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2016/12/27
寺子屋に学ぶ”多様性をイノベーションにつなげる”チームづくり

イノベーションを起こすには、組織内でできるだけ多様性に富んだ人を集めてチームを組み、ブレインストーミングをするのがよい、ということを聞いたことがある方も多いと思います。
確かに多様な人が集まれば、異なる視点からのアイデアがだされ、それが連鎖し次々にアイデアが創出されることが想像されます。ですが、この「多様性」とは曖昧な表現であり具体的にどんな人に協力をお願いすればいいの?という方も少なからずいらっしゃるかと思います。また、ひとまず思いつく限り多様な人を集めてみたけど、いまいちいいアイデアがでてこない。というケースもあるかと思います。今回は、特にこの後者について視点をあてて、多様性を確保することに注力するのではなく、一人一人がもつ価値観をどう引き出して多様性をつくっていくかについて考えていきたいと思います。

| 多様性がイノベーションに及ぼす影響

参加者が多様になればなるほど、平均点は低くなるものの、価値の高いイノベーションが生まれやすくなる。米[Harvard Busines Review]誌 2004年9月号に掲載されていた図を基に作成

[図1] 参加者の多様性がイノベーションの価値に及ぼす影響
参加者が多様になればなるほど、平均点は低くなるものの、価値の高いイノベーションが生まれやすくなる。米[Harvard Busines Review]誌 2004年9月号に掲載されていた図を基に作成


実際のところ、 Harvard Business Reviewにおいてもイノベーション創出には多様性が必要であると記されています。例えば、チームメンバー全員がマーケティング従事者のチーム(図1の左側に該当)は、凡庸なアイデアはでてこないものの、イノベーティブなアイデアもまたでてこないという研究結果が出されているそうです。一方で、エンジニア・デザイナー・経理・営業…のように専門性がバラバラな人を集めると(図1の右側に該当)、凡庸なアイデアが大量に生み出されるのと引き換えに、飛び抜けたイノベーティブなアイデアが創出される可能性も高まるとされています。これを見ると単純そうに見えますが、企業内においては部署を越えたチームを結成するほど余裕がない、など、異なる専門性をもつ人をチームに入れられないなどの制約があるかと思います。部署やバックグラウンドが違えば、どんな人でもとりあえずチームに入れればよいのでしょうか。

| 多様性を最大限ひきだした寺子屋

「チームを多様にしていく」と考えると少し難しい気がしますが、少なくとも「チームが画一的にならない」ようにすると考えると少し楽になります。ここでヒントにしたいのが、江戸時代の庶民教育である「寺子屋」です。

課題解決力の向上を目的に集まった寺子屋
[図2] 寺子屋 (花里  (一寸子 花里)「文学ばんだいの宝 末の巻」, 1846)

寺子屋は、江戸時代の庶民の子供が読み・書きを学ぶ簡易な学校であり、庶民生活の基盤として成立していました。現代の学校に礎になったとも言われていますが、画一的な知識教育ではなく、実用性に富んだ内容が教えられていたと言われています。それは、集ってくる子供達がそれぞれの共同体がもつ課題解決に貢献できる立派な大人になるという共通目的を持っていたため、それを可能にする教育が必要とされていたためです。それぞれの共同体で必要とされる人になることが目的のため、他の子供よりもできるようになることは必要条件ではなく、各々の目的を補いあう非常にフラットな組織であったことが想像されます。

| それぞれの強みを引き出すために課題を共有する

また、この寺子屋で相互に学び合い・教えあいができていたのは、相手が抱えている課題を聞いてそれを自分事のように実感できるからであったのではないかと想像しています。私利私欲や成長意欲はあくまで手段であり、目的が何なのかを明確に共有しあえる寺子屋では、自然と学び合う雰囲気が作られ、またそれぞれの個性が大切にされたのではないかと考えられます。子供達が一致団結して何か一つのことをするというわけでない点において、チームで新規サービスを考える点とは合致しませんが、解きたい課題に関してユーザーがどんな悩みを抱えているかを実感し合うことで、自分は何に貢献できるか?という思考を加速させ、自然と各々がもつ強みを集合知に変えることができるのではないでしょうか。

| フラットな組織が多様性を引き出す

多様性に富んだチームを作るというとついつい役職や年齢、人種、性別といった観点からチーム構成を考えることが多いかと思います。それがもちろん機能する場合もありますが、寺子屋のようにそれまで何かしらの課題解決をしてきた人や解決したい課題を持っている人を集めてみることも一つの方法かもしれません。多様と思われる人を確保することで満足せずに、どんな課題を解きたいか?を共通認識として持って、そこへ向かうフラットなチームをつくることが、イノベーションに繋がる第一歩であると思います。

執筆:高畠 大輔/ 編集:西本 守人

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