現在の生活には欠かすことのできなくなったPCやスマートフォンといった電子機器たち。今や、その中にはさまざまなAI(人工知能)機能が搭載されています。

他にも、車・電車といった乗り物や街中にある商業施設など、知らず知らずのうちに人間社会の中で多数のAI(人工知能)が活躍する時代になりました。

“自ら学習する”という特徴を持つAI(人工知能)がもたらす機能のなかには、これまでの常識を覆すような革新的なものが多く、社会の構造自体を変革するデジタルトランスフォーメーション(DX)にも活用されています。

AI(人工知能)は非常に身近な存在になりましたが、その本質的な意味合いや仕組みを知らずに「なんとなく理解している」という方もまだまだ多いのではないでしょうか?

本記事では、「AI(人工知能)」の言葉の意味や定義からこれまでのAI研究の歩み、機械学習・ディープラーニングといった学習方法、未来にもたらす効果予測までを徹底解説。AI(人工知能)に関する基礎知識をまとめてお届けします。

AI(人工知能)とは何か?

AI(人工知能)の基礎知識から解説していきますAI(人工知能)の基礎知識から解説していきます

まずは、「AI(人工知能)」とはなんなのか。言葉の意味や定義からおさらいしていきましょう。

AI(人工知能)という言葉の誕生

AI(人工知能)という言葉が初めて用いられたのは1956年。アメリカのダートマス大学で開催されたダートマス会議で、計算機科学者・認知科学者のジョン・マッカーシー教授によって提案されました。

“AI”とは何の略?

AIとは、Artificial Intelligence(アーティフィシャル・インテリジェンス)の略称。Artificialは「人工的な」、Intelligenceは「知能/知性」という意味を持っています。

AI(人工知能)の対義語

AIの対義語は、Natuar Intelligence(ネイチャー・インテリジェンス)。略称はNIです。Natuar Intelligenceの和訳は「自然知能」という言葉で、人間や動物などの自然が生み出した知能のことを言います。

AI(人工知能)の定義

一般社団法人 人工知能学会では、AI(人工知能)という言葉の生みの親であるジョン・マッカーシー教授の言葉を『知的な機械、特に知的なコンピュータプログラムを作る科学と技術』と翻訳して紹介しています。

しかし、AI(人工知能)に関する研究が進んだ現在、研究者ごとに異なる言葉で定義されているのが現状。日本国内の主な研究者によるAI(人工知能)の定義は下記の通りです。

▪️日本国内の主な研究者による人工知能(AI)の定義

研究者 所属 定義
中島 秀之 公立はこだて未来大学
学長
人工的につくられた、知能を持つ実体。あるいはそれをつくろうとすることによって知能自体を研究する分野である
西田 豊明 京都大学大学院
情報学研究科教授
「知能を持つメカ」ないしは「心を持つメカ」である
溝口 理一郎 北陸先端科学技術
大学院大学教授
人工的につくった知的な振る舞いをするもの(システム)である
長尾 真 京都大学名誉教授
前国立国会図書館長
人間の頭脳活動を極限までシミュレートするシステムである
堀 浩一 東京大学大学院
工学系研究科教授
人工的につくる新しい知能の世界である
浅田 稔 大阪大学大学院
工学研究科教授
知能の定義が明確でないので、人工知能を明確に定義できない
松原 仁 公立はこだて未来大学
教授
究極には人間と区別がつかない人工的な知能のこと
武田 英明 国立情報学研究所
教授
人工的につくられた、知能を持つ実体。あるいはそれをつくろうとすることによって知能自体を研究する分野である(中島氏と同じ)
池上 高志 東京大学大学院
総合文化研究科教授
自然にわれわれがペットや人に接触するような、情動と冗談に満ちた相互作用を、物理法則に関係なく、あるいは逆らって、人工的につくり出せるシステムを、人工知能と定義する。分析的にわかりたいのではなく、会話したり付き合うことで談話的にわかりたいと思うようなシステム。それが人工知能だ
山口 高平 慶應義塾大学理工学部
教授
人の知的な振る舞いを模倣・支援・超越するための構成的システム
栗原 聡 電気通信大学大学院
情報システム学研究科教授
工学的につくられる知能であるが、その知能のレベルは人を超えているものを想像している
山川 宏 ドワンゴ人工知能研究所
所長
計算機知能のうちで、人間が直接・間接に設計する場合を人工知能と呼んでよいのではないかと思う
松尾 豊 東京大学大学院
工業系研究科准教授
人工的につくられた人間のような知能、ないしはそれをつくる技術

