IoT(アイオーティー)とは、「モノのインターネット」のこと。スマートスピーカーやスマートホーム、自動運転車など、近年急速に実用化が進んでいる先端テクノロジーです。現在、注目を集めているデジタルトランスフォーメーション(DX)推進においても、AIやビッグデータなどと並ぶ重要なファクターの1つになっています。

しかし、「IoT」という言葉を知っていても、その意味や仕組みを正しく理解できている人は意外と少ないのではないでしょうか。そこで本記事では、デジタルトランスフォーメーション(DX)推進の鍵を握る「IoTとは何か?」を、活用事例を交えてわかりやすく簡単に解説していきます。

IoTとは? 言葉の意味をおさらい

まずはIoTの意味をおさらいしましょうまずはIoTの意味をおさらいしましょう

IoTの活用でどんなことができるのか。今後IoTがもたらす可能性を知る前に、まずはIoTの言葉の意味を正しく理解しておきましょう。

IoTの意味

IoTは「Internet of Things」の略称で、日本語では「モノのインターネット」と訳されます。

約20年前までインターネットは自宅や会社にあるパソコンから接続するものでしたが、デジタルテクノロジーと通信技術の急速な発展に伴い、携帯電話(スマートフォン)やタブレットなどのモバイル端末からもインターネット接続が可能になりました。

さらに社会のデジタル化が進んだ現在、家電や自動車といった「モノ」をインターネットに接続する技術=IoTが注目を集めています。

IoTという言葉が普及する以前にも、「M2M(Machine to Machine)」というモノ同士を接続する手法がありました。簡単に両者の違いを説明すると、M2Mは機械同士がセンサーネットワークなどで相互に情報をやりとりするだけでインターネットには接続しません。一方、IoTはモノが通信機能を保有しているため、情報をインターネット経由で送受信することができます。

IoTの活用により遠隔地から対象物を計測・制御したり、モノ同士で通信を行うことが可能になることから、さまざまな分野・領域での活用が期待されています。

IoTの仕組み

現在、エアコンや冷蔵庫といった各種家電や、自動車・バス、工場の装置・設備など、さまざまなモノにIoT技術が活用されはじめています。

IoTの対象となるモノには、センサーやカメラ、無線通信が搭載されており、モノの状態や動きを感知したり、データを取得します入手した情報をインターネットを介して人やモノに伝送することがIoTの基本的な仕組みです。IoTの活用事例を具体的に説明しましょう。

魔法瓶や電気ポットで有名な象印マホービン株式会社も、IoTを活用することで新たな商品価値を生み出すことに成功した企業の1つ。

電気ポットに無線通信機を搭載することで使用状況を伝送する象印マホービン株式会社の『みまもりほっとライン』の事例を解説していきます。

【IoT活用事例】電気ポットの使用状況を離れて暮らす家族に知らせ、安否確認

①離れて暮らす高齢の親が象印マホービンの電気ポットを使う
 └電気ポットには無線通信機が搭載されている

 

②電気ポットの使用状況が家族の端末に送信される
 └電気ポットの使用状況を1日2回チェックでき、1週間分のグラフも確認できる

 

③電気ポットの使用状況から親の生活リズムを把握することができる
 └変化が現れた場合などに素早く安否確認できる

(参照:みまもりほっとライン | 象印マホービン株式会社

電気ポットの本来の価値は、「素早く水を沸騰させることができる」「水温を維持できる」「いつでもお湯を出すことができる」といった利便性にあります。しかし、無線通信機を搭載することで、「離れて暮らす家族の安否確認ができる」という新しい価値を消費者に提供できるようになりました。

従来の電気ポット市場は、モノ自体の機能性や価格で勝負せざるを得ず、さらに電気ポットのメイン機能が「お湯を出せる」というシンプルなものであるため、買い替えサイクルが長いという課題がありました。

しかし、IoT技術の導入により「モノ」としての電気ポットに安否確認サービスという付加価値を加えたことで、これまでにない観点から消費者へのアプローチが可能になりました。今後、高齢化社会がますます加速していくことを考慮すると、消費者需要の変化を見越したIoTの活用事例といえるでしょう。

この『みまもりほっとライン』のように、IoT技術を活用した「モノ売り」から「コト売り」への商品価値の変化が各市場で進んでいます

総務省の「令和元年版 情報通信白書」では、2020年代には約450億台のIoT機器がインターネットに接続されると予測。今後、IoT化の潮流はさらに拡大し、あらゆるモノがインターネットにつながる社会が到来するといわれています。

★IoTとは?

