リーンキャンバス(Lean Canvas)は、「Runnnig Lean」の著者として知られるアッシュ・マウリャ氏が提唱するビジネスモデルを9つの要素に分けて考えるフレームワーク。スタートアップ向けとして知られており、アプリを活用した新しいビジネスモデルを企画する際に最適な手法です。

スマートフォンの普及によってアプリが人々の生活にとって不可欠な存在になった一方で、新規アプリを企画することはとても難しくなりました。新しいアイデアを閃いたと思っても競合アプリが既に存在していることも多く、社内で企画を通すことに苦労している担当者も多いのではないでしょうか。

そこで本記事では、リーンキャンバスを用いた新規アプリの企画書作成術を紹介。スムーズに社内の稟議を通してビジネスを成功させるために、ぜひ活用してみてください。

リーンキャンバスとは?

リーンキャンバスのテンプレート。1ページに9つの要素を記載する。リーンキャンバスのテンプレート。1ページに9つの要素を記載する。

リーンキャンバスはスタートアップのマネージメント手法として注目を浴びている「Runnnig Lean」の著者アッシュ・マウリャ氏が提案した、ビジネスモデルを9つの要素に分けて考えるフレームワーク

事業プランをA4用紙1枚程度のサイズ内に整理することができるため、ビジネスモデルの検証・改善に役立ちます。

同様のフレームワーク「ビジネスモデルキャンバス」とよく似ていますが、記載する要素が大きく異なっています。リーンキャンバスは、よりスタートアップ向けの内容になっているのが特徴です。

◎リーンキャンバスとは?

・ビジネスモデルを9つの要素に分けて考えるフレームワーク

・ビジネスモデルキャンバスと似ているが、リーンキャンバスはスタートアップ向き

リーンキャンバスを企画書作成に使うメリット

1枚の用紙にビジネスモデルをまとめたリーンキャンバスは企画書としても優秀1枚の用紙にビジネスモデルをまとめたリーンキャンバスは企画書としても優秀

本来はビジネスモデルの設計に用いられるリーンキャンバスですが、新規アプリ・WEBサービスの企画書作成に応用すると非常に便利です。

リーンキャンバスを企画書作成に用いると、下記の3つのメリットがあります。

メリット① 理解してもらいやすい

A4サイズ1枚にビジネスモデルの要点がまとめられているので、上司や社内関係者にサービスの本質的価値をわかりやすく簡潔に伝えることができます。

また、ユーザーにアンケートやインタビュー調査を実施する際もリーンキャンバスで作成した企画書は非常に便利。サービス内容をしっかり理解してもらうことができ、フィードバックがより明確に返ってくるのでPDCAサイクルを回しやすくなります。

メリット② 短時間で作成できる

数十ページにもおよぶ事業計画書の作成には膨大な時間がかかりますが、1ページにビジネスモデルの要点をまとめるリーンキャンバスなら短時間で作成することが可能です。

また、事業計画書を作り直したり大きく修正することは大変ですが、リーンキャンバスであれば容易に修正することができます。

メリット③ 共有しやすい

A4サイズ1枚程度のコンパクトなサイズ感なので持ち運びも便利。スマホのカメラで撮影したり、スキャンするだけで企画内容を簡単にシェアすることができます。

共有しやすい利点を生かして、多くのフィードバックを効率良く集めることもできるでしょう。

アプリ企画書の関連記事:成功するアプリ開発の企画書を作るためのポイント10個

リーンキャンバスの書き方 〜9つの要素と書き順〜

実際にリーンキャンバスを使ってアプリの企画を考えてみましょう実際にリーンキャンバスを使ってアプリの企画を考えてみましょう

コレクター向けのCtoCフリマアプリの企画をテーマに、リーンキャンバスを使った企画書作成を解説してきます。上記の画像に記載した番号順に、リーンキャンバスの要素を埋めていきましょう。

要素① 顧客セグメント

まずは、企画しているサービスの顧客セグメント(=そのサービスにお金を支払ってくれる人)から項目を埋めていきましょう。

注意すべきポイントは、広範囲な顧客セグメントを狙っているとしてもアーリーアダプターを記入すること(アーリーアダプターは新商品や新サービスを早期に受け入れ、他の消費やユーザーに影響を与える顧客層)。

ここで幅広い顧客層をターゲットに設定してしまうと、その他の要素を記入する際にとてつもない労力がかかってしまいます。最も伝えたいことが分かりにくくなってまい、ブレた企画書になってしまう懸念があります。