 

「AI(人工知能)とは何か」を平たく『NI(自然知能)をコンピューター上に再現したもの』『人間のような知能を持ったコンピューター』と考えても概ね間違いではないのですが、AI(人工知能)は明確に定義されていないというのが現状です。

◎AI(人工知能)とは・・・

・1956年、ダートマス会議で計算機科学者のジョン・マッカーシー教授が提案

・『知的な機械、特に知的なコンピュータプログラムを作る科学と技術』/人工知能学会

・『人間のような知能を持ったコンピューター』のようなものだが明確な定義はない

AI(人工知能)研究の歴史

(出典)ICTの進化が雇用と働き方に及ぼす影響に関する調査研究/総務省(出典)ICTの進化が雇用と働き方に及ぼす影響に関する調査研究/総務省

現在、Appleの「Siri」に代表される音声アシスタント、アイロボットのお掃除ロボット「ルンバ」、ソフトバンクの感情認識ヒューマノイドロボット「Pepper」など、AIが身近な存在として人間社会に受け入れられつつあります。

近年のAI技術の進歩には目を見張るものがありますが、AIの研究が盛んになったのは1950年代後半頃から。ブームと冬の時代(停滞期)を繰り返して、徐々にAIは進化してきました。ここではそんなAI研究の歴史を簡単に紹介していきます。

第一次 AI(人工知能)ブーム(1950年代後半~1960年代)

「AI(人工知能)」という言葉を生んだダートマス会議が開催された1950年代後半から1960年代にかけて、第一次 AI(人工知能)ブームが巻き起こりました。

ブームの背景にあったのは、コンピューターによる「推論」と「探索」が可能になり、特定の問題に対して解答を導き出せるようになったこと。しかし、当時のAIが対応できたのは、明確なルールや定義付けがある問題に限定されていました。

現実社会で起こっているさまざまな要因が複雑に絡み合う課題の解決には対応できないことが判明したことで、AI(人工知能)ブームは徐々に下火に。1970年代には、冬の時代(停滞期)を迎えてしまいました。

第二次 AI(人工知能)ブーム(1980年代〜1990年代)

第二次 AI(人工知能)ブームが到来したのは、1980年代〜90年代。「エキスパートシステム」の誕生により「知識表現」が可能になったことが大きな要因です。

エキスパートシステムは、「○だったら×をしなさい。それ以外の場合は△しなさい」というようなルール群で知識を構成している人工知能。自分で学習する仕組みはありませんが、あらかじめ専門家が考え得る限りの状況を予測して対処方法や判断を用意することで機能します。

ルールが多ければ多いほど正確性は向上しますが、必要となる情報をすべて人の手でコンピューターに理解させなければならず、実際に活用できるのは特定の領域の情報などに限定されたものばかり。このように活用できる知識量に限界が見えたことから、1995年頃からAI(人工知能)は再び冬の時代を迎えました。

第三次 AI(人工知能)ブーム(2000年代〜現在)

第三次 AI(人工知能)ブームは2000年代から始まり、本記事を執筆した2019年時点もその渦中にあります。

ブームの要因を作ったのは、AI(人工知能)自身が大量のデータ(ビッグデータ)から知識を獲得する「機械学習」の実用化が進んだこと。さらに、2006年には知識を定義する要素(特徴量)をAI(人工知能)が自ら習得するディープラーニング(深層学習)が提唱され、ブームに拍車をかけました。

AI(人工知能)の代表的なアルゴリズム

AI(人工知能)の研究において重要な役割を担う、AI御三家とも呼ばれる「ニューラルネットワーク」「遺伝的アルゴリズム」「エキスパートシステム」といった代表的なアルゴリズムを解説していきます。

ニューラルネットワーク

ニューラルネットワークはニューロン(脳の神経細胞)をモデルとしたAIニューラルネットワークはニューロン(脳の神経細胞)をモデルとしたAI

ニューラルネットワークは、ニューロン(生物の脳を構成する神経細胞)の構造と働きをモデルにしたAI(人工知能)。ニューロンは他のニューロンから一定値以上の電気信号を受け取ると興奮し、その先につながったニューロンに電気信号を送ります。このようなニューロン同士の連携行動の仕組みを数値モデル化したものです。