・日本語では「モノのインターネット」と訳される

・「モノ」をインターネットに接続することで、離れた場所から対象物を計測・制御したり、モノ同士の通信を可能にする技術

・既存商品に異なる観点の付加価値を付与することができる

・2020年代には約450億台のIoT機器がインターネットに接続されると予測されている

➡︎【資料ダウンロード】DX推進に役立つIoT活用の基礎知識

IoTの活用で実現できる4つの機能

IoTの活用によって実現できる機能は大きく分けて「モノを操作する」「モノの状態を知る」「モノの動きを検知する」「モノ同士で通信する」の4つに分類できます。

★IoTの4つの機能

①モノを操作する(ex. 外出先から家のエアコンをONにする)

②モノの状態を知る(ex. 電子機器の電池残量を遠隔地から把握する)

③モノの動きを検知する(ex. バスのリアルタイムの運行状況を把握する)

④モノ同士で通信する(ex. 室内に人が立ち入ったら照明を明るくする)

すべてに共通するのは、離れた場所にあるモノを遠隔から監視・操作・制御すること。1つの機能だけでなく、複数の機能を同時に活用するケースもあります。

それでは、それぞれの機能について詳しく解説していきましょう。

IoTの機能① モノを操作する

「モノを遠隔操作する」機能はIoTの代名詞「モノを遠隔操作する」機能はIoTの代名詞

IoT活用の代表格といえるのが、離れた場所にあるモノを遠隔操作する機能

たとえば、外出先からスマホなどのデバイスを通じて、自宅にあるエアコンや照明などの家電を操作したり、ドアやシャッターの開閉を行なうことができます。また、IoT化されたペット用フードサーバーは遠隔地からスマホでペットの様子を確認し、適切な量の食事を自動的に給餌することができます。

電源のON/OFFといった単純な動作だけでなく、エアコンの温度・風量の強弱など細かい設定まで調整できることがポイント。「モノを操作する」機能は、生活を便利にするための用途で活用されるケースが多いです。

◆「モノを操作する」機能の活用例

・帰宅中に家のエアコンをつけて室温を調整しておく

・家で留守番中の愛犬に、フードサーバーからエサをあげたり、安否確認ができる

IoTの機能② モノの状態を知る

遠隔地の「モノの状態を知る」ことで気づきを得られる遠隔地の「モノの状態を知る」ことで気づきを得られる

離れた場所にあるモノや人の状態を知る機能もIoTを語るうえで欠かすことのできない要素の1つです。

たとえば、照明の状態を外出先で確認できるため、消し忘れを防いで電力費用の削減が可能となります。ほかにも、エアコンの温度を遠隔地から管理して室内環境を最適な状態にキープしたり、ペットの首輪をIoT化して運動量や食事量のデータを取得することで、ペットの健康状態を遠隔地から確認できます。体調の異変にいち早く気づくことができ、獣医への迅速な相談が可能になるなど大きな病の防止につながります。

モノに搭載されたセンサーから情報を取得し、インターネット経由でデータを送受信することで、モノや人の状態を把握して“気づきを得られる”ことがポイント。「モノの状態を知る」機能は、アクションにつながる重要な情報をリアルタイムで得るために活用されるケースが多いです。

また、利用頻度や利用時間などユーザーの情報を直接手に入れることが可能になるため、ビジネス領域でも大きな価値を生み出します。マーケティングリサーチやアンケートを行わずにユーザーニーズを把握することができるため、データが商品の改善や開発に直結します。

