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TOPWorkお客さまインタビュー既存の価値を活用して新たなビジネスモデルを立ち上げる

アジア航測

既存の価値を活用して新たなビジネスモデルを立ち上げる

2020.03.05

アジア航測株式会社(以下:AAS)が開発した「釣りドコ」は、航空レーザ測深機材(以下:ALB)で測量した海底地形データを活用した釣り人向けのPWA(※1)。

モンスターラボではAAS社よりALBを活用した新サービス開発の依頼を受け、リサーチ・企画・設計・デザイン・開発といった全工程を担当。ビジネスモデルの立案から参画し、2019年10月25日のサービスリリース以降も伴走型のプロダクト運用支援を行っています。

今回は、プロジェクトオーナーを務めたAAS ベンチャー共創室の高柳茂暢氏、後藤和郎氏の両名に弊社のプロジェクト参加メンバーを交えて、新規ビジネスモデルの企画・立案からリリースまでの流れを振り返ってみました。


(※1)PWAとは?

Progressive Web Apps(プログレッシブウェブアプリ)の略。WEB上でネイティブアプリのようなユーザー体験を提供できるWEBサイトの新しいスタイル。ブラウザ上で起動するのでインストールが不要、ホーム画面へのアイコンの追加やプッシュ通知が可能、読み込み速度・表示の高速化、オフラインでも閲覧可能などメリットが豊富。

この記事の支援実績

既存の価値を活用した新規ビジネスの立ち上げを上流からグロースまでサポート
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目次

  1. 1上流工程からサポートしていただいたのは本当に大きかった
  2. 2このチームでプロジェクトを進められたこと自体がありがたかった

取材協力:

◾︎ アジア航測

高柳 茂暢 様/ 後藤 和郎 様(アジア航測株式会社 ベンチャー共創室)

◾︎ モンスターラボ

泉 清崇( ビジネスプロデューサー) / 加藤 健司(プロジェクトマネージャー) / 橋本 将功(プロジェクトディレクター)

上流工程からサポートしていただいたのは本当に大きかった

「釣りドコ」はDL不要でiOS・Android選ばず使えるPWA

「釣りドコ」の企画が誕生した背景は?

高柳:弊社には先進的な技術をどんどん取り入れていく社風があって、海底地形が撮影できるALBという新しい機器が登場したときもすぐに導入しました。活用してみるとALB自体の評判は上々だったのですが、まだまだ市場が熟していないという状況でして……。

泉:なるほど。そこで活用範囲を広げたいとお考えになったんですね。

高柳:ALBはこれまでにないデータが取得できる素晴らしい技術ですが、販路は行政向けがほとんどでした。海底地形の用途を一般層向けにも広げていければ、まだまだ市場は拡がると考え、「海底地形図を活用した釣り向けのアプリを開発しませんか?」と社内ベンチャー制度を活用して提案しました。

弊社にお問い合わせをいただいたとき、既にアプリの完成イメージは固まっていましたか?

高柳:当時は、まだ「海底地形が見られて、釣果が登録できる」という本当にシンプルなアイデアしかありませんでした。それを基に「アプリとして作る場合、御社ならどうしますか?」と多くの開発会社に問い合わせをして。すると、数ある会社のなかでモンスターラボさんだけが、「アプリを開発することを事業として考えて、事業自体を一緒に考えていきましょう」と提案してくださったんです。さらに、当初はiOSのネイティブアプリを想定していたのですが、納期・予算の圧縮をはじめプロモーション面のメリットなどを考慮した施策としてPWAの活用まで提案していただきました。

泉:これまでメインでBtoB領域のビジネスを展開されていたところから、BtoC領域のサービスをスタートされるというので正直驚きました。今だからこそお伺いしたいのですが、その辺りの社内の調整及び推進は非常に難しかったのでは?

高柳:そうですね。弊社のベンチャー制度は数年前にできたばかりで、初めての取り組みの連続でした。サービスインしたプロジェクトも釣りドコが初めてだったので、社内の仕組みを整備しながら進めている部分もあります。

橋本:BtoC領域におけるサービス展開はAASさんにとってチャレンジングな取り組みと理解していたので、「どんなプロダクトを作るのか」という要件を決めていく部分で迷いが出てくることも想定した推進を心がけていました。予算をかけて大掛かりなシステムを作るというよりも、構想段階のものをまずは形にすることが大事と考え、立て付けを行いました。

高柳:他の開発会社からは「こんな画面イメージでどうですか?」みたいなアプリそのものの提案がほとんどだったんですけど、モンスターラボさんの場合はいきなり事業の話から始まって(笑)。アプリの話を差し置いて、しばらくの間は「どのように事業の組み立てとプロジェクト推進のバランスをとるべきか」という部分で何度もMTGをさせていただきました。そこで得た着想をメモして上長に説明するという流れを繰り返していくなか、だんだんとサービスやアプリ開発のプロセスが固まってきたんです。