ニューラルネットワークは、データを入れる入力層、入力層から流れてくる重みを処理する中間層(隠れ層)、結果を出力する出力層で構成されています。人間が先生になって例題と模範解答のセット(教師信号)をニューラルネットワークに教えると、その後は教えていない範囲に対してもニューラルネットワーク自体が判断したり推理したりするようになります。

遺伝的アルゴリズム

遺伝的アルゴリズムはダーウィンの進化論をモチーフにしたAI(人工知能)遺伝的アルゴリズムはダーウィンの進化論をモチーフにしたAI(人工知能)

遺伝的アルゴリズムは、ダーウィンの進化論をモチーフにしたAI(人工知能)です。

ダーウィンの進化論を要約すると以下のようになります。

生き物は、環境に応じて、優秀な個体だけが子孫を残すことができ、劣等な個体は淘汰される。また、個体は突然変異を起こす場合があって、まれに優秀な個体になることもある。これを繰り返して進化してきた。

(出典)三宅陽一郎・森川幸人「絵でわかる人工知能」(SB Creative)p.62

この「優秀な個体」=「良い解答」として、進化の手法を用いて最適解を導き出そうとするのが遺伝的アルゴリズムです。

遺伝的アルゴリズムが最も得意とするのは、膨大な組み合わせが存在するなかからベストな答えを見つけ出すこと。人力で計算することが難しいレベルの組み合わせ爆発を起こす問題に対して、素早く最適解を割り出すことができます。

エキスパートシステム

エキスパートシステムは人間の“考え方”をモデルにしたAI(人工知能)エキスパートシステムは人間の“考え方”をモデルにしたAI(人工知能)

エキスパートシステムは、人間の“考え方”をモデルにしたAI(人工知能)。他のAIモデルと異なるのは、自分自身で学習する仕組みがないことです。

まずは、特定の専門家(エキスパート)から考え得る状況とそれに対する対処方法・判断・予測をヒアリングし、それに基づいてルールを定義します。そこで定めたルールを基にユーザーからの問い合わせがどの状況に当てはまるかを判断し、定義されている判断や予想を行います。

下記に挙げる例のように、特に医療分野の病気の診断で活躍しています。

★例:エキスパートシステムによる診断

質問:主な症状は次のうちどれですか?

解答:①熱がある ②鼻水が出る ③咳が出る

 

ルール1:もし熱があるなら食中毒と判断する

ルール2:もし鼻水が出るなら風邪と判断する

ルール3:もし咳が出るなら結核と判断する

(出典)三宅陽一郎・森川幸人「絵でわかる人工知能」(SB Creative)p.73

上記のように、ユーザーからの回答に合わせて事前に用意していた診断を下します。

ルールの数が多ければ多いほど正確になりますが、ルールが増えすぎるとそれぞれのルールの整合性が取りにくくなることがあります。さらに、重要なルールに抜け・漏れがあると正しい判断をすることができなくなってしまいます。

また、ルールの設定には専門家の手助けが必要になることやルールを正しく設定できたとしても専門家以上の回答を導き出すことができないのもエキスパートシステムの懸念事項です。

AI(人工知能)の学習方法① 機械学習

機械学習について解説していきます機械学習について解説していきます

機械学習とは、AI(人工知能)における“学習”のこと。人間が学習するように「機械自身が学習する」という意味が込められています。

つまり、プログラマーによってプログラミングされた範囲以上のことが実行できるようになることが基準になります。

機械学習は大きく分けて、「教師あり学習」「教師なし学習」「強化学習」の3つに分類されます。ここでは、それぞれの仕組みについて解説していきましょう。

教師あり学習

教師信号を与えて学習させる「教師あり学習」教師信号を与えて学習させる「教師あり学習」

教師あり学習とは、例題と模範解答のセット(教師信号)を与えることで人工知能を1つの方向に学習させること。一般的に大量のデータを必要とし、与えられたデータに基づいてニューラルネットワーク自体が出力結果の正否を判断します。

学習していない事例に関しても例題から推測して判断・行動することができますが、「人間が事前に知識を与えられない未知の事象には対応できない」という欠点があります。また、「模範解答を与えた人間以上には賢くならない」という能力的な限界があります。

過去のデータを基に傾向(関数)を導き出して今後の数値を予測する「回帰」を活用した売上予測、未知のデータを自動分類する「分類」を活用した画像分類などの用途で使用されています。