◆「モノの状態を知る」機能の活用例

・電子機器の電池残量や使用量が一定基準を超えると、アラートが発生する

・患者の心拍、呼吸、脈拍、血圧の数値に異常が確認されたのでアラートを出す

・メーカーは蓄積したデータをマーケティング領域で活用できる

IoTの機能③ モノの動きを検知する

「モノの動きを検知する」ことで重要な変化を見逃さないようにする機能「モノの動きを検知する」ことで重要な変化を見逃さないようにする機能

IoTには、モノや人の動きから現在の状況を知ることができる機能もあります。

モノや人の動きを検知するセンシング技術とIoTを組み合わせることにより自動運転技術が飛躍的に向上し、建設現場などでの労働災害の減少も期待されています。

農業の分野ではIoTを活用して温度・湿度・水位などの栽培環境に影響する動きを検知して自動で最適な環境に調節したり、公共交通機関ではバスや電車の運行状況や混雑状況をバス停で待つ乗客がリアルタイムで把握できるようになります。

モノの周辺環境の状況・計測数値の動向・人の動きや生活などをリアルタイムで知ることができるため、異常を瞬時に把握して適切かつ迅速な対応が可能になります。モノや人の動きの重要な変化を見逃さず、現在の状況を推測して素早くアクションできる点がポイントです。

◆「モノの動きを検知する」機能の活用例

・電車やバスの運行状況や混雑状況を把握できる

・老人ホームにいる祖父が暖房を頻繁に使用していたので暖かい肌着を用意した

・建設現場で重機や建機が人を検知したため、自動停止する

IoTの機能④ モノ同士で通信する

「モノ同士で通信する」ことで、人間の判断を挟まずにモノ同士で調整する機能「モノ同士で通信する」ことで、人間の判断を挟まずにモノ同士で調整する機能

4つ目は、インターネットに接続したモノとモノの間でデータを送受信することで、複数の電子機器を自動的に動作させる機能

これまでに紹介した3つを複合したような機能で、スマートホームやスマートビルディングが代表例。AIスピーカーと連携すれば、口頭の指示だけでお風呂にお湯を入れたり、エアコンや照明を点けたり、カーテンを開閉することができます。また、オフィスでも自動制御で無駄なエネルギーの消費を抑えたり、入退場の管理などでの活用が期待されています。

モノ同士で通信する機能の活用で、とりわけ注目を集めているのが自動運転車。信号機からのデータを自動車が受信することで自動的に速度を落としたり、信号側で道路の混雑具合をリアルタイムに察知することで待ち時間を調整し、交通渋滞の緩和につなげようという取り組みが進められています。

このような複数の機能を接続する技術は、2020年に予定されている次世代通信技術「5G」の実用化で飛躍的に発展すると予想されています。

人の判断を挟まずにモノ同士で通信を行って自動的に判断・動作するため、特に“自動化”という観点で期待を高めている技術です。

◆「モノ同士で通信する」機能の活用例

・信号機からの通信で目の前の信号が赤だと判断し、自動的に車が停止する

・スマートホームやスマートビルディングなどモノ同士が連携して最適化する

IoTの活用事例を分野別に紹介

現在「どのようにIoTが活用されているのか」、分野別に紹介します現在「どのようにIoTが活用されているのか」、分野別に紹介します

これまでIoTで実現できる機能を解説してきましたが、社会の中で実際にどのように活用されているのでしょうか? 各分野ごとのIoT活用事例を解説していきます。

▪️IoTの活用事例

    IoTの分野別活用事例
医療 生体データをリアルタイムで医師に共有することで、遠隔地から患者の健康状態のモニタリングが可能に。在宅医療支援や医師不足の解消にも貢献。
物流 自動搬送ロボットによるピッキング作業など、倉庫業務の効率化。RFIDを利用したトレーサビリティ、ドローンや無人運転車の活用による配送に代表される物流革命(ロジスティック4.0)が起きている。
製造業 生産ラインをIoT化することで、費用対効果を最適化。設備機器の状態を可視化できるようにし、故障による被害を防止。
農業 日射量や土壌の状態をセンサーが感知し、水やり・肥料の最適なタイミングや量を割り出す。離れた場所からでもハウス内の温度調節・空調調節が可能。
交通 高速道路の渋滞状況や電車の遅延状況がリアルタイムでわかるので、最適なルートを選択して移動できる。