MLさんと話をしていくうちに、私たちが最初に思い描いていた大元のアイデアとはまったく異なるものになりました。でも、プロジェクトを進めていくなかで「開発に着手する前に、事業展開イメージを持つことが非常に大事だった」と実感することが何回も何回もあって……。

泉:上流の工程から一緒にお話ししてきたことがAASさんのDX事業のサポートにつながって本当によかったです。

高柳:とにかく初めてのことばかりで、プロジェクトとして走り出してみたけど知識もなければコネもない。そんな状況のなか、豊富なネットワークを持つプロフェッショナル集団に上流工程からサポートしていただき、座組みを決めていただいたのは本当に大きかったです。いろいろな方と一緒に作り上げていったので、スクラムによる一体感あるサービス開発及び運用を体験できていると実感しています。

マルチデバイス対応なのでPCの画面でダイナミックに海底地図を楽しむこともできる

ネイティブアプリではなく、PWAを採用した理由は?

橋本:当初はマルチデバイス対応のアプリとして展開していきたいとお話をいただきましたが、釣り向けのサービスは既に競合が多く、同じ土俵で戦うとなると投資額が大きくなってしまうことが予測されていました。

また、iOS・Androidの2種類を作るとなるとどうしても複数のチームが必要になりますし、さらにWEBアプリや管理画面を作るためにWEBの開発チームもアサインしなくてはなりません。それぞれをかなり薄めて予算に合わせるというアプローチも実現不可能ではなかったのですが、それだとAASさんのビジネスに貢献できない。そういった背景からマルチデバイスでありながら短工期かつ低予算で事業展開における最大限の効果を出せることを考慮し、PWAを活用した取り組みを提案させて頂きました。

高柳:プロジェクトのキックオフ後、リサーチから行なっていただきましたよね。

橋本:そうですね。まずは、市場調査を行いました。既存の競合サービスのアプリの品質から開発費用、ビジネスモデル(課金モデルなど)、利用状況や集客コストなどを調べ、今回のサービスを作るうえで必要な初期及び運用コストを算定しました。それらの情報を並べながら「今回のサービスモデルはツールではなくメディアにしよう」「ネイティブアプリではなくPWAで展開していこう」と、AASさんと一緒に決めていったんです。

高柳:プロジェクトがスタートしたあとでも、プロセスが進むにつれて体制が変わっていくアジャイル開発のスタイルがとても印象的でした。たしか加藤さんがジョインされたのも、開発が始まるタイミングでしたよね?

加藤:私が参加したのはプロジェクトのキックオフ後。ある程度まで固まった要件を設計書に落とし込んで開発側に渡すタイミングでした。まだメディアにする方向性にはなっていなかったので、「どういうサービスにするんだろう?」というビジネス面での疑問はありましたが、1ユーザーという目線で意見をお話しさせていただいたことを覚えています。実は釣り好きだったので、今回のプロジェクトには自分から要望を出したんです。

高柳:えっ? その話は初めて聞きました(笑)。なんという巡り合わせなんだろうと思っていたのですが、手を挙げていただいていたんですね。いや、それにしても釣り好きの方が加わってくださって本当によかったです。

このチームでプロジェクトを進められたこと自体がありがたかった

アジア航測株式会社の高柳氏(右)と後藤氏(左)

開発がスタートしてから最初に課題になったことは?

高柳:本当に手探りの状態からスタートしたので、話し合うたびに課題が出てきたという感じでした。最初からすべてが固まっていたわけではなく、「海底地形図を活用したい」「釣果登録ができるようにしたい」「一緒に釣りの関連情報が見られれば最良」といった希望はありながら、海底地形図は新しい領域だったこともあり、サービスとしてどう組み立てていけばいいのかという具体的なイメージが固まっていなかったんです。

また、ALB計測に適したタイミングを待つことが多かったり、いざ計測を行おうとした際に計測する機材の緊急点検が入ったりと、当初は想定通りに進んでいるわけではありませんでした。

橋本:開発サイドで大きな課題になっていたのは、海底地形図のレイヤーを適切に既存の表示地図(今回はGoogle Mapを採用)のAPIと重ね合わせて、ずれないように表示させることなどがありました。

もう1点、PWA自体がまだ発展途上の技術ということもあって、OSやブラウザ毎に不都合が発生することもありました。実際に、開発を通して初めてPWA自体のバグをみつけることも多かったです。そうした不安定な要素もありましたが、ユーザーが使用した際に違和感を感じない高品質なプロダクトに仕上げることを心がけて、チーム一丸となって取り組んでいきました。

高柳:しっかりと予定通りにローンチしていただきましたけど、特に工夫していただいたことはあったんですか?