教師なし学習

AI(人工知能)自身の活動を基に自ら学習する「教師なし学習」AI(人工知能)自身の活動を基に自ら学習する「教師なし学習」

教師なし学習は模範解答を必要とせず、AI(人工知能)が自身の活動を基にデータを蓄積して自ら学習します。

大量のデータを必要としない学習法ですが、代わりに「正しく学習できる環境」が重要になります。整合性の取れる環境であるという前提が必要で、シミュレーションすることができない事象に対しては学習することができません。

蓄積したデータを分析して多くのなかから類似したものを抽出してグループ化する「クラスタリング」を活用したレコメンドや顧客セグメンテーションなどの用途で使用されています。

強化学習

AI(人工知能)が自ら試行錯誤して最適な行動を見つける「強化学習」AI(人工知能)が自ら試行錯誤して最適な行動を見つける「強化学習」

強化学習はAI(人工知能)が自らの置かれた環境のなかで試行錯誤を繰り返し、最適な行動・価値を見つけ出す学習法。AI(人工知能)が自身の行動した結果を認識して分析するという面では、教師なし学習と捉えることもできます。

強化学習において重要な要素を担うのが、AI(人工知能)に自身の行動と状況をしっかりと認識させること。そして置かれた環境下での結果に対する評価値を「報酬」として、学習の手がかりとしていきます。

例えば、あるゲームをする環境をAI(人工知能)に与えたとします。教師がいないこともあり、初めのうちは強さを発揮しませんが、試合毎に「より多く報酬をもらえるようにするためにはどうしたらいいのか」とAI(人工知能)自身が考察。対戦を重ねるごとにデータが蓄積されていき、強くなっていきます。

このように強化学習は応用範囲が広く、学習する対象がモデル化できないときに大きな効果を発揮します。

AI(人工知能)の学習方法② ディープラーニング(深層学習)

ディープラーニングはニューラルネットワークの技術の1つディープラーニングはニューラルネットワークの技術の1つ

ディープラーニングは、多層化したニューラルネットワークを用いた機械学習の手法。十分な学習データさえあれば、ニューラルネットワーク自体がデータ群の特徴を自動抽出することが可能です。

マルチスケールの中間層が入力データをさまざまな大きさに切り取って特徴を割り出すので、与えられたデータを基に細部のパターンから大きな構造、全体の輪郭まで抽出。画像のような記号化できないデータのパターン認識を得意としています

2016年、ディープラーニングをコア技術とした囲碁AI「アルファ碁(AlphaGo)」が世界トップレベルの棋士に大勝したことで注目を浴びました。

GAN(敵対的生成ネットワーク)

ディープラーニングを活用した技術のなかで、とりわけ注目を集めているのが「敵対的生成ネットワーク(Generative Adversarial Networks:以下、GAN)」。

GANは生成モデルの一種で、生成ネットワークと識別ネットワークの2つのネットワークから構成されます。生成側は識別側を欺こうと学習し、識別側はより正確に識別しようと学習することが大きな特徴。2つのネットワークが相反する目的で学習するため、“敵対的”という名称が用いられています。

画像作成時に実在しないデータを生成したり、存在するデータの特徴に沿って変換することが可能です。例えば、NVIDIAが公開している「IMAGE INPAINTING」というGANを活用したツールを使用すると、人物や物を画像から消して背景のみに加工することができます。

あるはずの人物を消して、無いはずの背景を作り出すことができたあるはずの人物を消して、無いはずの背景を作り出すことができた

例として画像生成を目的とするなら生成側がイメージを出力し、識別側がその正否を判定する。生成側は識別側を欺こうと学習し、識別側はより正確に識別しようと学習する。このように2つのネットワークが相反した目的のもとに学習する様子から敵対的と呼称されています。

上記の画像のように、絵画や写真が動いて会話しているように見せることまで可能です。現在さまざまな分野での適用が試されたり、応用研究が進められるなど今後の発展が期待されている技術の1つです。

AI(人工知能)開発で使用されるプログラミング言語「Python」

AI(人工知能)開発の定番プログラミング言語「Python」AI(人工知能)開発の定番プログラミング言語「Python」

AI(人工知能)開発で使用するプログラミング言語の定番といえば「Python(パイソン)」。

数あるプログラミング言語のなかでもコードが扱いやすく、機械学習に必要なビッグデータの処理に適しているという点が大きな理由。さらに、もともと科学技術計算を実行しやすいうえに、機械学習向けのライブラリが揃っていることから重宝されています。