 
さらに、各分野別にIoTの活用事例を詳しく掘り下げていきましょう。

医療におけるIoT

現在、医療分野のIoTでは着用型ウェアラブルデバイスの活用に注目が集まっています。

ウェアラブルデバイスを着用することで患者の生体データ(脈拍、心拍、血圧など)を計測し、データ化。そのデータを医師にリアルタイムで共有することで、遠隔地にいながら患者の状態をモニタリングできるようになり、異常を検知した際に素早く診断・処置することが可能になります。病後のリスク管理や日々の健康管理に役立つほか、在宅医療の支援や地方の医師不足問題にも大きく貢献しています。

近年問題視されている医師の労働環境改善の観点からもさらなる発展が期待されています。

このような遠隔医療の概念とモノを組み合わせた事例が下記になります。

【医療分野におけるIoT活用事例】

医療用ベッドのメーカーとして知られるパラマウントベッド株式会社では、「患者様に寄り添ったケアを叶える環境づくり」を目指したスマートベッドシステムを開発。

ICTデバイスが備わった医療用ベッドは、患者の状態(睡眠・覚醒・呼吸数・心拍数などのさまざまな情報)を測定する各種機器と医療情報システムを連携することで、リアルタイムで患者の状態を把握できます。モバイル端末で確認できるリマインダー機能は、関係者間でのデータ共有やヌケ・モレのない看護業務、将来的な病気の早期発見や予防にもつながっています。

(参照)パラマウント株式会社|スマートベッドシステム™️

医療分野でのIoT活用は他の業界と比較しても大きなポテンシャルを秘めているため、特にIoMT(Internet of Medical Things)と呼ばれ、区別されることもあります。

物流におけるIoT

物流業界では、IoTなどの最新テクノロジーを用いたデジタルトランスフォーメーション(DX)を「ロジスティクス4.0」と呼んでいます。

現在、Amazonの躍進に代表されるECサイト市場の拡大により、物流業界は多品種を少量かつ多頻度で配送する必要に迫られており、その解決策としてIoTの活用が急速に進んでいます。

物流業界でのIoT活用例は、入荷から出荷までの倉庫作業のプロセスと配送作業のプロセスの2つに分類することができます。

仕分け、棚入れ・棚卸し、ピッキング作業におけるロボティクスを応用したシステムの導入が倉庫作業における代表的なIoT活用例です。たとえば、Amazonの倉庫はインターネット経由の注文に応じて、担当作業員の位置まで棚が自動で移動するシステムが導入されており、人間が広い倉庫内を歩き回る必要がありません。このシステムにより大量の注文が効率よくさばけるようになり、素早く顧客の手元に商品を届けるAmazonの強みを支えてます。

一方、配送作業ではTMS(輸配送管理システム)にIoTを活用しており、最適な人材の配置や配車ルートの効率化といった配送現場の見える化に役立っています。また、今後はドローンに代表される無人航空機(UAV)を利用した空の輸送や自動運転トラックの早期実現に期待が高まっています。

【物流分野におけるIoT活用事例】

NEC(日本電気株式会社)ではRFIDを通い容器に取り付けることで、配送物の到着・出発などの情報をスマートフォンにつながった腕時計型デバイスに表示させる仕組みの提供が始まっています。輸配送状況の把握は生産ライン・在庫管理へのリアルタイムな指示につながるため、サプライチェーン全体の効率を高めています。

(参照)NEC(日本電気株式会社)|物流IoTソリューション

製造業におけるIoT

ドイツ政府が推進する国家プロジェクト「インダストリー4.0」(第4次産業革命)の構想に注目が集まったことから、日本の製造業においてもIoTを活用したオートメーション化などが導入され始めています。

製造業におけるIoT活用例の特徴は、ロボティクス、AI、M2Mと連携していること。生産ラインの省人化・効率化を測る先には、スマートファクトリー(考える工場)の実現を見据えています。

スマートファクトリーでは工場内のあらゆる機械設備や管理システムがインターネットに接続し、データを収集。どの場所でどのくらい作業員が働いたのか数値化することで各工程の分析が可能となるため、工場の生産性や設備稼働率の向上が期待されています。

