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2016/11/30
「いつどこで誰がゲーム」がブレストよりも役立つ話

「また今日もブレストをするのか」、「自由に発送することが逆に億劫で、迷っている間に一気に取り残されてしまう」、「ブレストやりたくないな」と思ったことはないでしょうか。

今回は、自由なブレストとはまた違った方法で、新しいアイディアを得る方法をご紹介します。その手法の肝は、懐かしの「いつどこで誰がゲーム」です !
「いつどこで誰がゲーム」とは、「いつ・どこで・誰が・何をした」という4つのお題に対して参加者が自由に書き込んだ言葉を、アットランダムに繋げていくゲームです。

例えば、「江戸時代に、宇宙で、校長先生が、ホームランをうった」といった具合に身近な人の名前を起点に、普段は起こり得ないストーリーに思わずくすっと笑うゲームです。では、これがどうサービス立ち上げ時のアイデアだしに使えるかを紹介します。

| シナリオグラフによる新たなアイデアの発見

この手法は、「シナリオグラフ」といってアメリカのスタンフォード大学で2007年に開発されました。その詳細について説明された論文によると、シナリオグラフを活用することで、サービスデザインチームはそれまでの議論では見いだせなかった新たな価値やシナリオやユーザーの想定行動などを得ることができる、とあります。カスタマージャーニーマップなどでユーザーの行動を明らかにする過程において拾いきれなかったユーザーの行動などを明らかにしていくことで、課題を発見し、それを実現する機能をつくるといった流れで活用ができます。使い方は簡単なので、早速実際の事例をひとつみていきましょう。

| 写真共有SNSアプリの新機能のアイデア

実例として、「写真共有SNSアプリの新機能」を考案するシーンを想定します。今回は、実際にシナリオグラフの作成を行うことで、実現可能性があり、かつ「確かにあったら面白いかもしれない」という新機能アイデアを考えてみます。ここでは、テーマから逸脱はしない程度に各項目についてブレストを行います。例えば、「いつ」では、「夕食前」、「出産前」といったアイディアを書き出しました。同様にして他の項目についてもブレストを行えば、準備が整います。

 

表1 「写真共有SNSアプリの新機能」のアイデア (筆者作成)
表1 「写真共有SNSアプリの新機能」のアイデア (筆者作成)


次に書き出した項目をアットランダムに選びながら、思いもしなかった、でも実現可能性があるストーリーを検討します。その結果、今回は以下の2つのストーリーを得ることができました。
シナリオA. 「出産前に – オフィスで – 同僚が – よせがきをする」
シナリオB. 「告白前に・公園で – 偉人が – 警告する」

 

表2「写真共有SNSアプリの新機能」のシナリオグラフ (筆者作成)
表2「写真共有SNSアプリの新機能」のシナリオグラフ (筆者作成)


それでは、このシナリオAを元に、「写真共有SNSアプリの新機能」を考えてみます。

| お祝い事の際に写真をつかった寄せ書きができる機能

ここでは得られたシナリオAを加工して、より現実的なシーンを想定してみます。そうすると、以下のようなシナリオが考えられました。

シナリオA’.
「何かお祝いをしたい時に、このアプリを使って、そのユーザーの写真を集め、さらに寄せ書きを行う」

このように「出産前」というシーンを、「何かをお祝いしたい時」とより汎用的にしました。また、実際に寄せ書きをつくるシーンを考えてみると、写真を集めたり寄せ書きを書いてもらうのに手間がかかったり、サプライズのはずが寄せ書きをしていることが途中でばれてしまう、といった課題が想像されます。このように、具体的なシーンが段々と想定されることが、この手法を活用する利点の一つだと思います。
実際のホワイトボードの写真は以下のようになりました。

図1 「写真共有SNSアプリの新機能」実践ホワイトボート
図1 「写真共有SNSアプリの新機能」実践ホワイトボート


| ほどよい脱線でチームを活性化させよう

シナリオグラフを活用するもう一つの利点は、小学校のレクレーションのようにチームに笑いが起きることにあります。ブレストなどを定期的に実施していくと、時にアイデアだしが停滞していくこともあると思います。かといって、過度な逸脱をしたところで何もプラスになりません。そんな時にこそ、この手法を活用してみてほしいです。想定していなかったユーザー行動を発見するだけでなく、シナリオグラフをつくる過程で思わず笑ってしまうようなことがあれば、よりアイデア出しにポジティブな雰囲気が生まれると考えられます。

|発散を防ぎ制約をつくることで一点突破する

また、ブレストは時に発散しすぎて良いアイディアをまとめきれずに捨ててしまうことが起こりうると思います。この方法では、例えば「どこで」を固定して、他の項目についてアイデアだしをしてストーリーをつくるといった、適度な制約をつくることができ、過度な発散を防ぐことができます。また制約を設けることで、逆に意外性が生まれることも考えられます。新規事業開発チームなどで、アイデアが枯渇した時や議論が停滞した際にぜひ活用してみてください。

[引用]

・ Kim,Sun K. Ishii,K. (2007), Scenario Graph:Discovering New Business Opportunities and Failure Mode, Technical paper, CA,USA: Stanford University,pp.1-8.

執筆:高畠 大輔 /編集:西本 守人


[過去記事]

ブレスト前に実践したいチームビルディング方法まとめ


 

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