他の言語に比べてプログラミング初心者でも学びやすいということもあり、AI(人工知能)ブームも相まって注目を集めています。

AI(人工知能)を活用した機能

これまでに紹介してきた学習手法を用いて、現在さまざまな分野でAI(人工知能)が活躍しています。

カテゴリー別にAI(人工知能)を活用した機能をまとめてみましたので、どんな用途で活用されているのかチェックしてみましょう。

▪️カテゴリー別 AIを活用した機能の一例

カテゴリー 活用領域の一例
コンピュータービジョン 画像分類/画像生成/オブジェクト検出
自然言語処理 機械翻訳/言語モデリング/質問への回答
医療 医療用画像セグメンテーション
方法論 分散表現(単語の埋め込み)/表現学習
ゲーム ビデオゲーム/ボードゲーム
グラフ リンク予測/ノード分類
スピーチ 音声認識/音声合成
時系列 時系列分類/代入
オーディオ 音楽生成/オーディオ分類
ロボット キャリブレーション/自己位置認識
音楽 音楽情報検索/音楽モデリング
コンピューターコード 次元削減/プログラム合成
推論 意思決定/常識的推論
知識ベース ナレッジグラフ/因果発見
敵対性 攻撃/防御/敵対テキスト
その他 レコメンデーション/トピックモデル

(出典)Browse the State-of-the-Art in Machine Learning

上記で紹介したものは、あくまでもほんの一例です。日々、AI技術の実用化が進んでいるため、今後はさらに幅広い用途で活用することが予想されます。

AIの未来① シンギュラリティ(技術的特異点)

シンギュラリティはAIの未来を考えるうえで重要な要素シンギュラリティはAIの未来を考えるうえで重要な要素

シンギュラリティ(技術的特異点)とは1980年代からAI研究家の間で使用されるようになった言葉で、人間と人工知能の臨界点を指す言葉。つまり、人間の脳と同レベルのAI(人工知能)が誕生する時点を現しています。

一般的に、人間と等しくなったAI(人工知能)はシンギュラリティを起点に加速度的に進化を遂げると予測されています。ここで注意したいのが、単に“AI(人工知能)が人間を超える”と考えるのは少々早計であること。

シンギュラリティという言葉が注目を集めるきっかけを作った米国の発明家レイ・カーツワイルは「人工知能が人間の知能と融合する時点」と定義しており、AI(人工知能)が人間と融和する形で進化していく可能性が指摘されています。

人間と同等の知能を有したAI(人工知能)は、人間の行動や思考を代替したりアシストしたり、あるいは人間と協調することで社会が大きく変容。AI(人工知能)の発展によるデジタルトランスフォーメーションが起こり、人間の在り方もAI(人工知能)の在り方も本質的に変化していくと予測されます。

ちなみに、上述のレイ・カーツワイルはシンギュラリティへの到達を2045年と予想しています。

AIの未来② AI(人工知能)の進化でなくなる仕事・なくならない仕事

AI(人工知能)の進化により、人間の仕事は奪われてしまうのでしょうか?AI(人工知能)の進化により、人間の仕事は奪われてしまうのでしょうか?

近年、AI(人工知能)を活用したテクノロジーが身近なものになり、便利な世の中になることを歓迎する一方で、「AI(人工知能)が発達することで人間の仕事が奪われるのではないか」と危惧する声を耳にする機会が増えました

各種メディアがこぞって「こんな仕事はいずれAI(人工知能)に淘汰されてしまう」と警鐘を鳴らしていることもあって、どのように仕事を選べばいいのか不安に感じている人も多いようです。

しかし、人々の不安を煽るように、少々行きすぎた表現が用いられてように感じることも多々あります。

人間が持つNI(自然知能)とコンピューター上で表現するAI(人工知能)の間にはまだまだ埋められないほどの溝があることも事実。実際に、現在開発されているAI(人工知能)のほとんどは問題特化型で、1つのモデル化・数学化した問題の解決にのみ機能しているというのが現状です。

「問題特化型の知能をたくさん集めればいいのでは?」と考える方もいるかもしれませんが、小さい知能を集めたところで人間のように全体を考える知能にはなりえません。例え、上述のシンギュラリティに到達したとしても、すぐにAI(人工知能)が幅広くあらゆる問題について考えられるわけではないのです。