また、設備機器の状態をセンサーやレーダーによって監視するとともに、振動や温度の変化などからも異常を検知。故障する前にアラートが出るので素早いメンテナンス・修理が可能になり、設備故障による被害を最小限に留めることができます。

【製造業におけるIoT活用事例】

多様化する顧客ニーズに応えるための生産システムの構築を目指すため、株式会社日立製作所では「作業改善⽀援システム」「⼯場シミュレーター」「RFID⽣産監視システム」「モジュラー設計システム」の4つのシステムから得られた⼈・モノ・設備の情報を循環させる⾼効率⽣産モデルの確立を推進。生産計画の進捗状況を把握することによる適切な対策・改善、より精度の高い生産計画を立案するサイクルを実現しました。これにより主⼒製品の⽣産リードタイムを50%短縮することに成功し、設計⼯程では20%、調達で20%、製造で10%のコスト削減を達成しました。

(参照)中部経済産業局 – 経済産業省|スマートファクトリーロードマップ

農業におけるIoT

現在、ロボット技術や情報通信技術(ICT)などの先端技術を活用して、超省略化や高品質生産などを実現する次世代型の農業「スマート農業」(スマートアグリ)に注目が集まっており、IoTも主要な技術の1つとして活用されています。

たとえばハウス栽培の場合、センサーが感知した日射量や土壌の状態をもとに水やり・肥料散布の最適なタイミングや量を算出し、自動化することができます。また、離れた場所からでもハウス内の温度調節・空調調節が可能になります。理想的な環境をキープすることが容易になり、人の労力を減らしながら高い生産性を実現できます。

IoTの導入は、後継者不足の深刻化という日本の農業が抱える課題に対する解決策としても期待されています。従来の農業は農家の経験や勘はもちろん、日々の労働力によって支えられてきましたが、IoTを導入することで農業を取り巻く労働環境は大きな変革を迎えるでしょう。

【農業におけるIoT活用事例】

日本有数の農機メーカーとして知られる株式会社クボタは、独自のデータ活用と自動化を合わせたアプローチでスマート農業を推進。2018年にトラクタ・田植機・コンバインの3機種でGPSを搭載した農機の製品化を実現するなど、自動運転・無人化農機の開発に取り組んでいます。また、上記3機種にICTを融合させてクラウド環境で農業経営を「見える化」することで、効率的な生産を支援するシステムを提供。パソコンやスマートフォンなどの端末から対応農機と連携した収穫・生育・気象情報などのビッグデータを収集し、可変施肥・施薬、生育予測、病害虫予測などにも役立てていく予定です。

(参照)クボタのスマート農業|株式会社クボタ

交通におけるIoT

IoTの導入により、バスや電車などの公共交通機関やタクシー業界においても大きな変化が生まれています。

たとえば、バス停にあるQRコードを読み込むとバスの運行状況をリアルタイムで把握できたり、タクシー配車アプリを使って自分の居場所まで簡単にタクシーを呼ぶことができます。また、高速道路の渋滞状況や電車の遅延状況がリアルタイムでわかるようになり、ユーザーが最適なルートを選択して移動できるようになります。

【交通におけるIoT活用事例】

株式会社日立製作所では、道路・交通事業者が所有する交通関連データから、交通需要や輸送需要を分析・可視化する「交通データ利活用サービス」を提供。渋滞対策や運行計画の最適化を図り、利用者・乗客向けのサービスの向上とともに道路・交通事業者の業務改善と効率化を支援しています。

(参照)交通データ利活用サービス|Lumada:日立

IoTの未来を担う2つの通信技術

IoTに大きく関与する2つの通信技術を紹介しますIoTに大きく関与する2つの通信技術を紹介します

総務省の「令和元年版 情報通信白書」によると、2020年代には約450億台のIoT機器がインターネットに接続され、データ通信量は現在の約2倍になると予測されています。