橋本:解決策として、早期に開発チームを立ち上げて技術検証を適切に行う時間を確保するようにしました。アジャイル開発の手法の通り、要件定義と設計が終わる頃には並行して進めていた技術検証も済んでいるのでスピーディに開発を進めることができ、予定通りに開発が進みました。でも、工程が複雑に重なっているので、モンスターラボが得意としているアジャイル開発でなければ実現できなかったスケジュールでもありました(笑)。

その辺りは弊社のベトナム拠点の開発チームがとてもがんばってくれたところですね。きちんとPWAの学習をしながら技術検証をしてくれたので、バグもとても少なかったです。

高柳:ベトナム拠点とのやり取りは加藤さんが担当してくださいましたよね。海外の拠点と協業するとき、気をつけているポイントはありますか?

加藤:今回の案件に限った話ではないのですが、意識しているのは認識合わせと適切なコミュニケーションをとること。言葉の問題や文化の違いがあるため、意識合わせにおいては要件を伝えるだけでなく、「こういう意図や経緯があるからこういう機能を作りたい」と資料を活用して詳しく説明します。一方で、そうした方針やアーキテクチャ部分の基本設計以外の面では、ベトナム拠点在籍メンバーのスキルや経験値に頼るような組み立てを大切にしています。

学歴はもちろん経験豊富で優秀なエンジニアがそろっているので、まずはベクトルを合わせることとチームとしての信頼をしっかり組み立てることが大切になります。そうすることで品質を向上させながら、スピーディで柔軟なスクラム体制を推進することが可能になります。

優先度の高い重要な機能から開発を進めるアジャイル開発はリリースまでの期間の短縮が可能

モンスターラボとの共同開発はやりやすかったですか?

高柳:非常にやりやすかったですし、何よりこのチームでプロジェクトを進められたこと自体がありがたかったです。アプリ開発の知識のない私たちにもわかるように噛み砕いて教えていただけたので、とても勉強になりました。

泉:高柳さんをはじめとしたPO(プロジェクトオーナー)チームの皆さんの熱意のおかげです。ご相談を頂いたばかりの頃は、高柳さんももともとの業務と今回の新規事業を両立させながら非常に多忙な時間を過ごされていましたよね。そんな慌しいなかでも、すべての打ち合わせにご参加頂けたので非常にスムーズに進められました。

徐々に専任へとシフトされていたかと思いますが、その後も積極的な社内調整をはじめ、事業に対して随所で尽力して頂き感謝しています。時間短縮という面でも開発チーム側のモチベーション向上という面でも、非常に大きなインパクトがありました。

開発プロジェクトのみならず、そうしたPOチームの熱意のこもるリーダーシップはサービスや事業を実現・推進するうえで非常に重要なファクターになるので、今回のプロジェクトを通じてAASさんの想いや熱意に触れられたのは本当にうれしかったです。

会社の枠を超えたチーム組成ができたということですね

加藤:少数精鋭でプロジェクトをスタートさせることができて、本当にいい形で共同作業ができました。AASさん主導で、モンスターラボとしても新しいビジネスの共創に参加させて頂きましたことは、また新たな体験になったと嬉しく感じています。

高柳:本当にそう思います。たぶんAASが勝手に突っ走っているだけだったら失敗していたと思いますが、うまく「正解ルートはこっちですよ」と誘導していただけたようなイメージです。

泉:専門的な話になってしまうので、なかなか内容を理解していただけないことも多いんです。今回、高柳さんが慣れない分野の話でも熱意を持ってきちんと受け止めてくださったことがとても大きかったです。

反省点でもあるのですが、我々からの話には専門用語が多数登場するので、「この横文字は何?」ということも絶対にあったと思います。

後藤:専門書を何冊も読むなど、とても勉強していましたよ。それが私のところにも回ってきて、今では机の上に山積みになっています(笑)。

高柳:今回のプロジェクトのAAS側の管理責任者は全部で3人いまして。私がプロジェクト全体を見るなか、後藤は地図について専門的に取り組んでくれて、小川はお金の面と販促を担当してくれました。

泉:AASさんのPO(Project owner)チームの3名が熱意を持って取り組んでいるのを我々も感じていたので、それもうまくいった大きな要因だと思います。

ビジネスのパートナーとしての信頼関係も築けていたということですか?

高柳:信頼関係は最初から最後まで揺るがなかったですね。むしろ一緒に仕事をすればするほど、提案やアドバイスを頂いてよかったと思うことが増えてきて。AAS社のメンバーの3人のなかでも、「やっぱりモンラボさんにお願いしてよかったね。こういうこと言ってくれるってすごいよね」と話していました。

泉:私たちも同じように感じていました。私はどちらかというとビジネスデベロップメント(事業開発)の担当なので、開発よりも新規事業立ち上げに必要となるコンサルティングや、事業構築推進を行う上での全体のPMO的な役で関わらせていただいています。開発プロジェクト開始前に多少時間の猶予がありましたので、しっかりとお互いの信頼関係が構築できたのはうれしかったですし、モチベーションにもなりました。実際にプロジェクトをスタートするときには企業やチームの皆さんのことをわかっていて、サービスの構想段階から一緒に試行錯誤させて頂きましたのは大きな資産となっています。何事においても、やはり信頼関係は大切であることを改めて認識させて頂きました。

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