以下に、詳しく解説していきましょう。

AI(人工知能)の現状

現在、実用化が進んでいるAI技術の代表格といえるのが「予測」。AI技術の発展により予測のコストが下がったことで、人間社会の至るところで活用されています。

例えば、AI音声アシスタントも人間が語りかける言葉を聞き取り、どのような情報を探しているのか“予測”して回答を導き出しています。他にも、従来から予測を必要としてきた分野はもちろん、これまで予測がほとんど不可能だった分野でも活用されています。

ただし、予測は意思決定に繋がりますが、あくまでも決断するための要素の1つに過ぎません。どれだけAI(人工知能)による予測の精度とスピードが向上しても、現状では人間による判断のほうが優れているケースが多いです。

AI(人工知能)よりも人間のほうが優れていること

予測はデータに依存しているため、人間のほうがAI(人工知能)よりも優れている点が2つあります。

★人間がAI(人工知能)よりも優れている点

①AI(人工知能)がまだ知らない事柄についての知識がある

②データが不十分な状態での決断が優れている

また、人間は持っているけれど、現在のテクノロジーではAI(人工知能)が持つことができない3つのデータがあります。

★人間は持っているが、AI(人工知能)は持つことができないデータ

①感覚

人間の視覚・聴覚・嗅覚・触覚の多くは機械よりも能力が優れている。

②人間の好み

人間の好みは最終的に人間が決定するため、あくまでもデータを受け取る立場になる。

③プライバシー

人間にはみだりに他人に公開されない個人情報がある。

上記は予測するための十分なデータを収集することができないため、AI(人工知能)が人間の判断を学習して予測することができません。

AI(人工知能)の進化に伴う懸念事項

まだまだAI(人工知能)では解決できない問題があることを説明してきた一方で、懸念すべき事案も多々存在します。なかでも、富の分配が不平等になることが大きな問題として考えられるでしょう。

AI技術の進化に伴って人々の生活は豊かになり、生産性が向上するということは、多くの経済学者が認めるところ。ただし、富を生み出すことができる一方で、所得の格差が広がる懸念があります。

例えば、AI(人工知能)が人間から一部のタスクを奪うと、残されたタスクを巡って人間同士の競争が激化。結果として、労働者の賃金は低下します。その一方で資本を所有している側では生産性の向上による利益を享受することができ、従来以上に格差が広がってしまいます

【参照元】

・三宅陽一郎・森川幸人「絵でわかる人工知能」(SB Creative)

・アジェイ アグラワル・ジョシュア ガンズ・アヴィ ゴールドファーブ /翻訳:小坂 恵理

「予測マシンの世紀 AIが駆動する新たな経済」(早川書房)

まとめ:AI(人工知能)がデジタルトランスフォーメーションの鍵を握る

AI(人工知能)がデジタルトランスフォーメーションの鍵を握るAI(人工知能)がデジタルトランスフォーメーションの鍵を握る

言葉の意味や定義、発展の経緯、学習方法など、AI(人工知能)に関する基礎知識を紹介してきましたがいかがでしたか?

AI(人工知能)の進化については“人間の能力を超えるかもしれない”という部分に、不安や恐怖を感じている人もいるかもしれませんが、急速にテクノロジーが進歩し続ける今、もはや避けて通れる道ではなくなっているといっても過言ではないでしょう。

時代の変化とともに、人間社会は絶えず変わりゆくもの。今後もAI(人工知能)がもたらす機能により、さまざまな業種・分野でデジタルトランスフォーメーションの波が押し寄せることは間違いありません。

大切なのは、AI(人工知能)が人間の生活をどのように豊かにしてくれるのか前向きに考えること。AI(人工知能)について正しく理解し、新しい社会の在り方について思考を巡らせる方が建設的です。

企業においては既存ビジネスの変革、新規ビジネスの創出といった観点からAI(人工知能)機能をいち早く取り入れて、デジタルトランスフォーメーションを推進していくことが中長期的な成長戦略の鍵を握ることになるでしょう。

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記事の監修

平田 大祐(株式会社モンスター・ラボ CTO)

2004年IBMグループに入社し、IBM ITスペシャリストとしてシステム開発に従事。
2009年からベンチャー企業にて受託開発、コンテナ型無人データセンターの管理システム、ドローン開発などソフトウェアからハードウェア開発まで幅広く関わる。チーフテクノロジストとして2015年にモンスターラボへ入社し、2018年4月より最高技術責任者であるCTOに就任。

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