今後の通信量の増加や多様化する通信ニーズに対応するため、現在注目されているのが「5G」「LPWA」と呼ばれる次世代の通信技術です。

通信技術① 5G

5Gは、「高速大容量」「多数同時接続」「低遅延」を実現する通信技術です。

今後、さらにIoT化が進むと膨大な通信データの処理が求められます。既存の4GやLTEなどの通信方式のままでは、あらゆるモノをインターネットに同時接続し、遅延のない円滑なデータ処理を行うことができません。5Gの開始はIoTの普及を後押しし、膨大なデータの活用が多くの業界・職種のあり方を劇的に変えるといわれています。

★5Gの3つの特徴

①高速大容量

・通信速度は最大20Gbps。

・現行の4Gより約20倍速く、2時間の映画を15秒でダウンロードできるスピード。

 

②多数同時接続

・接続機器数は100万台/km2。

・4Gの約10倍にあたる約1万台の端末をインターネットに同時接続可能。

 

③低遅延

・遅延はLTEの約10分の1の1ミリ秒程度。

・タイムラグを気にせず、遠隔地にあるモノをリアルタイムに操作・制御可能。

(参照)「5G」を支える技術革新 3つの利用シナリオをバス輸送にたとえる|日経BizGate

通信技術② LPWA

LPWA(Low Power Wide Area)は、「省電力」「広範囲」「低コスト」が特徴の通信技術です。通信速度は低速ですが、IoTと相性のいい通信技術として期待されています。

★LPWAの3つの特徴

①省電力

・一般的な電池で、数年から数十年にわたって運用できるほどの省電力性を持つ。

 

②広範囲

・数km~数十kmの通信が可能な広域性を有している。

 

③低コスト

・接続コストが安く、低価格で運用できます。

(参照)平成29年版 情報通信白書|総務省

5Gは4Gに代わる新しい通信規格で、日本では2020年から実用化・商用化が予定されています。5Gの導入後、IoTを活用した技術が急速に普及することが予想されます。

IoTの技術を後押しする5GやLPWAといった通信規格・技術を理解して併用することが、新しいサービス・商品価値の提供につながっていくでしょう。

IoTとAIの関係性

AIとIoTが生み出す相乗効果に期待が高まっていますAIとIoTが生み出す相乗効果に期待が高まっています

IoTを語るうえで欠かすことができないのがAI(人工知能)の存在。ともにデジタルトランスフォーメーション(DX)実現において重要な役割を担うことが期待されていますが、両者には密接な関係があります。

5Gの実用化が始まり、社会のIoT化が急速に進み始めるとあらゆるモノがインターネットに接続する時代が訪れると考えられています。IoT化の波はこれまでデータ集計が行われてこなかった分野にも到達。つまり、IoT化が進むにつれて従来とは比較できない規模のビッグデータが収集されるということです。

IoT機器が収集したビッグデータはAI(人工知能)によって解析されるとともに、そのデータをもとにした新たなAIモデルが誕生。IoT機器に新しいAIモデルが搭載されれば、従来以上の機能性を有することになるとともに、さらにデータの収集を継続します。
このようにIoTとAIは密接な関係を築き上げながら、相乗効果を生み出すと期待されています。

★IoTとAIが生み出す相乗効果

① IoT化の加速により、さまざまなIoT機器が普及し、情報収集する

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② IoT機器が収集したビッグデータをAIが解析し、結果をもとに新たなAIモデルが誕生

⬇️

③ 新たなAIモデルを搭載したIoT機器が普及し、情報収集を継続する

IoTがもたらす3つのメリット

IoTが社会にもたらす3つのメリットを紹介しますIoTが社会にもたらす3つのメリットを紹介します

IoTにはさまざまなメリットがあります。個人でIoT機器を利用する場合、企業でIoTを導入する場合、また企業がIoTサービスを展開する場合のメリットを見ていきましょう。

IoTのメリット① ユーザーの利便性向上

IoTの活用によりスマートホームが実現すれば、スマートフォンなどのデジタル端末を用いて、外出先でも自宅にある家電を操作することができるなど、人々の生活はより便利なものになります。また、外気の気温に応じて最適な温度にエアコンが自動調節したり、人の不在を検知して照明が自動で消えるなど、利便性の向上に加えて省エネにもつなげることができます