要素①「顧客セグメント」記入例

フィギュアやプラモデルをコレクションしている社会人男性

要素② 顧客の課題

ここでは、①で記入した顧客(アーリーアダプター)が抱えているであろう課題の上位1〜3位を書き出してみましょう。

同時に、その課題に対して顧客が対処方法として利用している代替サービスも書き出してみてください。

要素②「顧客の課題」記入例

課題1:アプリやWEBで欲しい商品情報を見つけづらい

課題2:偽物かどうか見分けにくい

課題3:キレイな状態で商品が届くか不安

既存の代替サービス:メルカリ、ラクマ、Yahooオークション

要素③ UVP(独自の価値提案)

企画中のサービスのUVP(ユニーク・バリュー・プロポジション=独自の価値提案)を記載する項目。他のサービスには無い固有の価値を、しっかりと考えることが肝心です。

とはいえ、「リーン・スタートアップ」の提唱者であるエリック・リース氏も指摘するように、この項目はリーンキャンバスにおいて最も重要かつ難しい部分。すぐに考えつかない場合は、空欄もしくは仮でイメージだけを記入して次のステップに進むのもOKです。

要素③「UVP(独自の価値提案)」記入例

レアなフィギュアとプラモデルが簡単に見つかる

 

(UVPを考えるときのヒント)

・アーリーアダプターの最も重要な課題から考える

・機能よりも利点に注目する

要素④ ソリューション(課題解決)

この項目では②で定めた顧客の課題に対するソリューション(課題解決策)を考えていきましょう。詳細に書き込む必要はないので、概略のようなものでも大丈夫です。

要素④「ソリューション(課題解決)」記入例

・フィギュアとプラモデルの詳細なカテゴライズ

・360°視野のVR写真撮影&表示

・出品者の評価

要素⑤ チャネル

顧客にサービスをリーチさせるためのチャネルを考える項目です。

どのようなチャネルで、どのようなタッチポイントがあるのか。ユーザーの導線をイメージして拡散手段を検討してみましょう。

要素⑤「チャネル」記入例

◎インバウンドチャネル(プル型)

・オウンドメディア

・SEO/ASO

・LP

 

◎アウトバンドチャネル(プッシュ型)

・リスティング広告

・営業電話

・セミナー&展示会

・印刷広告、テレビCM

要素⑥ 収益の流れ

サービスの価格を考える項目。「1回の取引で見込める収益」をシミュレーションできる書き方にするのがポイントです。

また、数年後の価格帯を予測するのではなくサービスリリース直後の価格を記載するようにしましょう。

要素⑥「収益の流れ」記入例

1取引あたり450円の収入(商品価格が平均3,000円として販売手数料を15%と仮定)

要素⑦ コスト構造

サービスを公開するまでに必要なコストを明らかにする項目です。開発費用はもちろん、サービスを広めるための広告費用などもしっかり盛り込んでおきましょう。

要素⑦「コスト構造」記入例

・開発費用:3,000万円(自社・外注開発会社の費用含む)

・記事広告費用:300万円

要素⑧ 主要指標

アプリ・WEBサービスの企画における主要指標は、下記のようなAARRRモデルというフレームワークに沿って書き出していくと考えやすいです。

★AARRRモデルの例

Acquisition(獲得):何も知らなかった人が見込み客になったとき

Activation(アクティベーション):見込み客が満足のいくユーザー体験したとき

Retention(定着):反復利用するようになったとき

Revenue(収益):お金を支払うとき

Referral(紹介):顧客が他の顧客へサービスを紹介したとき

要素⑧「主要指標」記入例

獲得:アプリのインストール

アクティベーション:ログイン

定着:商品のお気に入り登録/出品者フォロー

収益:商品の購入

紹介:SNSへのシェア

要素⑨ 圧倒的な優位性

ここでは競合サービスが簡単には真似できない優位性を考えましょう。アプリの機能は技術的に相当難しいものでないかぎり、圧倒的な優位性にはなりにくいので注意してください。

★圧倒的な優位性になり得るものの一例

・既存顧客や顧客情報

・専門家の支持

・チーム

・サービスの信頼性

・人脈ネットワーク/コミュニティ

・SEOランキング

要素⑨「圧倒的な優位性」記入例

コレクターとのコミュニティネットワークを自社で持っている

まとめ:リーンキャンバスはチームで作成した方がより効率的

リーンキャンバスの完成例リーンキャンバスの完成例

スタートアップ向けのフレームワーク「リーンキャンバス」を活用したアプリ・Webサービスの企画書の作成方法を解説してきましたがいかがでしたか?

今回の記事では、具体例としてコレクター向けCtoCフリマアプリの企画を考えてみましたが、上記の画像のようなビジネスモデル概要を描くことができました。

提案者であるエリック・リース氏は、このリーンキャンバスを1人以上の誰かに共有することを推奨しています。

例えば、アプリの企画における顧客セグメント・課題・主要指標・チャネルはアプリの開発・運用経験がないとブラッシュアップしにくい部分。難しい部分は経験豊富なWebディレクターやデザイナーに協力してもらいながら、リーンキャンバスを作成しましょう。

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