらゆる案件でオンライン対応が当たり前になっていたのですが、直接顔を合わせることであらためて対面コミュニケーションの重要性を再認識できました。実際、一度そうやってお互いに直接顔を合わせた後は、よりスムーズに意思疎通ができるようになったと思います。
新サイトの保守運用も現在モンスターラボが担当していますが、今後コーポレートサイトやその周辺サイトを通じてどのような施策を講じていこうとお考えですか。
傍島:今後も随時新たなコンテンツを追加していく予定です。例えば、弊社のことをまだ詳しくご存じではないサイト訪問者に対して、弊社の主力製品である「ひずみゲージ」についてより深く知っていただけるようなコンテンツを作っていきたいと考えています。また先ほど話に出た導入事例コンテンツ以外にも何か柱になるようなコンテンツを新たに打ち出して、サイトの魅力をさらに高めていきたいですね。
小林:全社的な戦略としては、中期経営計画で2022年からの3年間を「成長へ向けた基礎固めの期間」と定義しており、今回のコーポレートサイト刷新もそうした活動の一環と位置付けています。こうして経営の基礎を固めた後に、2025年からの3年間で一気に事業成長を加速させていく予定です。そのために、今後は新コーポレートサイトを軸にしながら、さまざまなブランディング・マーケティング施策を打っていきたいと考えています。そのためにモンスターラボさんには引き続きサイトの運用保守だけでなく、戦略面も含めた価値の高い提案や支援をぜひお願いできればと思います。