今後ますます社会全体にIoT化の波が広がっていくにつれて、新たに多くの自動化されたサービスが続々と登場するでしょう。

IoTのメリット② 企業の業務効率化と省人化

IoTの導入によって企業が得られる最大のメリットが、業務効率化やコスト削減の実現。たとえば製造工場の生産ラインをIoT化すれば、ラインの稼働状況の見える化につながり、配置する人員の削減や余剰在庫の削減を適切に実施することができます。

また、設備機器から得られるデータを解析・フィードバックすれば、より最適化された生産ラインを構築できるでしょう。ビジネスにおいてのIoTは、獲得したデータをどう活かすかが成功の鍵を握っています。データから改善点を抽出して解決策を素早く実行できれば、DX時代の競争でも優位に立つことができるでしょう。

IoTのメリット③ 新しいビジネスの創出

IoT機器からビッグデータを取得するメリットは、社内の業務効率化だけに止まりません。企業はIoT製品を通して消費者のさまざまなニーズをキャッチアップできるようになり、ビッグデータを解析することが、新しいサービス・製品開発のヒントになります。

IoTの活用とビッグデータの取得・解析により、これまでとはまったく違った新しいビジネスが数多く誕生するでしょう。

★IoTの3つのメリット

・身の回りのさまざまな機器がIoT化し、ユーザーの利便性が向上

・IoT化された生産ライン・設備機器が、企業の業務効率化・コスト削減を実現

・収集したビッグデータの活用が、消費者ニーズを的確に捉えた新しいビジネスのヒントに

IoTが抱える4つの課題

IoTの活用に向け、注意したい課題4つを紹介しますIoTの活用に向け、注意したい課題4つを紹介します

人々の生活をより便利なものにすることを期待されているIoTですが、導入するうえで課題も存在します。ここではIoTが抱える問題点について、解説していきます。

IoTの課題① 高度なIT人材の確保

新しいIoTサービスを開発するには、広範囲にわたる専門技術を持ったITエンジニアの存在が必要不可欠。しかし、各分野のスペシャリストを揃えるのは簡単なことではなく、ITエンジニア不足が開発のネックになっているのが現状です。

また、IoTサービスの価値を高めていくには、デバイスから得られるビッグデータの分析が欠かせません。しかし、分析に必要なデータサイエンティストも人材不足が叫ばれています。

IoTの課題② 電力供給の増加・最適化

IoTの導入により、これまで電力を必要としていなかった製品も定期的な通信を行うようになるケースが想定されています。従来よりも多くの機器で電力を消費するため、IoTやAIの開発は電力供給の問題と直結するといわれています。そのため、前述した省電力・低コストを実現する次世代通信技術「LPWA」などに注目が集まっています。

IoTの課題③ ヒューマンエラー対策

IoT機器が普及したあとに気をつけなければならないのが、ユーザーがIoT機器を正しく使用しなかったことに起因するヒューマンエラー

IoTの実現には複雑な機器が必要になり、使用前にユーザー側で通信などの設定を行う必要があります。自動車の自動ブレーキングシステムを例に挙げると、機能をONにしていなかったり設定し忘れていると事故につながってしまいます。

IoTの課題④ セキュリティ対策

今後さらにIoTが普及していくと予想されていますが、インターネットに接続するIoT機器が増加すると、そのぶんサイバー攻撃のリスクも増加します。

サイバー攻撃対策は、IoTを普及していくうえで欠かせない最初の課題だといえるでしょう。その危険性の高さから、日本政府も2016年に「IoTセキュリティガイドライン」を策定。各企業へのIoTセキュリティ基本方針における体制構築を促したり、個々の機器レベルでの脆弱性診断などの注意喚起を行なっています。

★IoTの4つの課題

・IoTサービスの開発や、ビッグデータの活用には高度なIT人材が必要

・IoT機器の増加に伴い、膨大な電力供給とインフラ基盤の整備が求められる

・使用時のヒューマンエラーをどう防ぐか、どのようにアナウンスするか

・IoT機器の増加は、サイバー攻撃のリスク増加に直結する

モンスター・ラボのIoT開発事例

モンスター・ラボでは、IoTを活用したデジタルプロダクトを企画・設計・デザイン・開発・運用の各段階からサポートしています。

ここではモンスター・ラボグループのIoT開発事例を紹介していきます。

日立グローバルライフソリューションズ株式会社(モンスター・ラボ/日本拠点)

日立グループの家電・空調事業を担う日立グローバルライフソリューションズ株式会社(以下:日立GLS)が提供する単身高齢者向け見守りサービス「ドシテル」。

同サービスにおいて、日立GLSが課題としていたのは「いかに顧客にサービスを提供し、中長期的な関係性を築いていくか」ということ。また、ビジネスロードマップ上で素早い設計〜リリースが求められていたため、短期間での開発とリリース後のサービス運営サポートができるチーム組成を希望されていました。

モンスター・ラボは、要件定義からリリース後の支援までワンストップでのサービス提供を実現。また、開発以外にもアプリのストア申請支援や管理プロセスの提案など、アプリ運営全般にわたるサポートを実施し、現在も継続して伴走型のプロダクト運用支援を行っています。

★詳しくはこちら:
日立グローバルライフソリューションズ|単身高齢者向け見守りサービスの開発事例

旭日酒造有限会社(モンスター・ラボ/日本拠点)

旭日酒造有限会社(島根県出雲市)は明治2年創業の老舗酒造。

モンスター・ラボの島根拠点では、プログラミング言語「mruby/c」を用いた日本酒造りの品温管理をサポートするIoTシステムを、しまねソフト研究開発センター(島根県松江市、以下:ITOC)と共同で開発しました。

酒造現場では麹(こうじ)や醪(もろみ)などの品温変化をこまめに監視する必要があるため、仕込み時期(旭日酒造の場合は概ね11月〜4月)の間、蔵人は蔵内の各作業場所を頻繁に移動しなければなりません。

蔵人が酒蔵で多くの時間を費やさなければならないという物理的制約を緩和するため、酒造工程における温度・湿度を測定するセンサー制御およびネットワーク通信制御と、その記録を閲覧することができるスマートフォンアプリを組み合わせた「醸造業向けIoTシステム」を開発。

働き方の改善を実現するとともに、センサーデータを蓄積・解析することによる酒質の向上と酒造り技術の伝承に繋がることが期待されています。

★詳しくはこちら:
旭日酒造有限会社|日本酒造りの品温管理をサポートするIoTシステムの開発事例

まとめ:IoTの導入で豊かになる世界

IoTの導入が私たちの生活を豊かにするIoTの導入が私たちの生活を豊かにする

IoT(モノのインターネット)の急速な普及により、ひと昔前なら夢物語といわれていたことが実現できたり、諦めてきた問題を解決できるようになりました。

また、IoT化することで新しい商品価値が生まれ、現在も生活に身近なIoT機器が市場を賑わせています。まだまだ課題も残っていますが、IoTが社会全体を豊かにするテクノロジーであることに疑いはありません。

デジタルトランスフォーメーション(DX)の推進に注目が集まる今、各企業ではIoTをはじめとするデジタルテクノロジーを活用した変革が求められています。まずは、この記事で紹介したようなIoTの基本的な機能や事例を参考に、自社の課題と照らし合わせながら技術導入の検討をしてみてください。

IoTの導入をご検討中の経営者様・企業担当者様へ

モンスター・ラボではお客様からのIoT機器と連動したデジタルプロダクト開発(アプリ・Webサービス)に関するお問い合わせ・ご相談を随時受付しております。ご興味のある方はお気軽に下記のリンクボタンからお申し込みください。

記事の監修

平田 大祐(株式会社モンスター・ラボ 執行役員 CTO)

2004年IBMグループに入社し、IBM ITスペシャリストとしてシステム開発に従事。
2009年からベンチャー企業にて受託開発、コンテナ型無人データセンターの管理システム、ドローン開発などソフトウェアからハードウェア開発まで幅広く関わる。チーフテクノロジストとして2015年にモンスターラボへ入社し、2018年4月より最高技術責任者であるCTOに就任。

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